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データリアンは、頭を悩ませていた。
1人の女性が頭から離れない。
招待された国では確かに、とんでもない美女を紹介された。しかしその美貌は恐ろしいほど美しく、まるで人間ではないと感じるような恐怖が全身に回るほどだったのだ。
何故周りの人々が憧れの眼差しで彼女を見つめる事ができるのか不思議だと、データリアンは思った。
それよりも、彼女の隣でツンとした顔で立っていた女性に目を奪われた。
しかも、まるで自分がその場に居ないような興味の無さそうな顔で礼をされたのだ。
目を合わせると、彼女は後ろを振り返り、自分を見つめられていると気がつくと目を瞬かせていた。
そして、紹介された美女によってその視線は遮られ、釘を刺されたのだ。
『わたくしの連れに何かございますか?』
その笑顔には、有無も言えぬ圧があった。
話しかけるなと、会話しなくても分かる態度に、逆に興味をそそられる。
『貴女も美しいが、また違った美しさを持ったご令嬢だと思ってね』
『うふふふ、ええ、そうなのです。なので早く、我が国の陛下にご紹介をと思っておりますの』
扇子で隠した口元が、どれほど笑っているのか。
データリアンは背中に立った鳥肌を、少し肩を動かして誤魔化していた。
本能が、彼女を敵にしてはいけないと告げている。長く戦争をしていた時にも感じ得なかった恐怖が、何故か風に吹かれたら飛ばされそうなほど華奢な彼女から強烈に感じるのだ。
しかし、それでも反撃したほど、自分が後ろの女性を気に入っていた事に気がついたのは自室に戻ってからであった。
「名前も聞くことができなかった……」
だが、名前はすぐに知ることとなった。
朝起きた時に部屋に配布されていた『雑誌』と言われる本に彼女が居たからである。
恐らく我が国に一年ほど前に海外から輸入された、写真機を利用したそれは、彼女の魅力を最大限に引き出した最高の作品であった。
「アンジェラ・カトリーヌ……」
とてつもない美女セスティーナは、アンジェラと関わらせたく無いようであった。
しかし、データリアンはどうにかして彼女を嫁にできないか考え始めるほど、既に心を決めている。
だが、セスティーナはこの国で大きな力を持つはずの人物であり、勝手にアンジェラを連れ帰っては国に何されるか分からない。
データリアンは、この国で、セスティーナこそが魔法使いではないかと考えていたからだ。
「いや、彼女に好意を持ってもらえれば、あるいは……」
初めて感じるこの胸の高まりにデータリアンは気分が高まっていく。
まさか自分が他国で一目惚れをするなんて。
データリアンは宰相が来るまでアンジェラの雑誌をゆっくりと楽しんだのであった。
1人の女性が頭から離れない。
招待された国では確かに、とんでもない美女を紹介された。しかしその美貌は恐ろしいほど美しく、まるで人間ではないと感じるような恐怖が全身に回るほどだったのだ。
何故周りの人々が憧れの眼差しで彼女を見つめる事ができるのか不思議だと、データリアンは思った。
それよりも、彼女の隣でツンとした顔で立っていた女性に目を奪われた。
しかも、まるで自分がその場に居ないような興味の無さそうな顔で礼をされたのだ。
目を合わせると、彼女は後ろを振り返り、自分を見つめられていると気がつくと目を瞬かせていた。
そして、紹介された美女によってその視線は遮られ、釘を刺されたのだ。
『わたくしの連れに何かございますか?』
その笑顔には、有無も言えぬ圧があった。
話しかけるなと、会話しなくても分かる態度に、逆に興味をそそられる。
『貴女も美しいが、また違った美しさを持ったご令嬢だと思ってね』
『うふふふ、ええ、そうなのです。なので早く、我が国の陛下にご紹介をと思っておりますの』
扇子で隠した口元が、どれほど笑っているのか。
データリアンは背中に立った鳥肌を、少し肩を動かして誤魔化していた。
本能が、彼女を敵にしてはいけないと告げている。長く戦争をしていた時にも感じ得なかった恐怖が、何故か風に吹かれたら飛ばされそうなほど華奢な彼女から強烈に感じるのだ。
しかし、それでも反撃したほど、自分が後ろの女性を気に入っていた事に気がついたのは自室に戻ってからであった。
「名前も聞くことができなかった……」
だが、名前はすぐに知ることとなった。
朝起きた時に部屋に配布されていた『雑誌』と言われる本に彼女が居たからである。
恐らく我が国に一年ほど前に海外から輸入された、写真機を利用したそれは、彼女の魅力を最大限に引き出した最高の作品であった。
「アンジェラ・カトリーヌ……」
とてつもない美女セスティーナは、アンジェラと関わらせたく無いようであった。
しかし、データリアンはどうにかして彼女を嫁にできないか考え始めるほど、既に心を決めている。
だが、セスティーナはこの国で大きな力を持つはずの人物であり、勝手にアンジェラを連れ帰っては国に何されるか分からない。
データリアンは、この国で、セスティーナこそが魔法使いではないかと考えていたからだ。
「いや、彼女に好意を持ってもらえれば、あるいは……」
初めて感じるこの胸の高まりにデータリアンは気分が高まっていく。
まさか自分が他国で一目惚れをするなんて。
データリアンは宰相が来るまでアンジェラの雑誌をゆっくりと楽しんだのであった。
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