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エピローグ
エピローグ後編
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大きな一軒家と変わりないコテージはテラスと繋がっている大きなリビングの奥にそれに見合うだけのしっかりとした広いキッチンが備わっている。それを横目に、オープン階段を上り、数あるドアの一つに目雲が導く。
そこは目雲と宮前に割り振った寝室で、大きなベッドが二つ並んでいる。
一階にも個室が二部屋、二階には三部屋あり、一階はそれぞれ子供がいる二組に、二階に目雲と宮前、ゆきと愛美と言うペアで泊まれるように、このコテージをひろ子と目雲で選んだ。
テラスにも暖房はあり、さらに炭を燃やしている辺りはもっと温かいがゆきは誰よりもしっかり着こんでいたから、目雲はまず温かい室内で汗をかかないよう、ゆきにコートを脱ぐように勧める。
急かせたい状況にもかかわらず、ゆきへの配慮を目雲は忘れない。
「ゆきさん」
目雲はベッドの一つに座り、ゆきも隣に座らせて手を握った。
「はい」
「なんですか、急にどうしたんですか?」
深刻そうな様子にゆきはやり過ぎたかと反省する。
「皆さんがそろそろ呼び方を変えた方が良いのではないかと言うので」
「それでああいう風に呼べと?」
「いえ、その方が驚くかと思って私が勝手に」
「驚かせたかったんですか? それなら恥ずかしくなくて?」
もっともな質問に目雲の顔をしっかり見てゆきは自分の気持ちの変化を伝える。
「もう何と呼んでも過剰な反応はしないですよ、恥ずかしさも前よりは薄れてます。周弥さんって呼ぶのもご実家で慣れましたし、周弥って呼ぶのもなんだか喜ばれてるみたいなのでそれほど抵抗感はなくなってますし」
「だからああいう風に呼べば驚くと?」
「嫌でしたよね、すみません。考えなしで」
頭を下げるゆきの手を握ったまま、目雲はどう言ったら自分の気持ちを正確に話せるかと考える。
「全然嫌ではないですよ、ないですけど。これからもそう呼ぼうと?」
「嫌なら呼びません、大丈夫です」
もう二度と呼んでくれなくなりそうな雰囲気に目雲はそれは嫌だと言えた。
「いえ、呼んでいただくのは問題ないです」
意外な返事にゆきの方が驚く。
「そうなんですか?」
「ただ二つ答えてもらいたいことがあります」
「なんでしょうか?」
ゆきが頷きつつ真摯な姿勢に目雲も素直な自分の気持ちを吐露する。
「友達の様に呼ぶのはゆきさんの中のハードルが下がるからですか?」
目雲の視点が自分の呼ばれ方ではなくて、ゆきが誰をどう呼んでいるかなのが、ゆきには思いもせず目雲がそれを気にするのかが心配になる。
「友人とは明確な違いが欲しいと言うことでしょうか?」
「全くその通りだとは思いませんが、そういう側面もあります」
全く持ってこだわりがあって呼んだわけではなかったので、ゆきはすぐ撤回する。
「ではやっぱりやめましょう、周弥さんって呼びます」
「いえ、ゆきさんの解釈が知りたいんです。もし友達もそう呼ぶからという理由なら、傲慢ではありますが、あまり嬉しくはありません」
喜ばせて欲しいわけでもありませんが、と目雲は付け加えはしたが、掴むゆきの手を離すことはない。
「目雲さんは友達ではないので、そういう意味ではないですし、支障があるというなら目雲さんを周弥さんと呼ぶことも、周くんと呼ぶことも他とそれほど変わりません、呼ぶことを意識しますから」
「そもそも名前を呼ぶことのハードルそのものが下がっているのは僕も分かっています。もう、ついでなので聞きますが、タツジはどうして呼び捨てなんですか?」
ゆきには改めて言われてみれば思い出す程度のものだったが、気にかかるのも理解できた。
「みんながそう呼んでいたからです。私の意志というよりは、当時は周りに倣って話すことが重要で本人もそう呼んでほしいと言っていたので、付き合う前からそう呼んでました」
「じゃあ堺君は?」
堺もまったく同様だ。
「あきくんは、大学の始めにあっきーって呼ばれ始めて、私もゆっきーって呼ばれて、でもわりとすぐあまり呼ばれなくなるんですよ。特に私がゆきって呼ばれることが多くなったので、自然にあっきーのこともあきって呼ばれ始めて、それで私もいつからかあきくんになってました」
普通を目指していたゆきは、自身の中にその理由がない。
「あっきーが元だから堺君でも晃夫君でもないんですね」
そうきちんと由来を知りたがる目雲に、求めるものがあるのだと感じた。
「やっぱり特別がいいですか?」
「執心してるわけではありませんが、僕を呼ぶのに最初かなり抵抗があったのが急にどうしたのか気になります」
ゆきは繋がれている手に視線を落す。
自分が勝手に抱く背徳感のせいで変えるタイミングを見逃してきて、それも目雲に甘やかされてそれを意図的に受け入れてしまっていた。
ゆきの方はまったく特別感を求めていなかったのに、だからこそ少しびっくりするかなくらいの思い付きで口にしてしまった。
目雲がそこまで気にかかってしまうのならば、それこそ本当に何でもいいと思ってしまう。
「あの、本当に周弥さんって呼ぶのも何の問題もないので、そうしましょう」
「いえ、一つ目の引っ掛かりは取れました。ゆきさんが呼びやすいからではないんですね」
確認されれば頷く他ない。
「そうですね、むしろちょっと逆というか……」
「逆ということは呼びにくいんですか?」
「私の問題ではない気がしてるんですけど」
「どういうことですか?」
よくまとめられていない思考だったからそれを説明する前に、ゆきは目雲のもう一つの方がどういうものかに聞きたかった。
「先に目雲さんの二つ目を聞いてもいいですか」
ゆきがはぐらかさないと分かっているから目雲は反論はせず、そのまま教える。
「名前を呼ぶことに背徳感があると言っていたのがその呼び方ならなくなるんですか?」
自分でもどうしてなくならのだろうとゆきは思っているところだった。
「なくなりはしないですね、慣れてきましたけどそれはあくまで目雲さんだけならってことが大きいので、人前では気恥ずかしさはまだあります。でも皆さんの言ってることも分かりますし、そろそろ逆に違和感を抱かれ始めているのでいい機会です、勢いは大事です」
変えることそのものはもう決定事項だ。
「背徳感もなくならないけれど、勢いで気恥ずかしさを乗り越えると」
「そうです」
ゆきの頷きに目雲も頷きで返す。
「確かにどんな呼び方でもゆきさんは関係ないですね。でもゆきさんがただ悪戯のためだけにその呼び方を選んだというのは根拠が薄いです」
目雲の中の自分の人となりが疑わしくなってくる。とんでもなき善人にでも思われていたら、今後それが暴落しかねない。
「目雲さんは私を一体どんな人間だと思ってるんですか?」
「大変明晰だと思っています」
あまりの高評価は身に余ると、ゆきは正しく訂正する。
「そんなに確かな考えを持ってるわけでもないですし、知性も良識もそれ程持ち合わせてませんよ?」
「そう思ってるのはゆきさんだけです、ゆきさんは何かの考えに思い至ってそう呼ぶことにしたはずです」
簡単に納得しない目雲にゆきの方が早々に折れて、しぶしぶ自分の思考の詳細を探る。
「うーん、ほんの少しだけなら考えたこともありますけど、ただ驚かせるのも本当なんですよね」
「その少しを教えてください」
「一つは本当に今まで呼んでないので口にしてみたかったこと。もう一つは私が目雲さんのことを周くんって呼ぶと少しの違和感が生まれる効果です」
「違和感は確かにありますね」
「それです、どういう関係なんだろうと一瞬不思議に思いますよね。そこで人は勝手に妄想してくれます、だから私の問題ではなくそれを聞いた他の人の印象の問題なんです」
だからゆきはさっき自分の問題ではないと言ったのだ。
「それは背徳感に繋がらないんですか?」
「繋がりません、私の背徳感は自分の発想に起因しているので自意識過剰っぽい自分が恥ずかしいんです。でも周りの人が勝手に妄想する物語は私の考えの範疇ではないので何をどう思われても、そしてそれを聞かされても面白いなと思うだけです」
「独特な思考ですね」
「すみません、呆れましたか? 本当に今後もそう呼ぼうと思ったわけではないので、それに違和感をなくそうと名前で呼ぶことにしたのに、新たな違和感を産んだら意味がないんですよね。だから普通に呼びます」
その場限りのドッキリのようなものだと思っていたから、意外性のある物を選んだだけなのだから今後に採用する必要もゆきの中にはない。
けれど目雲はその独特な感性がとても好きだった。
「いえ、面白いなと僕も思いました。それになんだか、ゆきさんが僕をそう呼ぶのは僕自身も不思議な感じがして実は心地よかったりします」
気に障ったんだとすっかり思っていたゆきは真逆の感想に目を丸くした。
「そうなんですか?」
「ゆきさんとは歳の差を感じたことは今のところはあまりないですが、実際は七つ八つは違うわけで、それが少し埋まるような気もします。それにゆきさんの口調ももう少し砕けるかもしれません」
ゆき自身も年の差を意識したことはなかったが、尊敬はそれに関係なく初めから抱いていた。だからこそ、自意識過剰に名前も呼べなかったのだが、呼び方一つでまた目雲に新たな刺激や楽しみがあるなら、ゆきも嬉しかった。
「目雲さんが気に入ったのならそうしましょうか、呼ばれてみてやっぱり気になったら言って下さい」
笑顔でゆきが言えば、目雲はゆきの手を握る手に僅かに力を込めて、微笑んだ。
「やっぱりゆきさんの考えを聞いてよかったです」
ゆきには目雲のその嬉しそうな感情がよく理解できないでいる。
「そうでしょうか、自分の浅はかさをさらけ出しただけのような気がしてるんですけど」
「本当に浅はかな人はそんな風に自分の思ったことや考えたことを言葉にはできないものですよ」
取り留めなく話す内容を目雲が構築し直して聞くから成立する会話ではないかとゆきは思えて仕方ない。
「目雲さんが深掘りするから頑張って絞り出したんですよ」
「さっきの一つ目、呼んでみたことがないからって。ちなみの他にも呼んでみたい呼び方はありますか?」
特に思ったことはなかったが、ゆきはその場で何となく考え口にしてみた。
「周ちゃん?」
目雲自身も親しみはかなり増したが、周くん同様自分のイメージにはない呼び名だった。
「馴染みがないのは確かですね、自分が呼ばれてるとは感じづらいですね」
「私も呼びづらいと言うか、ちょっと笑いながら怒ってるような気持ちになります」
ゆきは自分で言っておきながら笑ってしまった。
「どうしてですか?」
「目雲さんを呼んでる気がしないから、だからなんだが、呼びたくないのに言いたいことがあるから仕方なく声を掛けてる気持ちになるんでしょうか」
自分で分析しながら、我ながら変な感覚だと呆れてしまう。
ただ目雲にはなかなかに衝撃的な気持ちだった。
「ゆきさんを怒らせたら声も掛けてもらえなくなるんですか?」
ゆきの怒りなど想像もできなかったからこそ、そうなった時の対応が正しくできるか、ただただ謝るだけで果たして許してもらえるのだろうかと、何もしていないうちから不安が芽生えてしまった。
「あまり怒ったことはないんですけど、確かに嫌いな人とは会話したくないので笑顔で挨拶と返事くらいしかしなくなりますね、一応気付かれない程度だとは思いますけど」
目雲にとってはショッキングな事実だった。
「気付かないうちに嫌われてる場合がありますね」
ゆきとしてはあくまでも親しくない人間との間の確執の想定だから、そんなことは起こりえないと断言できた。
「些細なことの積み重ねなら放置したりしないでちゃんと大事な人とは話し合いますから、そんな急に嫌いになったりしないですよ。目雲さんこそ嫌いになったら言って下さいね、ちゃんといなくなりますから」
気分を害する人間はすぐに目の前からいなくなるべきだとゆきの発想はすぐにそこに着地した。
それにも目雲の不安は煽られる。
「せめて嫌いになる前にと言って下さい、どうして別れる前提なんですか。そもそも嫌いになりませんし」
「人間何が起こるか分かりませんから」
「そんな心づもりはやめてください」
目を見て強めに言われ、ゆきははっとする。
「あ、そうですね。これ私の悪い思考の癖ですね。前の恋愛の後遺症でしょうか、無意識に予防線張ってるのかもです。久しぶりに恋してるので気が付きませんでした」
「……ゆきさんは、僕の感情を揺さぶるのが得意ですね」
さらに動揺した。
「え! すみません、もう話してあるのでそれぐらいは話題にしてもいいのかと勘違いしてました」
過去の話なんて持ち出して不味かったと反省する。けれど目雲は首を振る。
「そこではないです」
「違う?」
ではどこだろうかと、失言の個所を探るゆきの髪を目雲は撫でる。
「ゆきさんが過去の恋愛で傷ついているとさらけ出してくれるところも、僕に恋をしていると当然の様に言葉にするところも、僕の心にすごく響きます」
ゆきの言葉には感情の裏付けがあると受け取るようになってきた目雲には、恋してるなんて言われてしまうと嬉しくないわけがなかった。
甘く微笑む目雲に当てられて、その視線からつい逃れ、まだ触れ合っている手に視線を落しつつ、ゆきの考えとは逆で肯定的捉えれていることはなんとか理解が追いついた。
「えーと、言っても良かったってことですか?」
「そうです」
それなら良かったです、と何とか口にした。
落ち着かせるようにふうと息を吐くゆきに、目雲は一つ提案した。
「戻る前に何度か呼んでもらってもいいですか? うっかり聞き逃したりしたくないので、感覚に馴染ませておきます」
よっぽど聞きなれない呼び方なのだと恐縮しながら、折角呼ばせてもらえるなら自分も慣らしておこうと再び、今度は隣から呼びかける。
「周くん」
「はい、ゆきさん」
反応してくれる目雲にすらゆきの方が笑ってしまう。
「なんか変な感じです」
「慣れてください」
それしかないのは分かっているゆきだったが、自省が止まらない。
「物事は思い付きでするものではないという典型ですね」
「慣れたら大丈夫ですよ。さて、すごく家に帰りたいところですが、戻りましょう」
「帰りたいんですか?」
どこか体の不調が出てきたのか、心配しているのが分かる目雲はわざと朗らかに伝えた。
「ゆきさんと二人きりになりたいだけです、ただそれは明日の楽しみにして今日はちゃんと皆と楽しみましょう」
目を丸くしたゆきが、そのままの状態で頷く。
「了解です」
冷静で正常ないつもとも照れているとも違う、ただ頷くだけのゆきを目雲が不思議がりながら微笑む。
「了解してくれるんですね」
「ちょっと処理能力を低下させたので、よく分かってないです。とりあえずみんなのところに戻りましょう。明日のことは明日の私が考えてくれます」
堂々とゆきが先延ばしにしたので、目雲がさらに笑みを漏らす。
「浅はかなゆきさんも好きですよ」
その言葉にゆきが仇の首を取ったように得意げになる。
「やっと私が浅はかだと気付いてくれましたね。もうそのまま浅はかにしておいてください、それでも好きでいてくれるなんて寛大な目雲さんが好きですよ」
意図的に軽口を叩いたように言うゆきだったが、目雲の方がそこは上手(うわて)だった。
「名前」
あっと声にもならない反応を咄嗟にした後、ゆきがゆっくりと俯くとのそのそと憎たらし気に上目遣いをした。
「そんな周くんも好きです」
そんなゆきが可愛くて仕方なくて、目雲はゆきを抱きしめる。
「ずっと隣にいてください」
「周くんも」
腕の中で微笑むゆきにキスを落として、周弥は立ち上がる。
「行きましょうか」
すぐに離れた唇をうっかり見つめながら、自分の唇を抑えたゆきは、なんとか再起動して同じく立ち上がった。
「……はい」
ゆっくり、ゆっくり。
一つずつ。
少しずつの変化を甘受しながら、穏やかなに二人の生活は続く。
周弥はそれがゆきのもたらしてくれるものだととても大切にしているし、ゆきは人生の山も谷もないようでいて実はいろんなトラブルに遭遇してはあっさり乗り越えて周りの方を心配させつつ本に埋もれる相変わらずの毎日で、そのせいでフォローをさせている周弥をなんとか労おうと頑張る暮らしを送っている。
どんな変化が起ころうと二人の生活はそうやってこれからも続いていき、時には周りに巻き込まれ、巻き込みながら、幸せを二人で感じ続けていける。
周弥の実家で、周弥さんと呼ぶことに釈然としない周弥と礼節を弁えるゆきとの攻防が繰り広げられたり、いろいろと出掛けたり遠くへ旅行に行ったり、ゆきが風邪を引いた時には日頃の恩返しだと過保護すぎる待遇に感謝を通り越して二度と風邪を引かない方法を本気で探したくなったり。
もっともっと先の将来、郊外に庭付きの家に引っ越し、そこを暮らしやすいように周弥が設計しリフォームした結果明るいが魔女の家のような雰囲気にしたり、そこで周弥が梅酒や味噌など様々自分で仕込み始めたりハーブを栽培していみたり、ゆきは相変わらず本に浸かるような暮らしをしていたり、そんな未来。
けれどそれはまだいつかのお話。
日常の中に些細な喜びを見つけ続ける二人は自分に正直に今を見つめ続けている。
そこは目雲と宮前に割り振った寝室で、大きなベッドが二つ並んでいる。
一階にも個室が二部屋、二階には三部屋あり、一階はそれぞれ子供がいる二組に、二階に目雲と宮前、ゆきと愛美と言うペアで泊まれるように、このコテージをひろ子と目雲で選んだ。
テラスにも暖房はあり、さらに炭を燃やしている辺りはもっと温かいがゆきは誰よりもしっかり着こんでいたから、目雲はまず温かい室内で汗をかかないよう、ゆきにコートを脱ぐように勧める。
急かせたい状況にもかかわらず、ゆきへの配慮を目雲は忘れない。
「ゆきさん」
目雲はベッドの一つに座り、ゆきも隣に座らせて手を握った。
「はい」
「なんですか、急にどうしたんですか?」
深刻そうな様子にゆきはやり過ぎたかと反省する。
「皆さんがそろそろ呼び方を変えた方が良いのではないかと言うので」
「それでああいう風に呼べと?」
「いえ、その方が驚くかと思って私が勝手に」
「驚かせたかったんですか? それなら恥ずかしくなくて?」
もっともな質問に目雲の顔をしっかり見てゆきは自分の気持ちの変化を伝える。
「もう何と呼んでも過剰な反応はしないですよ、恥ずかしさも前よりは薄れてます。周弥さんって呼ぶのもご実家で慣れましたし、周弥って呼ぶのもなんだか喜ばれてるみたいなのでそれほど抵抗感はなくなってますし」
「だからああいう風に呼べば驚くと?」
「嫌でしたよね、すみません。考えなしで」
頭を下げるゆきの手を握ったまま、目雲はどう言ったら自分の気持ちを正確に話せるかと考える。
「全然嫌ではないですよ、ないですけど。これからもそう呼ぼうと?」
「嫌なら呼びません、大丈夫です」
もう二度と呼んでくれなくなりそうな雰囲気に目雲はそれは嫌だと言えた。
「いえ、呼んでいただくのは問題ないです」
意外な返事にゆきの方が驚く。
「そうなんですか?」
「ただ二つ答えてもらいたいことがあります」
「なんでしょうか?」
ゆきが頷きつつ真摯な姿勢に目雲も素直な自分の気持ちを吐露する。
「友達の様に呼ぶのはゆきさんの中のハードルが下がるからですか?」
目雲の視点が自分の呼ばれ方ではなくて、ゆきが誰をどう呼んでいるかなのが、ゆきには思いもせず目雲がそれを気にするのかが心配になる。
「友人とは明確な違いが欲しいと言うことでしょうか?」
「全くその通りだとは思いませんが、そういう側面もあります」
全く持ってこだわりがあって呼んだわけではなかったので、ゆきはすぐ撤回する。
「ではやっぱりやめましょう、周弥さんって呼びます」
「いえ、ゆきさんの解釈が知りたいんです。もし友達もそう呼ぶからという理由なら、傲慢ではありますが、あまり嬉しくはありません」
喜ばせて欲しいわけでもありませんが、と目雲は付け加えはしたが、掴むゆきの手を離すことはない。
「目雲さんは友達ではないので、そういう意味ではないですし、支障があるというなら目雲さんを周弥さんと呼ぶことも、周くんと呼ぶことも他とそれほど変わりません、呼ぶことを意識しますから」
「そもそも名前を呼ぶことのハードルそのものが下がっているのは僕も分かっています。もう、ついでなので聞きますが、タツジはどうして呼び捨てなんですか?」
ゆきには改めて言われてみれば思い出す程度のものだったが、気にかかるのも理解できた。
「みんながそう呼んでいたからです。私の意志というよりは、当時は周りに倣って話すことが重要で本人もそう呼んでほしいと言っていたので、付き合う前からそう呼んでました」
「じゃあ堺君は?」
堺もまったく同様だ。
「あきくんは、大学の始めにあっきーって呼ばれ始めて、私もゆっきーって呼ばれて、でもわりとすぐあまり呼ばれなくなるんですよ。特に私がゆきって呼ばれることが多くなったので、自然にあっきーのこともあきって呼ばれ始めて、それで私もいつからかあきくんになってました」
普通を目指していたゆきは、自身の中にその理由がない。
「あっきーが元だから堺君でも晃夫君でもないんですね」
そうきちんと由来を知りたがる目雲に、求めるものがあるのだと感じた。
「やっぱり特別がいいですか?」
「執心してるわけではありませんが、僕を呼ぶのに最初かなり抵抗があったのが急にどうしたのか気になります」
ゆきは繋がれている手に視線を落す。
自分が勝手に抱く背徳感のせいで変えるタイミングを見逃してきて、それも目雲に甘やかされてそれを意図的に受け入れてしまっていた。
ゆきの方はまったく特別感を求めていなかったのに、だからこそ少しびっくりするかなくらいの思い付きで口にしてしまった。
目雲がそこまで気にかかってしまうのならば、それこそ本当に何でもいいと思ってしまう。
「あの、本当に周弥さんって呼ぶのも何の問題もないので、そうしましょう」
「いえ、一つ目の引っ掛かりは取れました。ゆきさんが呼びやすいからではないんですね」
確認されれば頷く他ない。
「そうですね、むしろちょっと逆というか……」
「逆ということは呼びにくいんですか?」
「私の問題ではない気がしてるんですけど」
「どういうことですか?」
よくまとめられていない思考だったからそれを説明する前に、ゆきは目雲のもう一つの方がどういうものかに聞きたかった。
「先に目雲さんの二つ目を聞いてもいいですか」
ゆきがはぐらかさないと分かっているから目雲は反論はせず、そのまま教える。
「名前を呼ぶことに背徳感があると言っていたのがその呼び方ならなくなるんですか?」
自分でもどうしてなくならのだろうとゆきは思っているところだった。
「なくなりはしないですね、慣れてきましたけどそれはあくまで目雲さんだけならってことが大きいので、人前では気恥ずかしさはまだあります。でも皆さんの言ってることも分かりますし、そろそろ逆に違和感を抱かれ始めているのでいい機会です、勢いは大事です」
変えることそのものはもう決定事項だ。
「背徳感もなくならないけれど、勢いで気恥ずかしさを乗り越えると」
「そうです」
ゆきの頷きに目雲も頷きで返す。
「確かにどんな呼び方でもゆきさんは関係ないですね。でもゆきさんがただ悪戯のためだけにその呼び方を選んだというのは根拠が薄いです」
目雲の中の自分の人となりが疑わしくなってくる。とんでもなき善人にでも思われていたら、今後それが暴落しかねない。
「目雲さんは私を一体どんな人間だと思ってるんですか?」
「大変明晰だと思っています」
あまりの高評価は身に余ると、ゆきは正しく訂正する。
「そんなに確かな考えを持ってるわけでもないですし、知性も良識もそれ程持ち合わせてませんよ?」
「そう思ってるのはゆきさんだけです、ゆきさんは何かの考えに思い至ってそう呼ぶことにしたはずです」
簡単に納得しない目雲にゆきの方が早々に折れて、しぶしぶ自分の思考の詳細を探る。
「うーん、ほんの少しだけなら考えたこともありますけど、ただ驚かせるのも本当なんですよね」
「その少しを教えてください」
「一つは本当に今まで呼んでないので口にしてみたかったこと。もう一つは私が目雲さんのことを周くんって呼ぶと少しの違和感が生まれる効果です」
「違和感は確かにありますね」
「それです、どういう関係なんだろうと一瞬不思議に思いますよね。そこで人は勝手に妄想してくれます、だから私の問題ではなくそれを聞いた他の人の印象の問題なんです」
だからゆきはさっき自分の問題ではないと言ったのだ。
「それは背徳感に繋がらないんですか?」
「繋がりません、私の背徳感は自分の発想に起因しているので自意識過剰っぽい自分が恥ずかしいんです。でも周りの人が勝手に妄想する物語は私の考えの範疇ではないので何をどう思われても、そしてそれを聞かされても面白いなと思うだけです」
「独特な思考ですね」
「すみません、呆れましたか? 本当に今後もそう呼ぼうと思ったわけではないので、それに違和感をなくそうと名前で呼ぶことにしたのに、新たな違和感を産んだら意味がないんですよね。だから普通に呼びます」
その場限りのドッキリのようなものだと思っていたから、意外性のある物を選んだだけなのだから今後に採用する必要もゆきの中にはない。
けれど目雲はその独特な感性がとても好きだった。
「いえ、面白いなと僕も思いました。それになんだか、ゆきさんが僕をそう呼ぶのは僕自身も不思議な感じがして実は心地よかったりします」
気に障ったんだとすっかり思っていたゆきは真逆の感想に目を丸くした。
「そうなんですか?」
「ゆきさんとは歳の差を感じたことは今のところはあまりないですが、実際は七つ八つは違うわけで、それが少し埋まるような気もします。それにゆきさんの口調ももう少し砕けるかもしれません」
ゆき自身も年の差を意識したことはなかったが、尊敬はそれに関係なく初めから抱いていた。だからこそ、自意識過剰に名前も呼べなかったのだが、呼び方一つでまた目雲に新たな刺激や楽しみがあるなら、ゆきも嬉しかった。
「目雲さんが気に入ったのならそうしましょうか、呼ばれてみてやっぱり気になったら言って下さい」
笑顔でゆきが言えば、目雲はゆきの手を握る手に僅かに力を込めて、微笑んだ。
「やっぱりゆきさんの考えを聞いてよかったです」
ゆきには目雲のその嬉しそうな感情がよく理解できないでいる。
「そうでしょうか、自分の浅はかさをさらけ出しただけのような気がしてるんですけど」
「本当に浅はかな人はそんな風に自分の思ったことや考えたことを言葉にはできないものですよ」
取り留めなく話す内容を目雲が構築し直して聞くから成立する会話ではないかとゆきは思えて仕方ない。
「目雲さんが深掘りするから頑張って絞り出したんですよ」
「さっきの一つ目、呼んでみたことがないからって。ちなみの他にも呼んでみたい呼び方はありますか?」
特に思ったことはなかったが、ゆきはその場で何となく考え口にしてみた。
「周ちゃん?」
目雲自身も親しみはかなり増したが、周くん同様自分のイメージにはない呼び名だった。
「馴染みがないのは確かですね、自分が呼ばれてるとは感じづらいですね」
「私も呼びづらいと言うか、ちょっと笑いながら怒ってるような気持ちになります」
ゆきは自分で言っておきながら笑ってしまった。
「どうしてですか?」
「目雲さんを呼んでる気がしないから、だからなんだが、呼びたくないのに言いたいことがあるから仕方なく声を掛けてる気持ちになるんでしょうか」
自分で分析しながら、我ながら変な感覚だと呆れてしまう。
ただ目雲にはなかなかに衝撃的な気持ちだった。
「ゆきさんを怒らせたら声も掛けてもらえなくなるんですか?」
ゆきの怒りなど想像もできなかったからこそ、そうなった時の対応が正しくできるか、ただただ謝るだけで果たして許してもらえるのだろうかと、何もしていないうちから不安が芽生えてしまった。
「あまり怒ったことはないんですけど、確かに嫌いな人とは会話したくないので笑顔で挨拶と返事くらいしかしなくなりますね、一応気付かれない程度だとは思いますけど」
目雲にとってはショッキングな事実だった。
「気付かないうちに嫌われてる場合がありますね」
ゆきとしてはあくまでも親しくない人間との間の確執の想定だから、そんなことは起こりえないと断言できた。
「些細なことの積み重ねなら放置したりしないでちゃんと大事な人とは話し合いますから、そんな急に嫌いになったりしないですよ。目雲さんこそ嫌いになったら言って下さいね、ちゃんといなくなりますから」
気分を害する人間はすぐに目の前からいなくなるべきだとゆきの発想はすぐにそこに着地した。
それにも目雲の不安は煽られる。
「せめて嫌いになる前にと言って下さい、どうして別れる前提なんですか。そもそも嫌いになりませんし」
「人間何が起こるか分かりませんから」
「そんな心づもりはやめてください」
目を見て強めに言われ、ゆきははっとする。
「あ、そうですね。これ私の悪い思考の癖ですね。前の恋愛の後遺症でしょうか、無意識に予防線張ってるのかもです。久しぶりに恋してるので気が付きませんでした」
「……ゆきさんは、僕の感情を揺さぶるのが得意ですね」
さらに動揺した。
「え! すみません、もう話してあるのでそれぐらいは話題にしてもいいのかと勘違いしてました」
過去の話なんて持ち出して不味かったと反省する。けれど目雲は首を振る。
「そこではないです」
「違う?」
ではどこだろうかと、失言の個所を探るゆきの髪を目雲は撫でる。
「ゆきさんが過去の恋愛で傷ついているとさらけ出してくれるところも、僕に恋をしていると当然の様に言葉にするところも、僕の心にすごく響きます」
ゆきの言葉には感情の裏付けがあると受け取るようになってきた目雲には、恋してるなんて言われてしまうと嬉しくないわけがなかった。
甘く微笑む目雲に当てられて、その視線からつい逃れ、まだ触れ合っている手に視線を落しつつ、ゆきの考えとは逆で肯定的捉えれていることはなんとか理解が追いついた。
「えーと、言っても良かったってことですか?」
「そうです」
それなら良かったです、と何とか口にした。
落ち着かせるようにふうと息を吐くゆきに、目雲は一つ提案した。
「戻る前に何度か呼んでもらってもいいですか? うっかり聞き逃したりしたくないので、感覚に馴染ませておきます」
よっぽど聞きなれない呼び方なのだと恐縮しながら、折角呼ばせてもらえるなら自分も慣らしておこうと再び、今度は隣から呼びかける。
「周くん」
「はい、ゆきさん」
反応してくれる目雲にすらゆきの方が笑ってしまう。
「なんか変な感じです」
「慣れてください」
それしかないのは分かっているゆきだったが、自省が止まらない。
「物事は思い付きでするものではないという典型ですね」
「慣れたら大丈夫ですよ。さて、すごく家に帰りたいところですが、戻りましょう」
「帰りたいんですか?」
どこか体の不調が出てきたのか、心配しているのが分かる目雲はわざと朗らかに伝えた。
「ゆきさんと二人きりになりたいだけです、ただそれは明日の楽しみにして今日はちゃんと皆と楽しみましょう」
目を丸くしたゆきが、そのままの状態で頷く。
「了解です」
冷静で正常ないつもとも照れているとも違う、ただ頷くだけのゆきを目雲が不思議がりながら微笑む。
「了解してくれるんですね」
「ちょっと処理能力を低下させたので、よく分かってないです。とりあえずみんなのところに戻りましょう。明日のことは明日の私が考えてくれます」
堂々とゆきが先延ばしにしたので、目雲がさらに笑みを漏らす。
「浅はかなゆきさんも好きですよ」
その言葉にゆきが仇の首を取ったように得意げになる。
「やっと私が浅はかだと気付いてくれましたね。もうそのまま浅はかにしておいてください、それでも好きでいてくれるなんて寛大な目雲さんが好きですよ」
意図的に軽口を叩いたように言うゆきだったが、目雲の方がそこは上手(うわて)だった。
「名前」
あっと声にもならない反応を咄嗟にした後、ゆきがゆっくりと俯くとのそのそと憎たらし気に上目遣いをした。
「そんな周くんも好きです」
そんなゆきが可愛くて仕方なくて、目雲はゆきを抱きしめる。
「ずっと隣にいてください」
「周くんも」
腕の中で微笑むゆきにキスを落として、周弥は立ち上がる。
「行きましょうか」
すぐに離れた唇をうっかり見つめながら、自分の唇を抑えたゆきは、なんとか再起動して同じく立ち上がった。
「……はい」
ゆっくり、ゆっくり。
一つずつ。
少しずつの変化を甘受しながら、穏やかなに二人の生活は続く。
周弥はそれがゆきのもたらしてくれるものだととても大切にしているし、ゆきは人生の山も谷もないようでいて実はいろんなトラブルに遭遇してはあっさり乗り越えて周りの方を心配させつつ本に埋もれる相変わらずの毎日で、そのせいでフォローをさせている周弥をなんとか労おうと頑張る暮らしを送っている。
どんな変化が起ころうと二人の生活はそうやってこれからも続いていき、時には周りに巻き込まれ、巻き込みながら、幸せを二人で感じ続けていける。
周弥の実家で、周弥さんと呼ぶことに釈然としない周弥と礼節を弁えるゆきとの攻防が繰り広げられたり、いろいろと出掛けたり遠くへ旅行に行ったり、ゆきが風邪を引いた時には日頃の恩返しだと過保護すぎる待遇に感謝を通り越して二度と風邪を引かない方法を本気で探したくなったり。
もっともっと先の将来、郊外に庭付きの家に引っ越し、そこを暮らしやすいように周弥が設計しリフォームした結果明るいが魔女の家のような雰囲気にしたり、そこで周弥が梅酒や味噌など様々自分で仕込み始めたりハーブを栽培していみたり、ゆきは相変わらず本に浸かるような暮らしをしていたり、そんな未来。
けれどそれはまだいつかのお話。
日常の中に些細な喜びを見つけ続ける二人は自分に正直に今を見つめ続けている。
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雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
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エピローグ投稿ありがとうございます。
作品全体化が、ゆったりとした空気感があって、とても好きな作品です。
ゆきちゃんの何気ない、それでいて鋭い考え方も、目雲さんの弱くて、でもスパダリな部分も大好きでした。
二人の何気ない日常もまだ見てみたいです。
ありがとうございます!
二人のことを大好きと言ってもらえてとても嬉しいです!