Dinner

中原涼

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 さなぎとの夜食会が自然となかった事になって、一か月が過ぎた。あの夜、次の土曜はどうしようかと尋ねるつもりがなかったわけじゃない。けれど、あの空気のなかに、これ以上は続けられないという匂いが混じり込んでいた。確かに。
 好きだと思い知ったそばから、もう会えなくなるなんて。
 俺は患者のカルテを眺めながら、思わずため息を吐いた。
「なんです~? 先生大丈夫ですか? お疲れ?」
「いや、大丈夫」
 背後にいたベテランの看護師長に声を掛けられて、思わず背筋を伸ばすと、俺は苦笑いでその言葉に首を振った。
「この頃暑いですから、人一倍先生は気を付けてくださいよ」
「はい、勿論です」
 自分よりも十以上年上の彼女には、何も敵わず、赤子のように素直に頷くのが精一杯だ。
「あ、この方の処方箋、変わりましたので」
 そう言いながらファイルを回して、軽くネクタイを緩める。何となく、呼吸がし難い気がして。
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