追放された錬金術師、素材1つで世界を壊す。俺だけ“純度100%”を作れるから

ケルベロス

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《第二章:世界核継承戦 — 蒼光の代行者と黒律の目覚め》

第15話 本編:反転モード完全発動 ― “存在の流れを逆さにする者”

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白い光が弾け――  
世界が、逆流した。

(……これは……いままでの青律じゃない……  
 もっと深い、もっと重い……  
 “世界の底”が動いている……!)

虚無の王子の第三形態は、  
黒い光でも闇でもなく――  
存在の「穴」が脈動しているようだった。

だがその中心の“ゼロ核”に、  
青い光が一筋――触れた。

虚無の王子が一瞬だけ硬直した。

「……いま……触れた……?  
 この形に……?」

ユリが震えながら叫ぶ。

「レオン!!  
 そのまま!!  
 あなたの青律、ゼロ核を掴んでる!!」

ノアは驚愕で声を失う。

「反転モード……  
 本当に……発動したのか……!?  
 黒律の因果そのものを……逆流させている……!」

虚無の王子は、  
第三形態にして初めて“後退”した。

「……青律の源流……。  
 本当に、そこまで到達してしまったのか……」

黒が空間に溶けるように拡大し――  
“絶対消去”を解除する準備に入る。

(……逃がさない……!  
 いま、押し返す!!)

青い光が俺の胸から噴き上がった。

### ■ 《反転モード:起動》

視界の世界は青に染まり、  
線が無数の渦を描いて流れている。

その流れを――逆に動かす。

「――青律・反転モード」

虚無の王子が息を呑んだ。

「行使する気か……  
 “因果の反転”を……!」

青い線が空間に突き刺さり、  
黒い領域が“剥がれ始めた”。

リーテは震えた声で呟いた。

「……世界が……逆回転してる……?  
 これ……なに……?」

ユリが答える。

「青律は“書き換え”。  
 反転モードは――“因果を逆に流す”。  
 黒律の攻撃の結果を、なかったことにする……!」

虚無の王子は静かに目を閉じた。

「やはり……危険だ。  
 君は、黒律にとって“最悪の存在”……  
 世界核を統合できる唯一の権限保持者……  
 ――“源流の担い手”。」

俺は一歩踏み込む。

「源流だとかなんだとか、そんなことはどうでもいい。  
 お前が世界を消すなら――止める。」

虚無の王子の形が揺らぐ。

黒い空間が乱れ、  
第三形態の“輪郭のない身体”が震えた。

(効いてる……!  
 反転モードが、第三形態を乱してる……!)

虚無の王子が目を見開き、叫ぶ。

「やめろ!!  
 それ以上は本当に――  
 黒律そのものが崩れる!!!」

青い線が虚無の王子の胸に突き刺さる。

瞬間、  
“ゼロ核”が露出し――  
僅かな揺らぎを見せた。

ユリが悲鳴をあげる。

「レオン!!  
 ゼロ核が見えてる!!  
 そこを……そこを斬って!!!」

ノアが叫ぶ。

「迷うな!!  
 第三形態は世界に存在してはいけない!!  
 今なら……ほんの一瞬なら勝てる!!」

虚無の王子の声が震えた。

「……やめてくれ……  
 ゼロ核は……僕の“存在そのもの”……  
 消えたら……もう戻れない……  
 僕は……僕はただ……世界を……」

(……世界を……?  
 消したいんじゃなく……?)

だが、考えている暇はない。

黒い光が再び集まり、  
第三形態が反撃に転じようとする。

(いましかない……!)

俺は剣を握り――  
“世界の線”そのものを手繰り寄せた。

「青律――  
 《因果反転(カーズ・リフレイン)》!!!」

青い光が爆ぜ、  
虚無の王子のゼロ核へと吸い込まれていく。

空間が裂け、  
黒い渦が逆流し、  
第三形態が大きく揺らいだ。

虚無の王子が叫ぶ。

「やめろ……!!  
 因果を反転させるな……!!  
 僕は……もう……戻れない……!!!」

リーテが泣きながら叫ぶ。

「レオン!!  
 止めないで!!  
 あいつはあなたを殺そうとした!!」

ユリも絶叫する。

「レオン!!  
 ゼロ核が開ききってる!!  
 あと一撃で倒せる!!」

黒と青がぶつかり、  
世界が震える。

虚無の王子の声は――  
恐怖でも怒りでもなく。

「僕は……  
 本当は……誰かに止めてほしかったんだ……」

そんな声だった。

(……)

次の瞬間。  
第三形態が崩壊し始める。

黒い外殻が砕け、  
ゼロ核が露出し――

「――レオン!!!  
 とどめを!!」

ユリとノアの声が重なる。

(……どうする……?  
 ゼロ核を壊せば、虚無の王子は消える。  
 でも……その奥に何がある……?)

剣を振り下ろそうとした瞬間。

虚無の王子が――  
ほんのわずかに笑った。

「……ありがとう……」

世界が白く染まった。

反転モードが暴走を始めた。

俺は――  
選ばなければならない。

**“黒律そのものを削るのか”  
 それとも  
 “ゼロ核の正体を掴むのか”。**
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