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《第二章:世界核継承戦 — 蒼光の代行者と黒律の目覚め》
第11話 本編:黒律・第二形態 “虚無の王子(プリンス・ゼロ)”
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黒い影の身体が、ゆっくりとほどけていく。
まるで皮膚を裏返したように、黒の内側から“別の黒”が生まれた。
空間が震えたわけではない。
震えたのは――俺の“存在線”だった。
(……なんだ、この圧……!?)
ユリが悲鳴に近い声を上げた。
「レオン……! 見ちゃダメ、あれ……!
“虚無の王子(プリンス・ゼロ)”が出る!!」
黒の霧が収束し、細く美しい体躯を形づくる。
だがその身体は“線”が存在しない。
生命律で見える世界に、彼だけが“見えない”。
なのに圧倒的な存在感で空間を支配していた。
影――いや、第二形態が、首を傾げる。
「痛覚も、触覚も……この形なら“君たち”と同じ。
でも、僕は“存在していない”」
その矛盾した言葉の意味は、すぐ理解した。
(……青律で読めない……
生命線が、本当に……“無”だ……!?)
次の瞬間。
虚無の王子が指を一度だけ弾いた。
ただの、軽い音。
なのに。
**世界が削れた。**
空間に細い黒線が走り、
根核の生命線が一瞬で“消えてなくなる”。
音も残らない。
軌跡も残らない。
ただ、そこにあった線が“無かったことにされる”。
リーテが崩れ落ちる。
「うそ……だろ……?
なに……今の……?」
ノアが青ざめる。
「“存在線の断絶(ゼロ・カット)”……!
青律どころか、生命のしくみそのものを拒絶する技……!」
虚無の王子は歩く。
音もなく、影さえ残さず。
ただ“そこに現れる”。
俺は青律を広げた。
「青律――観測!!」
視界が一気に青へ染まる。
世界の線が浮かび上がり、敵の動きが読め――
(……読めない!?)
虚無の王子の身体だけは、完全に“空白”だった。
影は俺の焦りを楽しむように微笑む。
「青律は“存在するもの”を読む力。
だから“存在しない僕”は読めない。」
次の瞬間、
虚無の王子の姿が消えた。
(速――)
胸に冷たい指先が触れた。
それだけで、
胸の奥で“何かが欠ける感覚”。
生命線が削られる音が聞こえた気がした。
ユリが叫ぶ。
「レオン!!!
離れて!! 触られたら……消える!!」
影は淡々と告げる。
「消すつもりはないよ。
青律は、すぐ壊れないから。
少し“味”を見るだけ」
俺は剣を握り、強引に弾き返した。
瞬間、虚無の王子は後退し、興味深そうに俺を見る。
「……驚いた。
第二形態の接触を払いのけるなんて。
やっぱり“青律の本流”だ」
黒い紋章が空間に浮いた。
虚無の王子が両腕を開く。
「じゃあ、次は少し本気で。
“虚無領域(ゼロフィールド)”」
空間が泡立つように歪み、
無数の黒い球体が出現した。
ひとつひとつが“存在の穴”。
触れれば消える。
リーテが絶叫する。
「触れたら……全部消えるってこと!?
攻撃とかじゃなくて……“この世界から”……!?」
ノアが叫ぶ。
「レオン!!
本気で避けろ!!
青律でも対処できない!!」
虚無領域が爆ぜた。
黒い球体が連鎖的に崩壊し、
爆風ではなく“空白”が迫ってくる。
俺は剣を構え、叫んだ。
「青律――調律モード!!
生命線の流れを書き換える!!」
青い線が前方を覆う。
だが虚無の球体は青を飲み込みながら迫る。
(間に合わない……!)
虚無の王子の掌が俺の胸に触れた。
その瞬間、
胸の中の生命線が“何本か”消えた。
体が冷える。
呼吸が浅くなる。
視界が歪む。
(まずい……このままじゃ――)
影は静かに呟く。
「青律の第一段階は“断絶”。
君を黒へ引き込むための……前処理だよ」
ユリが泣き叫ぶ。
「レオン!!!
お願い……負けないで……!
青律は……“消すための力”じゃないよ……!!!」
ノアが怒鳴る。
「レオン!!
黒律は線がなくて読めない!!
なら――“線の外側”を読め!!!
黒は空白だ!! 空白の“歪み”が弱点だ!!」
(空白の……歪み……)
虚無領域が再び迫る。
世界のすべてが黒に飲み込まれそうな瞬間、
俺の青律が――わずかに反応した。
黒の外側に、一瞬だけ**裂け目のような光**。
“空白の癖”。
“ゼロの歪み”。
それは線ではない。
だが確かに“ある”。
俺は剣を握り、叫んだ。
「青律――外縁修正(エッジ・リライト)!!!」
青い光が黒を外側から切り裂き、
虚無領域が一部崩れる。
虚無の王子は初めて、わずかに後退した。
「……外縁を……読んだ……?
そんなこと……“できるわけがない”のに……」
影の声が震えた。
殺気が変わった。
警戒の色が滲む。
「ならば仕方ない。
本当に“消す気”でいくよ。」
虚無の王子は、完全に殺意を向けた。
虚無そのものが、
俺という存在を初めて「排除対象」として捉えた。
世界が凍りついたような静寂。
虚無の王子が両腕を広げ――
黒律の深層を解放する。
レオンの生命線が、
本当に断ち切られ始めた。
まるで皮膚を裏返したように、黒の内側から“別の黒”が生まれた。
空間が震えたわけではない。
震えたのは――俺の“存在線”だった。
(……なんだ、この圧……!?)
ユリが悲鳴に近い声を上げた。
「レオン……! 見ちゃダメ、あれ……!
“虚無の王子(プリンス・ゼロ)”が出る!!」
黒の霧が収束し、細く美しい体躯を形づくる。
だがその身体は“線”が存在しない。
生命律で見える世界に、彼だけが“見えない”。
なのに圧倒的な存在感で空間を支配していた。
影――いや、第二形態が、首を傾げる。
「痛覚も、触覚も……この形なら“君たち”と同じ。
でも、僕は“存在していない”」
その矛盾した言葉の意味は、すぐ理解した。
(……青律で読めない……
生命線が、本当に……“無”だ……!?)
次の瞬間。
虚無の王子が指を一度だけ弾いた。
ただの、軽い音。
なのに。
**世界が削れた。**
空間に細い黒線が走り、
根核の生命線が一瞬で“消えてなくなる”。
音も残らない。
軌跡も残らない。
ただ、そこにあった線が“無かったことにされる”。
リーテが崩れ落ちる。
「うそ……だろ……?
なに……今の……?」
ノアが青ざめる。
「“存在線の断絶(ゼロ・カット)”……!
青律どころか、生命のしくみそのものを拒絶する技……!」
虚無の王子は歩く。
音もなく、影さえ残さず。
ただ“そこに現れる”。
俺は青律を広げた。
「青律――観測!!」
視界が一気に青へ染まる。
世界の線が浮かび上がり、敵の動きが読め――
(……読めない!?)
虚無の王子の身体だけは、完全に“空白”だった。
影は俺の焦りを楽しむように微笑む。
「青律は“存在するもの”を読む力。
だから“存在しない僕”は読めない。」
次の瞬間、
虚無の王子の姿が消えた。
(速――)
胸に冷たい指先が触れた。
それだけで、
胸の奥で“何かが欠ける感覚”。
生命線が削られる音が聞こえた気がした。
ユリが叫ぶ。
「レオン!!!
離れて!! 触られたら……消える!!」
影は淡々と告げる。
「消すつもりはないよ。
青律は、すぐ壊れないから。
少し“味”を見るだけ」
俺は剣を握り、強引に弾き返した。
瞬間、虚無の王子は後退し、興味深そうに俺を見る。
「……驚いた。
第二形態の接触を払いのけるなんて。
やっぱり“青律の本流”だ」
黒い紋章が空間に浮いた。
虚無の王子が両腕を開く。
「じゃあ、次は少し本気で。
“虚無領域(ゼロフィールド)”」
空間が泡立つように歪み、
無数の黒い球体が出現した。
ひとつひとつが“存在の穴”。
触れれば消える。
リーテが絶叫する。
「触れたら……全部消えるってこと!?
攻撃とかじゃなくて……“この世界から”……!?」
ノアが叫ぶ。
「レオン!!
本気で避けろ!!
青律でも対処できない!!」
虚無領域が爆ぜた。
黒い球体が連鎖的に崩壊し、
爆風ではなく“空白”が迫ってくる。
俺は剣を構え、叫んだ。
「青律――調律モード!!
生命線の流れを書き換える!!」
青い線が前方を覆う。
だが虚無の球体は青を飲み込みながら迫る。
(間に合わない……!)
虚無の王子の掌が俺の胸に触れた。
その瞬間、
胸の中の生命線が“何本か”消えた。
体が冷える。
呼吸が浅くなる。
視界が歪む。
(まずい……このままじゃ――)
影は静かに呟く。
「青律の第一段階は“断絶”。
君を黒へ引き込むための……前処理だよ」
ユリが泣き叫ぶ。
「レオン!!!
お願い……負けないで……!
青律は……“消すための力”じゃないよ……!!!」
ノアが怒鳴る。
「レオン!!
黒律は線がなくて読めない!!
なら――“線の外側”を読め!!!
黒は空白だ!! 空白の“歪み”が弱点だ!!」
(空白の……歪み……)
虚無領域が再び迫る。
世界のすべてが黒に飲み込まれそうな瞬間、
俺の青律が――わずかに反応した。
黒の外側に、一瞬だけ**裂け目のような光**。
“空白の癖”。
“ゼロの歪み”。
それは線ではない。
だが確かに“ある”。
俺は剣を握り、叫んだ。
「青律――外縁修正(エッジ・リライト)!!!」
青い光が黒を外側から切り裂き、
虚無領域が一部崩れる。
虚無の王子は初めて、わずかに後退した。
「……外縁を……読んだ……?
そんなこと……“できるわけがない”のに……」
影の声が震えた。
殺気が変わった。
警戒の色が滲む。
「ならば仕方ない。
本当に“消す気”でいくよ。」
虚無の王子は、完全に殺意を向けた。
虚無そのものが、
俺という存在を初めて「排除対象」として捉えた。
世界が凍りついたような静寂。
虚無の王子が両腕を広げ――
黒律の深層を解放する。
レオンの生命線が、
本当に断ち切られ始めた。
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