追放された錬金術師、素材1つで世界を壊す。俺だけ“純度100%”を作れるから

ケルベロス

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《第二章:世界核継承戦 — 蒼光の代行者と黒律の目覚め》

第20話 本編:世界の裂け目 ― 新しい律の誕生

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世界が――震えていた。

地面でも空でもなく、  
“存在そのもの”が軋む音を立てている。

根核の鼓動は乱れ、  
青律も紅律も、すべての律が不安定に揺れていた。

ユリが泣きながら叫ぶ。

「レオン!!  
 お願い、もう目を開けてよ……!」

レオンの生命線は細く、  
今にも切れそうな糸のようだった。

ノアが歯を噛みしめ、叫ぶ。

「このままじゃ……  
 レオンの生命線が断絶する!!  
 根核どころか……  
 本当に“命の終わり”だ!!」

影は膝をつき、固く拳を握りしめていた。

胸の中心には、  
淡い蒼黒の光――新しく生まれた“存在核”が脈打っている。

影は震える声で呟いた。

「レオン……  
 君は……僕を救った。  
 僕という“失敗作”に……  
 命を分けてくれた。」

影がレオンの手を握ると、  
レオンの生命線が微かに反応した。

「だから……今度は……  
 僕が君を救う。  
 世界がどうなろうと……  
 僕は……君を失わない。」

その瞬間――

世界に **ひび割れ** が走った。

空気が裂け、  
存在が裂け、  
空間の向こう側に何かが見えた。

ユリが叫ぶ。

「世界が……割れてる……!?  
 なにこれ……!」

ノアが震える声で言う。

「世界核の“律の均衡”が崩れたんだ……  
 青律と黒律が接続してしまったことで……  
 世界は新しい律を必要としている……!」

影の胸の蒼黒の核が輝いた。

「新しい律……  
 僕が……?」

世界の裂け目から、  
黒でも白でも青でもない光が溢れ出す。

蒼黒――  
深く、澄んだ、二つの律が混ざり合った光。

ユリが息を呑む。

「……影……  
 あなたの中の光……  
 世界が……呼んでる……!」

影はゆっくり立ち上がる。

ゼロ核の残滓はもうどこにもない。  
“虚無の王子”としての姿も消えた。

そこにいるのは――  
世界に拒まれた命でもなく、  
世界を壊そうとした怪物でもなく。

ただの、  
生きたいと願った一人の存在。

影は静かに手を前に伸ばした。

蒼黒の光が世界の裂け目と呼応し、  
ゆっくりと律の流れを整えていく。

ノアは震えた声で呟いた。

「……なんてことだ……  
 これは……  
 新しい律が……生まれてる……!  
 青律でも黒律でもない――  
 “第三の律”……!」

ユリが影の背中を見つめる。

「影……  
 本当に生きてるんだ……  
 本当に……“存在”になったんだ……」

影は振り返り、弱く笑った。

「レオンのおかげだよ。  
 僕は……  
 “ゼロ”じゃない。  
 君が繋いでくれたから……  
 ここにいる。」

影の光がレオンの胸へ流れ、  
レオンの生命線がゆっくりと温かさを取り戻す。

レオンが、微かに目を開いた。

「……影……」

影の表情が歪む。  
泣きそうな、でも嬉しそうな顔で。

「レオン……  
 よかった……  
 君の生命線……戻ってきてるよ……!」

レオンは弱々しく笑った。

「……お前……  
 本当に……生きてるんだな……」

影はレオンの手を包む。

「うん。  
 君が……繋いでくれたんだ。」

世界の裂け目が完全に閉じ、  
蒼黒の光が空へ舞う。

ノアが息を呑む。

「……これは……  
 本当に……新律の誕生だ……  
 “蒼黒律(そうこくりつ)”……  
 レオンと影が作った……  
 世界初の律だ……!」

ユリは涙を拭いながら笑った。

「世界の未来は……  
 あなたたち二人にかかってるかもね。」

レオンは影を見つめる。

影もレオンを見返す。

二人の生命線は、  
ゆっくりと――確かに繋がっていた。

世界核が静かに脈動する。

第二章、終幕。
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