追放された錬金術師、素材1つで世界を壊す。俺だけ“純度100%”を作れるから

ケルベロス

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《第二章:世界核継承戦 — 蒼光の代行者と黒律の目覚め》

第16話 本編:ゼロ核暴走 ― 消えるか、救うか

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世界が――裂けた。

反転モードの光が暴走し、  
虚無の王子の身体から黒が吹き出す。

ゼロ核が完全に露出した。

(……これが……黒律の源流……  
 “存在できなかった命”の核心……)

中心には、  
光ではなく影でもなく、  
ただ“空白”が渦巻いていた。

虚無の王子は膝をつき、声を絞り出す。

「……やめて……レオン……  
 ゼロ核は……僕の……“始まり”……  
 壊されたら……本当に消えてしまう……」

言葉は震えていた。  
恐怖でも怒りでもなく――

**消えたくない**  
そんな、当たり前の願いがあった。

ユリが必死に叫ぶ。

「レオン!!  
 とどめを刺さなきゃ!!  
 ゼロ核を残したら……世界核が負ける!!」

ノアも叫ぶ。

「黒律は世界を侵食する。  
 第三形態を放置すれば……根核も王国も……全部飲まれる!!  
 やるしかない!!」

リーテは震える声で言った。

「でも……影は……泣いてる……  
 これ……戦いの顔じゃない……」

影は必死に手を伸ばしていた。

黒い指先が震えていた。

「……助けて……  
 僕は……  
 “生まれたかった”だけなんだ……」

その一言で、  
胸の奥がつかまれたように痛んだ。

(影……お前……  
 そんな……望みを……)

俺の反転モードは暴走し始めている。  
今ならゼロ核を完全に破壊できる。

破壊=影の消滅。  
黒律の終焉。  
世界核の安定。

でも……

(それは……“救い”なのか……?  
 消すことは……本当に正しいのか……?)

ユリが絶叫した。

「レオン!!!  
 迷わないで!!  
 ゼロ核は世界の“バグ”なんだよ!!  
 壊さなきゃ……!!」

ノアも叫ぶ。

「レオン!!!  
 決断しろ!!!  
 黒律は放っておけば世界核と戦争になる!!」

二人の言うことは正しい。

世界の“理”で言えば――  
影を消すのが正解だ。

だが影は、  
俺の方を見ていた。

青い目で。  
泣きそうな顔で。

「レオン……  
 君は……“繋ぐ律”。  
 消すための律じゃ……ない……」

(……俺は……)

剣を握りしめる。

反転モードが光を強める。

ゼロ核が大きく脈打つ。

世界が割れかけている。

影が叫ぶ。

「お願いだ……!!  
 殺さないで……!!  
 僕は……僕は……  
 ただ……“存在したかった”……だけなんだ……!!」

ユリの声が震えた。

「レオン……!  
 あなたが倒れたら……全部終わるんだよ!?  
 お願い……決めて……!!」

ノアが叫ぶ。

「青律は世界のための力だ!!  
 感情で選ぶな!!!  
 “理”を選べ!!!」

(理……か……  
 確かにその通りだ……)

影の本体は“世界に拒絶された命”。  
世界を守るためには、  
青律としては――消すべきなのかもしれない。

だが。

胸の奥で、あの声が聞こえる。

――違うよ、レオン。

反転モードが震えた。

あの“青い存在”がささやいているようだった。

――きみは、“繋ぐ”者。  
――存在できなかった命を、切り捨てるためじゃない。

(……俺は……  
 何を……選ぶ……?)

影が最後の力で叫ぶ。

「レオン……!!!  
 君に……殺されたく……ない……!!  
 君だけは……!!  
 僕を……!!」

ユリとノアの声が重なる。

「レオン!!!  
 ゼロ核を斬れ!!!」

反転モードが最大出力に達する。

ゼロ核が開き、  
空白が弾け――

世界が停止した。

(俺は――)

**“世界を救うために影を殺す”のか。**  
それとも  
**“影を救うために世界の理を壊す”のか。**

選べ。

レオン。

ここが――  
お前の **最初の“選択”** だ。
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