仁川路朱鳥詩集

高2

散文詩3（「神籍手稿」より）

移動、ふわふわと漂い。
漂着した。意志に振るわれる。
王冠の輝きを身に伏せて。
現れる秘匿のヴェール。
今、剥がせばいい。

言葉は秘匿を揺るがす風
言葉は秘匿を明かす光
言葉は隠匿する覆い
言葉は隠匿する闇
二面を持ちつつ二つは共存した姿勢。

定住するかにも見えるのだが
私達の本質は意識を
うつろい歩くのだ
ヤドリギにも過ぎないし形成界でしかない

東からやってこようとも私は私だ
西から発生しようとも私は私だ
北から舞い降りようとも私は私だ
南から湧き出ても私は私だ
言葉の性質は説明であるから。

どれだけ根が剥がれようとも
どれだけ根本から剥離しようとも
本質は変わることなく座す
それが私とわが子の共通法則であり
風が吹こうとも飛ばされようとも
絶対に変化することはない
表面的な変化はすれど、伝授の性質は剥がれない

うつろい変わりはするが何も変わってなどいない
ただ世代交代がなされるだけ
台風も人間も言葉も同じ
死してもまた生まれてくる
しかし元がなければ生まれることはできないから

わが子は人の意識内にて
洗練された鋭い剣として顕現する
柔らかなカーテンの動き
ゆらゆらと揺れるペンデュラムの動き
小さくざわめく木々のうわさ話
そういった何でもないところから
わが子は生まれてくるものだ。