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おじさん♡ヤサグレます②
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愛する妻のご機嫌とりに二人掛かりで苦戦していた。
俺は肩を落とすセスの背を叩き鼓舞する。
そんな彼は目線で俺に合図した。
黙っていないで一刻も早くリリィを鎮めるために動け、と。
わかっている。
言わずもがな、だ。
「ねぇリリィ。一体どうしたんだ?」
妻は可愛い人だ。
今の君は本来の君ではないだろう。
「…ごめんなさい。僕、ちょっと…」
妻は唐突にほろほろと涙した。
すべらかな頬を真珠のような涙が次々に滑り落ちてはシーツに吸われていく…
あまりの痛ましさに俺はたまらなくなった。
涙がシーツに落ちる前に妻の頬に唇を寄せ、受け留めては吸い取る。
徐々についばむように顔中にキスを降らせてそのまま口づけた。
そして優しく深く舌を合わせて妻の動揺が収まるのを待った。
ようやく君は頑なだった指をゴブレットから外し、相棒の手に委ねてくれた。
「…変だよね。僕…なんか色々…考えちゃって」
身の置き所のないような不安気な顔をして、君は悲しげに笑う。
可哀想でたまらなくて俺は励ましてやりたかった。
「おかしくなど無い」
俺は壊れ物に触れるように君の肩を引き寄せた。
一度ギュッと抱きしめてから改めて顔を合わせる。
そのすぐ後ろに控えるセスにもさりげなく視線で合図した。
相棒は頷いてリリィを後ろから抱き寄せる。
君の右肩にセス、左肩に俺がそれぞれ顔を寄せ二人で妻を挟み込む。
君を守ると誓い合った者同士の絆ごと抱きしめた。
それからセスが妻を優しく諭し始める。
「リリィ。心配は無用だ」
あやす様に彼は妻の背を撫でさすってやる。
そして頬に頬を寄せ、静かに言った。
「妊娠は、母体に様々な変化を強いるものだ」
リリィの大きな目が瞬く。
常は柔な肢体が一瞬で固まった。
妻の過剰なまでの反応にセスは驚き言葉をつまらせた。
とりなそうと、俺は素早く口を挟む。
「君は初めてなのだし、仕方が無…」
「え、え?…」
君は俺の話しを遮って、でもその先が続かない。
「リリィ?」
セスが呼ぶ。
「リリィ、大丈夫か?」
俺も呼びかけるが反応がない。
今の妻には、もはや誰の声も届かない様だ。
君の取り乱し方が思いの外に激しくて困惑する。
「…リリィ、気づいていないのか」
同じく困惑してるだろう相棒が気遣わし気に妻の顔を覗きこんで問うた。
それでも君はピクリともしない。
そして。
「君は妊娠している」
そう、はっきりとセバスティアンは告知した。
とたんに妻は激しい拒絶を見せた。
身も世もない程に泣き崩れた。
見たこともない程の嘆きだった。
この時。
俺はどうしようもない悲しみと苦しみと途轍もなく強い怒りをこの身の内に孕んだ。
。・゜・(ノД`)・゜・。
愛する妻のご機嫌とりに二人掛かりで苦戦していた。
俺は肩を落とすセスの背を叩き鼓舞する。
そんな彼は目線で俺に合図した。
黙っていないで一刻も早くリリィを鎮めるために動け、と。
わかっている。
言わずもがな、だ。
「ねぇリリィ。一体どうしたんだ?」
妻は可愛い人だ。
今の君は本来の君ではないだろう。
「…ごめんなさい。僕、ちょっと…」
妻は唐突にほろほろと涙した。
すべらかな頬を真珠のような涙が次々に滑り落ちてはシーツに吸われていく…
あまりの痛ましさに俺はたまらなくなった。
涙がシーツに落ちる前に妻の頬に唇を寄せ、受け留めては吸い取る。
徐々についばむように顔中にキスを降らせてそのまま口づけた。
そして優しく深く舌を合わせて妻の動揺が収まるのを待った。
ようやく君は頑なだった指をゴブレットから外し、相棒の手に委ねてくれた。
「…変だよね。僕…なんか色々…考えちゃって」
身の置き所のないような不安気な顔をして、君は悲しげに笑う。
可哀想でたまらなくて俺は励ましてやりたかった。
「おかしくなど無い」
俺は壊れ物に触れるように君の肩を引き寄せた。
一度ギュッと抱きしめてから改めて顔を合わせる。
そのすぐ後ろに控えるセスにもさりげなく視線で合図した。
相棒は頷いてリリィを後ろから抱き寄せる。
君の右肩にセス、左肩に俺がそれぞれ顔を寄せ二人で妻を挟み込む。
君を守ると誓い合った者同士の絆ごと抱きしめた。
それからセスが妻を優しく諭し始める。
「リリィ。心配は無用だ」
あやす様に彼は妻の背を撫でさすってやる。
そして頬に頬を寄せ、静かに言った。
「妊娠は、母体に様々な変化を強いるものだ」
リリィの大きな目が瞬く。
常は柔な肢体が一瞬で固まった。
妻の過剰なまでの反応にセスは驚き言葉をつまらせた。
とりなそうと、俺は素早く口を挟む。
「君は初めてなのだし、仕方が無…」
「え、え?…」
君は俺の話しを遮って、でもその先が続かない。
「リリィ?」
セスが呼ぶ。
「リリィ、大丈夫か?」
俺も呼びかけるが反応がない。
今の妻には、もはや誰の声も届かない様だ。
君の取り乱し方が思いの外に激しくて困惑する。
「…リリィ、気づいていないのか」
同じく困惑してるだろう相棒が気遣わし気に妻の顔を覗きこんで問うた。
それでも君はピクリともしない。
そして。
「君は妊娠している」
そう、はっきりとセバスティアンは告知した。
とたんに妻は激しい拒絶を見せた。
身も世もない程に泣き崩れた。
見たこともない程の嘆きだった。
この時。
俺はどうしようもない悲しみと苦しみと途轍もなく強い怒りをこの身の内に孕んだ。
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