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20.イルーニア
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SIDE:ダーウッド
魔族領ダーウッドにおいて3番目に権力を持つと目される男、バレイラ公爵はその日、朝早くから王宮を訪れていた。
顔見知りの従僕に案内されたのは王宮内でもより奥まった一画にある国王専用の私室だった。
重い扉が開くと独特の香料の匂いが鼻先を掠める。
反射的に香りに含まれる植物の種類をかぎ分けながら部屋に足を踏み入れた。
夜更けに遣いを寄越して朝一番にバレイラを呼びつけたこの国の主、イルーニア王は優雅に身づくろいの最中だった。
バレイラの参上の挨拶に、イルーニアはかすかな目配せで応じた。
椅子に深く身を預けた彼の首や顔には白い泡が刷かれていて、バレイラの存在を一顧だにせず小姓が剃刀を当てている。
この国で最も敵の多いだろう男がむき出しの喉を薄刃にさらすーー
バレイラはゾクリと寒気を感じて身体を緊張させた。
一方でシャツの胸元を寛げて無造作に手足を投げ出している主の姿をこういう明るい朝の光の下で目にするの初めてで、妙に気分が高揚する。
小姓が丁寧な手つきで剃刀を滑らせるのを眺めながら、とりあえず心を落ち着けようと何度か深く息をした。
イルーニアの方はというと、リラックスした様子で目を閉じたままピクリとも動かない。
随分不用心だな、とバレイラは思った。
ああも無防備に急所をさらすなど、自分にはできそうもない。
現に屋敷に床屋を呼んでも、喉首を任せるようなことはしなかった。
魔族といえども、喉笛を掻き切られれば無事ではいられない。そこは人間と同じだ。
信頼か、はたまた強者の余裕か。
剃刀の刃がイルーニアの首を撫でるたび、バレイラの方が勝手に冷や汗をかいてしまう。
迷いのない手つきをぼんやり眺めながら、バレイラは頭の隅でこんな時間に呼び出された理由を考えていた。
そうこうしているうちに顔を当たり終えた小姓は濡れた布と乾いた布を使って、泡の残りを拭い取り始める。最後に茶色い小瓶を2つ取り出し、掌に広げた中身を王の肌に優しく馴染ませた。
道具を手早く片付けて小姓が退出した後、イルーニアは悠然と椅子から立ってバレイラを手招く。
「バレイラ」
「は」
「掻き切りたいような目で見ていただろう」
「まさか」
バレイラが間髪入れず否定すると、国王は疑うような、でもどこか面白がるような視線を向ける。バレイラは続けた。
「不用心だなとは思いました」
「殺気くらい読める。剃刀よりお前の気配の方がよほど剣呑だった」
内容のわりに咎めるというよりは楽しそうな声で指摘しながら、イルーニアはくつくつと笑う。まぁいいからついてこい、とバレイラを部屋の奥へと誘うその背を見ながら、バレイラは王の機嫌がいつになく麗しいことに気が付く。
案外悪い話ではないのかもしれない。
イルーニアについていくと、続きの部屋の窓際に簡素な席がしつらえられていた。
「座れ。朝議の前に話しておきたいことがいくつかある」
てきぱきと軽食を並べていた従僕が呑み込んだ顔で退出する。
「朝食は?」
「すませました」
「では二度目だな」
イルーニアは優雅な所作で席に着き、まだ立ったままのバレイラを一瞥する。
「毒などは入っていない。心配するな」
「そういう心配をしているわけでは。では、失礼します」
戸惑いを押しやって、バレイラは向かいの椅子を引く。イルーニアはすぐに話を切り出した。
「アルマールの一団が領内に来ているだろう」
「は、呪魔の森は越えたとの連絡が来ております」
「 リュシオンのところの兄弟が案内役を務めているとか」
「はい」
頷くとイルーニアが喉の奥で笑う。
「あの放蕩兄弟が公務をこなすなど、天変地異の前触れだな」
「公務としてこなしているというより、彼らには遊びの範疇でしょう」
イルーニアは肉のソテーにナイフを入れながら、話を続ける。
「宝剣の欠片を渡すことに対しての反発はどうだ?」
「表立っては。……お心変わりしましたか?」
バレイラは内心はらはらしながらも冷静な顔で尋ねる。
「いや。ところで、当代の異世界人は男だったな?」
「はい、そう聞き及んでおります」
イルーニアは皿から目を上げることなく言った。
「会ってみたい」
「は?」
「異世界人にだ。昨晩ふとそう思った」
「王都に寄るとなると彼らにとってはずいぶん遠回りになります。今から予定を変更させるのは酷かと」
バレイラが慎重に答えると、イルーニアはわかっているとでも言いたげに頷く。
「ミドゥルアンで軍事演習があっただろう。あれを観に行く。ミドゥルアンなら、たいして遠回りではなかろう」
ミドゥルアンの近郊では最近頻繁に賊が出るということでけん制もかねて軍事演習が計画されていた。王弟たるリュシオン殿下を代理で出席させる予定ではあったが、確かにイルーニアが観閲したとしても大きな混乱はない。どころか将軍たちは大喜びだろう。各方面に目配せした、無理のない提案といえる。それだけ計画実現への期待が大きいということかもしれない。
「理由をお伺いしても?」
「妙な夢を見てな。会っておいた方がいいと思ったのだ」
古の血をひくイルーニア達ダーウッドの王族の見る夢は、夢として一蹴できないこともある。なにか特別な意味がある可能性もあるからだ。これは心してかかった方がいいだろう。
「……わかりました。調整してみます」
「頼んだ」
イルーニアはバレイラの返事に満足そうな表情を見せ、パイに手を伸ばす。
主の食べっぷりに感心しながら、バレイラはグラスを取って喉を潤した。
盛りだくさんな一日になりそうだった。
魔族領ダーウッドにおいて3番目に権力を持つと目される男、バレイラ公爵はその日、朝早くから王宮を訪れていた。
顔見知りの従僕に案内されたのは王宮内でもより奥まった一画にある国王専用の私室だった。
重い扉が開くと独特の香料の匂いが鼻先を掠める。
反射的に香りに含まれる植物の種類をかぎ分けながら部屋に足を踏み入れた。
夜更けに遣いを寄越して朝一番にバレイラを呼びつけたこの国の主、イルーニア王は優雅に身づくろいの最中だった。
バレイラの参上の挨拶に、イルーニアはかすかな目配せで応じた。
椅子に深く身を預けた彼の首や顔には白い泡が刷かれていて、バレイラの存在を一顧だにせず小姓が剃刀を当てている。
この国で最も敵の多いだろう男がむき出しの喉を薄刃にさらすーー
バレイラはゾクリと寒気を感じて身体を緊張させた。
一方でシャツの胸元を寛げて無造作に手足を投げ出している主の姿をこういう明るい朝の光の下で目にするの初めてで、妙に気分が高揚する。
小姓が丁寧な手つきで剃刀を滑らせるのを眺めながら、とりあえず心を落ち着けようと何度か深く息をした。
イルーニアの方はというと、リラックスした様子で目を閉じたままピクリとも動かない。
随分不用心だな、とバレイラは思った。
ああも無防備に急所をさらすなど、自分にはできそうもない。
現に屋敷に床屋を呼んでも、喉首を任せるようなことはしなかった。
魔族といえども、喉笛を掻き切られれば無事ではいられない。そこは人間と同じだ。
信頼か、はたまた強者の余裕か。
剃刀の刃がイルーニアの首を撫でるたび、バレイラの方が勝手に冷や汗をかいてしまう。
迷いのない手つきをぼんやり眺めながら、バレイラは頭の隅でこんな時間に呼び出された理由を考えていた。
そうこうしているうちに顔を当たり終えた小姓は濡れた布と乾いた布を使って、泡の残りを拭い取り始める。最後に茶色い小瓶を2つ取り出し、掌に広げた中身を王の肌に優しく馴染ませた。
道具を手早く片付けて小姓が退出した後、イルーニアは悠然と椅子から立ってバレイラを手招く。
「バレイラ」
「は」
「掻き切りたいような目で見ていただろう」
「まさか」
バレイラが間髪入れず否定すると、国王は疑うような、でもどこか面白がるような視線を向ける。バレイラは続けた。
「不用心だなとは思いました」
「殺気くらい読める。剃刀よりお前の気配の方がよほど剣呑だった」
内容のわりに咎めるというよりは楽しそうな声で指摘しながら、イルーニアはくつくつと笑う。まぁいいからついてこい、とバレイラを部屋の奥へと誘うその背を見ながら、バレイラは王の機嫌がいつになく麗しいことに気が付く。
案外悪い話ではないのかもしれない。
イルーニアについていくと、続きの部屋の窓際に簡素な席がしつらえられていた。
「座れ。朝議の前に話しておきたいことがいくつかある」
てきぱきと軽食を並べていた従僕が呑み込んだ顔で退出する。
「朝食は?」
「すませました」
「では二度目だな」
イルーニアは優雅な所作で席に着き、まだ立ったままのバレイラを一瞥する。
「毒などは入っていない。心配するな」
「そういう心配をしているわけでは。では、失礼します」
戸惑いを押しやって、バレイラは向かいの椅子を引く。イルーニアはすぐに話を切り出した。
「アルマールの一団が領内に来ているだろう」
「は、呪魔の森は越えたとの連絡が来ております」
「 リュシオンのところの兄弟が案内役を務めているとか」
「はい」
頷くとイルーニアが喉の奥で笑う。
「あの放蕩兄弟が公務をこなすなど、天変地異の前触れだな」
「公務としてこなしているというより、彼らには遊びの範疇でしょう」
イルーニアは肉のソテーにナイフを入れながら、話を続ける。
「宝剣の欠片を渡すことに対しての反発はどうだ?」
「表立っては。……お心変わりしましたか?」
バレイラは内心はらはらしながらも冷静な顔で尋ねる。
「いや。ところで、当代の異世界人は男だったな?」
「はい、そう聞き及んでおります」
イルーニアは皿から目を上げることなく言った。
「会ってみたい」
「は?」
「異世界人にだ。昨晩ふとそう思った」
「王都に寄るとなると彼らにとってはずいぶん遠回りになります。今から予定を変更させるのは酷かと」
バレイラが慎重に答えると、イルーニアはわかっているとでも言いたげに頷く。
「ミドゥルアンで軍事演習があっただろう。あれを観に行く。ミドゥルアンなら、たいして遠回りではなかろう」
ミドゥルアンの近郊では最近頻繁に賊が出るということでけん制もかねて軍事演習が計画されていた。王弟たるリュシオン殿下を代理で出席させる予定ではあったが、確かにイルーニアが観閲したとしても大きな混乱はない。どころか将軍たちは大喜びだろう。各方面に目配せした、無理のない提案といえる。それだけ計画実現への期待が大きいということかもしれない。
「理由をお伺いしても?」
「妙な夢を見てな。会っておいた方がいいと思ったのだ」
古の血をひくイルーニア達ダーウッドの王族の見る夢は、夢として一蹴できないこともある。なにか特別な意味がある可能性もあるからだ。これは心してかかった方がいいだろう。
「……わかりました。調整してみます」
「頼んだ」
イルーニアはバレイラの返事に満足そうな表情を見せ、パイに手を伸ばす。
主の食べっぷりに感心しながら、バレイラはグラスを取って喉を潤した。
盛りだくさんな一日になりそうだった。
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