26 / 155
おじさん♡ヤサグレます①
しおりを挟む
セス♡
「リリィ、ほら熱いよ。気をつけて」
相棒が湯気のたつゴブレットを手に、部屋に戻って来た。
寝台で沢山の柔らかなクッションに身を預けた妻は、気怠げにゴブレットを受けとる。
少し飲み過ぎだった。
それでも君は酔いたがる。
だからスパイスを効かせた果物入りのホットワインを勧めた。
「…甘い。美味しいね」
熱いワインを舐めた妻はほっと息をつき、薄く微笑んだ。
気に入った様だ。
「良かった。やっと笑ったね」
妻の肩を抱きマックスも嬉し気に笑った。
君が笑うと、嬉しくなる。
私も妻の小さな頭をそっと引き寄せて口づけた。
芳る甘い匂いに、心が満たされていく。
「愛している」
思いが零れ落ちるように口をついた。
意識せずとも出たことに驚く。
一体、私はどれだけ幸せなのだろう…
吐息をつくように、君を愛している。
すると妻の華奢な肩が震えた。
そしてゴブレットをスッと下ろしてしまう。
「…やっぱり、冷たい方がいい」
明らかに様子がおかしい。
妻は気が立っている様だ。
私が知る限りの君らしくもない。
「リリィ、これ以上はよしなさい」
語気を強めて言い聞かせた。
それから少し強引にゴブレットから君の手を外そうとする。
妻はハッとして私を仰ぎ見た。
その見開いた黒瞳に私が映って、揺れていた。
少しきつい物言いが君を怯えさせたかもしれない。
私はひとつ吐息して、声音を整えた。
「身体に障る」
出来るだけ優しく言ったつもりだった。
けれど君は何故か可愛い顔に恥を滲ませる。
「そんなのッ…別にいい。体なんかどうだって…」
妻はゴブレットを私から奪い返した。
あまり飲みたいふうでもないのに口に運ぼうとする。
私は激しい怒りを感じた。
「体なんかがどうだって、だと?」
リリィはビクリと動きを止める。
「別にいい、訳がない!君は私達の大切な人だ!」
君は間違っている。
だから私は怒りを露わにする。
君は首をすくませて、俯いた。
ゴブレットを持つ手には力がこもっている。
怖がらせたくは無い。
だが君を軽んじる者は、たとえ君自身であっても許せない。
愛しているのだ。
そんな事が何故わからなのか。
…いや、いけない。
妻は確かにこれまでの妻ではなくなっているのだ。
その事を私は失念していた。
そう、君は初めての変化に心が揺らいで不安定にあるのだ。
「…リリィ、すまない」
激昂してしまった事が、悔やまれる。
。・゜・(ノД`)・゜・。
「リリィ、ほら熱いよ。気をつけて」
相棒が湯気のたつゴブレットを手に、部屋に戻って来た。
寝台で沢山の柔らかなクッションに身を預けた妻は、気怠げにゴブレットを受けとる。
少し飲み過ぎだった。
それでも君は酔いたがる。
だからスパイスを効かせた果物入りのホットワインを勧めた。
「…甘い。美味しいね」
熱いワインを舐めた妻はほっと息をつき、薄く微笑んだ。
気に入った様だ。
「良かった。やっと笑ったね」
妻の肩を抱きマックスも嬉し気に笑った。
君が笑うと、嬉しくなる。
私も妻の小さな頭をそっと引き寄せて口づけた。
芳る甘い匂いに、心が満たされていく。
「愛している」
思いが零れ落ちるように口をついた。
意識せずとも出たことに驚く。
一体、私はどれだけ幸せなのだろう…
吐息をつくように、君を愛している。
すると妻の華奢な肩が震えた。
そしてゴブレットをスッと下ろしてしまう。
「…やっぱり、冷たい方がいい」
明らかに様子がおかしい。
妻は気が立っている様だ。
私が知る限りの君らしくもない。
「リリィ、これ以上はよしなさい」
語気を強めて言い聞かせた。
それから少し強引にゴブレットから君の手を外そうとする。
妻はハッとして私を仰ぎ見た。
その見開いた黒瞳に私が映って、揺れていた。
少しきつい物言いが君を怯えさせたかもしれない。
私はひとつ吐息して、声音を整えた。
「身体に障る」
出来るだけ優しく言ったつもりだった。
けれど君は何故か可愛い顔に恥を滲ませる。
「そんなのッ…別にいい。体なんかどうだって…」
妻はゴブレットを私から奪い返した。
あまり飲みたいふうでもないのに口に運ぼうとする。
私は激しい怒りを感じた。
「体なんかがどうだって、だと?」
リリィはビクリと動きを止める。
「別にいい、訳がない!君は私達の大切な人だ!」
君は間違っている。
だから私は怒りを露わにする。
君は首をすくませて、俯いた。
ゴブレットを持つ手には力がこもっている。
怖がらせたくは無い。
だが君を軽んじる者は、たとえ君自身であっても許せない。
愛しているのだ。
そんな事が何故わからなのか。
…いや、いけない。
妻は確かにこれまでの妻ではなくなっているのだ。
その事を私は失念していた。
そう、君は初めての変化に心が揺らいで不安定にあるのだ。
「…リリィ、すまない」
激昂してしまった事が、悔やまれる。
。・゜・(ノД`)・゜・。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
【完結】 男達の性宴
蔵屋
BL
僕が通う高校の学校医望月先生に
今夜8時に来るよう、青山のホテルに
誘われた。
ホテルに来れば会場に案内すると
言われ、会場案内図を渡された。
高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を
早くも社会人扱いする両親。
僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、
東京へ飛ばして行った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる