愛してください!〜前世で元親友と元婚約者に殺されましたが、今世の親友と婚約者と共に復讐します〜

あいみ

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第一章

想像を超えた対応

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 と、約束をしたのが今朝。

 何もなく平穏無事……に、今日のアカデミーでの一日は終わった。

 人気者のエドガーは私にばかり構えないし、大勢の前でディーに忠告されてしまい声をかけてくるにもためらいがある。

 ヘレンはそれなりに相手をしていれば満足したのか、男子生徒の元に行ってはチヤホヤされていた。

 そんな一日だった。特に変わり映えのない、私からしたら平凡な時間。

 驚いたのは、放課後。帰るときだった。

 ヘレンが一緒に帰ろうと私を誘ってきたのだ。事情を知らない他の生徒からしたら、どうってことない日常風景。

 でもね。私からしたらふざけているようにしか思えなかった。

 私の侍女に暴力を振るっておいて、何もなかったかのように仲良しアピールをするヘレンに戸惑いが隠せない。

 昨日の今日よ?いくら記憶力が悪いといっても、そんなすぐ忘れるなんて異常。

 それとも何。私ならもう許してくれているとでも?

 私が許すのはきちんと謝罪して、自らの非を認めた人だけ。

 自分のやった行いを正当化するような非常識な人間を許してあげるほど、私の心は広くない。

 シャロンと帰るからと伝えれば、声には出さないものの「私を差し置いて」と、不満が漏れていた。

 帰りもボニート家の馬車に乗せてもらい、やはりなぜか御者は私を睨む。

 それはとても一瞬のことで、すぐ笑顔に戻るから気のせいだと言い聞かせるしかない。

 ニコラはボニート家の使用人と仲が良く、迎えに来るときには何かの話で盛り上がっていた。

 ──ニコラが楽しそうで良かった。

 理由も聞かず快くニコラの安全を引き受けてくれたボニート家の面々に感謝を述べて、朝と同じように歩いて帰る。

 そこまではいつもの日常が少し変わった程度。

 屋敷に帰り着くと目を逸らしたくなる現実が待ち受けていた。

 誰の仕業か一発でわかってしまう。

 待って。どういうこと。理解が追いつかない。

 ディーはニコラを守る力を貸してくれると約束した。したんだけど……。

 ──さすがにこれはやり過ぎでは?

 今日はいつもより帰りが遅かった。それはいい。大したことじゃない。

 私がいなくても、ここの人間は困りはしない。

 むしろ私の顔を見なくていいと清々してるかも。

 仕事をサボって陰口を堂々と叩ける機会を逃さない。

 問題なのは門の前に王宮第一騎士団の副団長と団員がいること。

 まさかと思うけど、彼らが護衛にあたるわけじゃないよね?

 第一騎士団は王族の護衛が主な役割。第一王子と言えど動かすのも難しいはず。

 もしかしてアレかな。ディーが我が家に立ち寄ると思い、陛下のめいを受けて迎えに来たとか。

 ……違うわよね。

 だって私と目が合うと左胸に手を当て頭を下げてくる。

 このまま外に置いておくわけにもいかず、一緒に中に入った。

「お帰りなさいませアリアナお嬢様」

 状況の説明をして欲しいとヨゼフの顔が言っていた。私もして欲しいわ。

 こんな大事おおごとにするなんて思ってもいなかったから。

 護衛対象が私ならともかくニコラのためにここまで……。

「アリアナ!これは一体どういうことだ!?」

 カストの伸ばされた手を振り払ったのは副団長だった。私達の間に割って入って、近づくなと牽制している。

「アリアナ様への接触はアカデミー卒業までの残り二年間。我々を通して頂きます」
 「「何っ!!?」」

 様子を見に来たお父様まで血相を変えた。

 言い争うのは玄関先ではなく応接室でお願いしたい。

 ただならぬ雰囲気に怯えるニコラの肩を抱いて安心させた。

 かなり強引なやり方ではあるけどディーは本当にローズ家からニコラを守ってくれたのだ。

 男性騎士では私の世話が出来ないという理由からニコラのみが傍にいていいことになった。

 要件を伝えに来るのは陛下からの信頼が厚いブランシュ辺境伯に勤めていたヨゼフに任命。

 それ以外は家族であろうと私の許可なしに近づくことを許さない。

 流石に納得いかなくて全員が異議を唱える。

「突然来てそんな要求を飲むと本気で思っているのか」
「アリアナは私達の娘なんですよ。それを引き裂く権利があるんですか」
「わかりました。皆様は本件に反対ということですね」
「当たり前だ!それよりもニコラ!!今までどこにいた!?ヘレンに謝りもしないで」

 お父様は何を言ってるの?謝るのはヘレンでしょう。

 被害者が加害者に謝るなんて聞いたことがないわ。

 ニコラの淹れてくれる紅茶はいつだって美味しい。それを不味いと感じたのならヘレンの舌がおかしい。

 一度医師に診てもらったほうがいいのでは?

 どうせならディーに頼んで王宮医を呼ぶのもいいわね。

「それでは皆様には反逆の疑いがあるため拘束させて頂きます」
「どういうことですか」
「全てディルク殿下のご命令です。従えないのであれば地下牢に閉じ込めるよう指示されております」

 地下牢に閉じ込めると聞いてお父様は青ざめた。

「ま、待て。これはあのガキ……殿下のご命令だと知らなかったからであって。王族に反旗を翻すなど」

 声が震えている。流石のお父様も王族に楯突くのは堪えるようね。

「お父様の言う通りです。騎士様が突然やって来られて動揺して話を聞けなかっただけです。ですから今回は不問に付して頂けないでしょうか」

 不思議とディーの考えがわかった。

 彼らはわざと何も言わなかったのね。私に庇わせるために。

 このパフォーマンスは次の一手を放つ下準備。

「一度目はアリアナ様に免じて許せと命が下っております。ですが二度目は例えアリアナ様が庇われても牢に入れろと」

 ディーもズルいわ。来て早々、反発する権利を奪ってしまうのだから。

 これでもう従わざるを得なくなった。

 食事は私が望むときだけ家族で食べることになった。

 ヘレンの部屋を三階に移して欲しいけど、そのワガママは口にはしない。

 それに三階には私のお気に入りの部屋もあるし、同じ階のほうがいいか。

 不用意に近づいてこられないだけでも気分がスッキリしたから。

 呆然とするなんて彼らを放置して、部屋へと戻る。

 来たばかりの騎士団の二人に屋敷の構造や、誰がどの部屋を使っているかの説明をした。

 抜け道とか、そんな高度なものはなく他の貴族の屋敷と似たり寄ったり。

 私の言葉を真剣に聞いてくれる人がいるのは新鮮。
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