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第一章《ギルド》「闇の権力者編」
第十七話 「城下町」
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ロキロキは首都なだけあって、かなりの賑わいだ。
セソセソもかなり大きめの街だったが、比べ物にはならない。大通りの横は様々なお店でびっしりで、平日だというのに客も多い。
キヴィストーン大陸の、ロックバンド王国の首都、それがロキロキだ。
ロックバンド王国はこの大陸で1番大きな国なので、その首都が人で溢れるのは理だろう。関所などが設置されておらず、旅人が多いのも人が多い理由のひとつだ。
「何か必要な物があったら言ってくれ。買い揃えていこう。まずはここでレイにポケベルを買っていくぞ」
レイにポケベルを買うと言っておいて、結局買いそびれていたことを、ポケベル屋さんを見たことで思い出す。
「レイくんもポケベル持つんだぁ!番号交換しようね♡」
テンションが上がったティアが、レイの腕を引っ張り店の中へと入っていく。
暫くすると、箱を片手にふたりが出てくる。
レイが箱を開けてポケベルを取り出すや否や、ティアがそれを奪い、自分の番号や私の番号を勝手に登録し始める。
「はいどうぞ!大事に使ってね♡」
ティアが渡したポケベルは綺麗な水色で、レイにとても合っていた。どうやらティアが選んだ物らしい。
「ありがと!大切にするよ」
本当は私が買うつもりだったんだが...まぁ、レイが嬉しそうで何よりだ。これで遠く離れてしまっても連絡出来るな。
.....ん?...あれ?
「そう言えばレイ、この世界の文字って読めるのか?」
今まで完全に頭から抜け落ちていたが、レイは異世界人だ。外国であるはずのここで、レイが読み書きで困っていた場面は1度もなかった。
なんなら会話も自然にできている。偶然同じ言語...いやそんな訳がない。天文学的な確率すら超越するような確率だ。
「そう言えば読める。僕の居た世界の文字とは絶対に違うはずなのに…どうしてだろ...」
レイの住んでたニホンで使われている文字は3種類。しかしこの国の文字はそのどれとも似ても似つかないものだそうだ。なのにレイは自然にここの文字を読むことができていた。
そういえば最初の魔法陣の謎も解けていない。
レイがこちらへ転移してきた事象そのものについても情報はゼロだ。
あまりに情報が少なすぎて、本当にこいつが異世界転移者なのか疑わしくなる。いや、前の世界の記憶もあるしそれは無いか。
「不思議だが、考えても分からないし、仕方ないさ」
情報が無い今、これ以上の事は言えなかった。
ふたりは頷き、この話は終わった。
1時間後、買うものも買い、腹ごしらえも済ませた私たちは城の前へとたどり着いた。懐かしい城は変わらずそびえ立っている。
ここへ来た理由...戦争。それを思うと自然と背筋が伸びる。
どんな戦いになるかは分からない。どんな結果になるかも分からない。それでも、大切なもののために私たちは戦う。
今ならまだ引き返せる。やめるなら今だぞ?
無言でふたりに尋ねる。
しかしふたりは固く首を振る。
...そうか。
こうして私たちは門へと足を進める。
ギルドとの大戦が...始まる。
セソセソもかなり大きめの街だったが、比べ物にはならない。大通りの横は様々なお店でびっしりで、平日だというのに客も多い。
キヴィストーン大陸の、ロックバンド王国の首都、それがロキロキだ。
ロックバンド王国はこの大陸で1番大きな国なので、その首都が人で溢れるのは理だろう。関所などが設置されておらず、旅人が多いのも人が多い理由のひとつだ。
「何か必要な物があったら言ってくれ。買い揃えていこう。まずはここでレイにポケベルを買っていくぞ」
レイにポケベルを買うと言っておいて、結局買いそびれていたことを、ポケベル屋さんを見たことで思い出す。
「レイくんもポケベル持つんだぁ!番号交換しようね♡」
テンションが上がったティアが、レイの腕を引っ張り店の中へと入っていく。
暫くすると、箱を片手にふたりが出てくる。
レイが箱を開けてポケベルを取り出すや否や、ティアがそれを奪い、自分の番号や私の番号を勝手に登録し始める。
「はいどうぞ!大事に使ってね♡」
ティアが渡したポケベルは綺麗な水色で、レイにとても合っていた。どうやらティアが選んだ物らしい。
「ありがと!大切にするよ」
本当は私が買うつもりだったんだが...まぁ、レイが嬉しそうで何よりだ。これで遠く離れてしまっても連絡出来るな。
.....ん?...あれ?
「そう言えばレイ、この世界の文字って読めるのか?」
今まで完全に頭から抜け落ちていたが、レイは異世界人だ。外国であるはずのここで、レイが読み書きで困っていた場面は1度もなかった。
なんなら会話も自然にできている。偶然同じ言語...いやそんな訳がない。天文学的な確率すら超越するような確率だ。
「そう言えば読める。僕の居た世界の文字とは絶対に違うはずなのに…どうしてだろ...」
レイの住んでたニホンで使われている文字は3種類。しかしこの国の文字はそのどれとも似ても似つかないものだそうだ。なのにレイは自然にここの文字を読むことができていた。
そういえば最初の魔法陣の謎も解けていない。
レイがこちらへ転移してきた事象そのものについても情報はゼロだ。
あまりに情報が少なすぎて、本当にこいつが異世界転移者なのか疑わしくなる。いや、前の世界の記憶もあるしそれは無いか。
「不思議だが、考えても分からないし、仕方ないさ」
情報が無い今、これ以上の事は言えなかった。
ふたりは頷き、この話は終わった。
1時間後、買うものも買い、腹ごしらえも済ませた私たちは城の前へとたどり着いた。懐かしい城は変わらずそびえ立っている。
ここへ来た理由...戦争。それを思うと自然と背筋が伸びる。
どんな戦いになるかは分からない。どんな結果になるかも分からない。それでも、大切なもののために私たちは戦う。
今ならまだ引き返せる。やめるなら今だぞ?
無言でふたりに尋ねる。
しかしふたりは固く首を振る。
...そうか。
こうして私たちは門へと足を進める。
ギルドとの大戦が...始まる。
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