黒と白の冒険者

舞米

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ラビュリントスの夜は、迷宮の魔力が静かに響き、星空が宿「迷宮の灯」の窓を飾る。天幕付きのベッドで、セリウスはクロウの胸に寄り添い、穏やかな寝息を聞いていた。だが、深夜、クロウの呻き声が静寂を破る。
「…耐えろ…やめろ…!」セリウスが目を覚まし、青みがかった瞳でクロウを見つめる。クロウは冷や汗を額に浮かべ、質のいい黒の寝衣が乱れ、苦しげに身をよじる。
「クロウ…?クロウ、起きて!」セリウスが呼びかけるが、クロウは目を閉じたまま魘される。額の汗が枕に滴り、声が震える。「…強くなれ…死ぬな…!」

セリウスがクロウの頬に手を触れ、冷たい汗を感じる。「クロウ、こんな苦しそうな顔…悪夢の回廊のせい?」彼の心に、暗い感情が渦巻く。

クロウの感情は全部、私だけのもの。過去や悪夢にクロウの心が奪われるなんて、許せない… セリウスはクロウの閉じた灰色の瞳を見つめ、唇に微笑みを浮かべる。「クロウの想い、存在、全部私のものだよ。」彼の手がクロウの首にそっと這い、優しく肌を撫でる。「クロウは感情、想いは全て私に注がないと…ふふ…」

「クロウ、今、楽にしてあげる…どんな夢か、見せて。」
セリウスがクロウの額に唇を寄せ、そっとキス。白い光が彼の指先から溢れ、聖力がクロウの意識に潜る。セリウスの視界に、クロウの悪夢が広がる――幼いクロウが、質のいい黒の訓練着に身を包み、広大な訓練場で血と汗にまみれる。厳格な師匠が冷酷に言い放つ。「生き残るためには強くなれ!死にたくなければ鍛えるしか道はない!」
クロウは小さな体で剣を握り、倒れそうになりながら体術を繰り出す。血が地面に滴り、魔力が尽きると、大人の魔法使いが回復魔法をかけ、強制的に戦いを再開させる。

周囲の騎士や大人たちは、クロウの苦痛に目を背け、青ざめる。「…子供にこんな訓練、耐えられるはずがない…」と呟く者もいる。だが、師匠は容赦なく剣を振り下ろし、クロウは歯を食いしばって耐える。「…強くなれ…死ぬな…!」幼いクロウの声が、セリウスの心に突き刺さる。セリウスが夢の中で涙ぐむ。「クロウ…こんな過酷な過去…」

聖力がさらに深く探り、夢の断片が続く。クロウが訓練場で血まみれの手で剣を握り、師匠の言葉が反響する。「強くなれ!生き残れ!」その時、威厳ある男――父親と思われる人物――が現れる。黒いマントを翻し、冷ややかな目でクロウを見つめる。「この子は少しは使えるようになりそうか?」父親が大人たちに問う。師匠が恭しく答える。「このまま訓練を続ければ、15歳あたりで使える戦力になるでしょう。」父親が無表情に頷き、「続けろ」と一言。クロウは地面に膝をつき、震える手で剣を握り直す。夢はそこで途切れる。

セリウスが現実に戻り、クロウの首を握る手を強める。「クロウ…こんな過去、こんな大人たちに…『使える戦力』だなんて…クロウの心は私のものなのに…」青みがかった瞳に暗い光が宿る。彼は手を離し、クロウの頬を優しく撫でる。「クロウ、過去はもういいよ。私がそばにいるから…全部、私が受け止める。」セリウスがクロウの唇に深くキスを重ね、聖力を微かに流し込む。クロウの呻き声がわずかに静まるが、目は閉じたまま、冷や汗が流れ続ける。「…耐える…強くなれ…」クロウの呟きが部屋に響く。

セリウスがクロウの胸に顔を埋め、囁く。「クロウの全て、私のものだよ。もう悪夢になんて、渡さない。」彼の指がクロウの黒髪を撫で、聖力をさらに流す。クロウの呼吸が少し落ち着くが、魘されたまま震える。「クロウ…私がいるよ。どんな過去も、全部私が抱きしめる。」セリウスがクロウの首に再び手を這わせ、優しくキスを繰り返す。クロウの心、想い、全部私のもの… 彼の心の奥で、暗い微笑みが広がる。








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