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小学三年のある日、母から突然告げられた。
「お父さんと離婚して、東京へ行く」
そしてもうひとつ。
「今のお父さんは、本当のお父さんじゃない。本当のお父さんは死んだ」
父に何も告げないまま、母と二人で釧路の家を出た。
父からもらったミニカーも、写真も、思い出の品も置いたまま、小さなかばんひとつで。
それから長い年月の中で、家族は何度も形を変えていった。
血のつながった父。血のつながらない父。母。そして、離れていった人たち。
誰が本当の家族だったのか。
血がつながっていれば家族なのか。
一緒に暮らしていれば家族なのか。
これは、実体験をもとに、一人の男の人生として再構成した私小説。
長い時間をかけて家族というものを振り返ったとき、最後に残ったのは、ひとつの思いだった。
――それでも、家族だった。
文字数 153,444
最終更新日 2026.09.20
登録日 2026.09.14
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