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第一章《ギルド》「闇の権力者編」
第二話 「待ち人」
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門をくぐり、私達が街に着いた頃にはもう結構暗くなっていた。最近は暗くなるのが早いなぁ。
「帰る前に寄るとこがあるんだが、いいか?」
「いいよ!別に疲れてないし」
レイは、妙にうきうきしながら答えた。
「お前って意外と好戦的なんだな…」
「え!?いや、別に…そんなことは、ないと思うけど」
レイの戦いをちょくちょく覗き見してたけど、明らかにテンションがおかしかった。
まるで狂気とも表現出来るそれに、私は…ちょっと引いた。まぁ元の世界ではできなかったようなことだし、少年心をくすぐった...のか?
「それより何処に寄るの?」
「お前の稼いでくれた霊魂玉を売りに行くのさ」
「でもギルドの圧力で、ギルド以外の霊魂玉回収店はもう無いんじゃないの?」
私が今朝レイに説明した話のことだ。
今日、霊魂玉を売ることができるのは冒険者だけになってしまった。
かなりの権力を持つギルドは、法を自分たちの都合のいいように変えたのだ。
霊魂球売買は完全にギルドの独占市場となっているのだが、そもそも上位の魔物を倒せるような存在はギルド所属の冒険者ぐらいしかいない。
ギルドに所属するとパーティーも組みやすいし、何しろちょっとした人気職なので、少しでも腕に覚えのある者は大体冒険者になるからだ。
そんな訳で私達にとって霊魂玉はゴミ…のはずなんだが、そこはやっぱり私。流石私。
「霊魂玉を買ってくれる人物を知っている。しかも店を構えている訳ではないから違法にはならない」
「違法...」
「法を操るほどギルドが力を持っているということだ。その力を平和のために使ってくれればいいんだけどな」
レイは怪訝な顔をしたが、深くは語らなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あと五分でこの店に着くようだ」
待ち人より先に私たちは待ち合わせ場所である、レストラン「命懸けフード」に着いた。なんて物騒な名前だよ。
待つのもあれなので、レイと先に席をとっておくことにした。
「この店の名前も気になるけど…どうしてその人があと五分で着くなんてわかるの?」
「そうか、後でレイにも買っておかないとな」
「?」
「このポケベルという名の魔道具を使うことで遠く離れた人とも文章のやり取りができるんだ」
レイに、私の可愛いポケベルを取り出して見せた。丸っこくてツヤツヤしたそのデザインは、いつ見ても素敵だ。
「メールみたいなものか…。そんな便利なものがこの世界にもあったんだな」
どうやら向こうにも似たようなのがあるらしい...恐るべし異世界!
「しかしこれには重大なデメリットがある…」
「一体、どんな重大なデメリットがあるって言うんだ…」
便利で可愛い最高のアイテム、ポケベル。それに伴うデメリット...。
私は生唾を飲み込み、ゆっくりと口を開く。
「ポケベルを使うには…
相手のポケベルNo.を事前に登録しないと使えないんだ」
「普通だよ!!」
えーー!?だって万が一聞きそびれたら、この広大な世界で二度とその人に会えないかもしれないんだぞ!?ポケベルが壊れたり、無くなったりしたらデータが消えるんだぞ!!?
レイは呆れている。なんか文明の遅れているこの世界をバカにされたようで、少し腹が立った私は無言で彼の頬っぺを引っ張る。
あ、フニフニだ。
カランコロン
ドアに付けられたベルが、誰かが入店したことを告げる。彼女こそが私たちの待ち人だった。
「おーい!こっちだ」
こっちに気づくと、彼女はにぱーと笑う。そして嬉しそうに、こちらへトコトコと小走りでやってきた。
「アンナァ、久しぶり♡」
彼女が抱きついてくる。少々気恥しいが、私も再会出来た喜びは大きい。
「久しぶり!元気そうでよかったよ」
視界の端で気まずそうに立っているレイに気づく。
「あ、紹介するよレイ。彼女は…」
「エイ・ティアと申します♡よろしくね」
「帰る前に寄るとこがあるんだが、いいか?」
「いいよ!別に疲れてないし」
レイは、妙にうきうきしながら答えた。
「お前って意外と好戦的なんだな…」
「え!?いや、別に…そんなことは、ないと思うけど」
レイの戦いをちょくちょく覗き見してたけど、明らかにテンションがおかしかった。
まるで狂気とも表現出来るそれに、私は…ちょっと引いた。まぁ元の世界ではできなかったようなことだし、少年心をくすぐった...のか?
「それより何処に寄るの?」
「お前の稼いでくれた霊魂玉を売りに行くのさ」
「でもギルドの圧力で、ギルド以外の霊魂玉回収店はもう無いんじゃないの?」
私が今朝レイに説明した話のことだ。
今日、霊魂玉を売ることができるのは冒険者だけになってしまった。
かなりの権力を持つギルドは、法を自分たちの都合のいいように変えたのだ。
霊魂球売買は完全にギルドの独占市場となっているのだが、そもそも上位の魔物を倒せるような存在はギルド所属の冒険者ぐらいしかいない。
ギルドに所属するとパーティーも組みやすいし、何しろちょっとした人気職なので、少しでも腕に覚えのある者は大体冒険者になるからだ。
そんな訳で私達にとって霊魂玉はゴミ…のはずなんだが、そこはやっぱり私。流石私。
「霊魂玉を買ってくれる人物を知っている。しかも店を構えている訳ではないから違法にはならない」
「違法...」
「法を操るほどギルドが力を持っているということだ。その力を平和のために使ってくれればいいんだけどな」
レイは怪訝な顔をしたが、深くは語らなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「あと五分でこの店に着くようだ」
待ち人より先に私たちは待ち合わせ場所である、レストラン「命懸けフード」に着いた。なんて物騒な名前だよ。
待つのもあれなので、レイと先に席をとっておくことにした。
「この店の名前も気になるけど…どうしてその人があと五分で着くなんてわかるの?」
「そうか、後でレイにも買っておかないとな」
「?」
「このポケベルという名の魔道具を使うことで遠く離れた人とも文章のやり取りができるんだ」
レイに、私の可愛いポケベルを取り出して見せた。丸っこくてツヤツヤしたそのデザインは、いつ見ても素敵だ。
「メールみたいなものか…。そんな便利なものがこの世界にもあったんだな」
どうやら向こうにも似たようなのがあるらしい...恐るべし異世界!
「しかしこれには重大なデメリットがある…」
「一体、どんな重大なデメリットがあるって言うんだ…」
便利で可愛い最高のアイテム、ポケベル。それに伴うデメリット...。
私は生唾を飲み込み、ゆっくりと口を開く。
「ポケベルを使うには…
相手のポケベルNo.を事前に登録しないと使えないんだ」
「普通だよ!!」
えーー!?だって万が一聞きそびれたら、この広大な世界で二度とその人に会えないかもしれないんだぞ!?ポケベルが壊れたり、無くなったりしたらデータが消えるんだぞ!!?
レイは呆れている。なんか文明の遅れているこの世界をバカにされたようで、少し腹が立った私は無言で彼の頬っぺを引っ張る。
あ、フニフニだ。
カランコロン
ドアに付けられたベルが、誰かが入店したことを告げる。彼女こそが私たちの待ち人だった。
「おーい!こっちだ」
こっちに気づくと、彼女はにぱーと笑う。そして嬉しそうに、こちらへトコトコと小走りでやってきた。
「アンナァ、久しぶり♡」
彼女が抱きついてくる。少々気恥しいが、私も再会出来た喜びは大きい。
「久しぶり!元気そうでよかったよ」
視界の端で気まずそうに立っているレイに気づく。
「あ、紹介するよレイ。彼女は…」
「エイ・ティアと申します♡よろしくね」
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