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文禄元年(一五九二)。豊臣秀吉の命により、日本の大軍が朝鮮へ渡った。
滝川一益の子・七郎は、父から教わった鉄砲の技を頼りに、異国の戦場に立つ。傍らには、滝川家の旧臣・豊左衛門がいた。
華々しい戦功を求める武将たち。しかし、七郎が目にしたのは、飢えや病に苦しむ兵士たちと、戦火に故郷を追われた朝鮮の人々の姿だった。
平壌からの撤退、晋州城をめぐる攻防。戦いを重ねるうちに、七郎は父が決して語らなかった戦の現実を知っていく。
敵と呼ばれた者たちにも、守りたい家族があり、帰りたい故郷がある。
これは、勝者の武功をたたえる物語ではない。
戦乱の朝鮮を舞台に、国を隔てて生きる人々の苦悩と、その中でも失われなかった人間の尊厳を描く歴史小説。
文字数 236,821
最終更新日 2026.11.03
登録日 2026.09.29
小学三年のある日、母から突然告げられた。
「お父さんと離婚して、東京へ行く」
そしてもうひとつ。
「今のお父さんは、本当のお父さんじゃない。本当のお父さんは死んだ」
父に何も告げないまま、母と二人で釧路の家を出た。
父からもらったミニカーも、写真も、思い出の品も置いたまま、小さなかばんひとつで。
それから長い年月の中で、家族は何度も形を変えていった。
血のつながった父。血のつながらない父。母。そして、離れていった人たち。
誰が本当の家族だったのか。
血がつながっていれば家族なのか。
一緒に暮らしていれば家族なのか。
これは、実体験をもとに、一人の男の人生として再構成した私小説。
長い時間をかけて家族というものを振り返ったとき、最後に残ったのは、ひとつの思いだった。
――それでも、家族だった。
文字数 153,444
最終更新日 2026.09.20
登録日 2026.09.14
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