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第2話 Bパート(ヒロインがゴリラ)
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1
契約討滅者?アビス?訳が分からない。優は混乱していた。突然、怪異に襲われて、転校生がそれを退治して、自分の中にある何かも怪異を退けた。状況の整理が追いつかない。ただ、今は夢の世界にいるわけではなく、現実世界にいるということは理解できる。そして、これらが現実に起こったことであるということも。
夜の冷たい風が吹いた。強い風ではないが、優の混乱している頭に冷静さを取り戻す助力を加えてくれた。いつの間にか元の世界に戻っている。家の明かりも見える。
「何が起こったんだ?雪宮、何か知っているんだろう?」
優は恐る恐る目の前の大柄の女に問いかけた。漆黒のダガ―はまだその手に握られている。
「さっきも言ったでしょ。あなたを襲ったのはアビスよ。太古の昔より存在していて、人を襲ってきたわ。その正体は未だに不明なところが多い存在よ。そのアビスから人を守るのが私達よ。」
「私達って、他にもいるのか?その、雪宮みたいにアビスを退治する人が。」
「ええそうよ。アビスを討滅する力を持つものは私の他にもいるわ。」
「そうなのか、助けてくれたんだよな。ありがとう。」
「まぁね。ところで香上君。あなたは何者?信用できるの?あなたはテスタメントでもないのにアビスを倒したのよ。」
雪宮朔夜は手に持っているダガーの切っ先を優の顔の前に持ってきた。その目は友和の目ではなく、警戒の目をしている。下手に動けばいつでも斬りかかるぞと警告をしている目である。
「俺は敵じゃない・・・はずだ。さっきの力のことは知らない。何故あんなことができたのかも分からない。あの化け物に襲われた時は殺されると思った。必死だったんだ。何が起こったかなんて俺には・・・。」
「そう・・・。でも、あの力は危険だと思うわ。もし、その力を人に向けたらどうなるか分かるわよね。もしそうなった場合はあなたも討滅の対象よ。」
朔夜は警戒を解かない。アビスを一瞬で葬り去ったあの力は脅威になりかねない。朔夜は今のうちに討っておくべきか、それとも様子を見るべきか心の中で迷いあった。優の言葉に嘘はないだろうと思う、しかし、不明なところが多い。手放しで信用するわけにはいかない。
「いやあ、待て待て!人を傷つけるようなことはしない。絶対に。約束する。」
優は朔夜を直視することができなかった。あんな化け物を倒したやつに討滅されるかもしれない。たしかに自分の大切な人を自分の手で傷つけることは嫌だが、討滅されるのも嫌である。
「その言葉、忘れないでね。」
朔夜はそう言うと、ダガーを戻し、踵を返してその場を去っていった。
夜の冷たい風が吹く。冷や汗を風が凪いで、やはりこれは現実なのだと肌の寒さが教えてくれた。
2
次の日。朝から朔夜の周りには女子が数人話しかけてきていた。まだぎこちなさはあるが、仲良くやっていけそうな空気である。
「雪宮さんは女子に任せておいて大丈夫だな。」
優の隣で綾人が話しかけてくる。先日、担任から雪宮のことを任されていたが、実質何もしていない。世話やきの女子がいるから問題ないだろう。
「あぁ、そうだな・・・。」
優は上の空であった。雪宮の方を見ることができない。昨日のことが頭から離れない。アビス。テスタメント。そして、自分の中の力。この力は本当に人を傷つけてしまうのうだろうか?そしたら俺は雪宮に殺されるのか?
「おい、優なんだよ元気ないな。」
綾人が何気なく問をかけてきた。
「あ、いや、昨日はバイトでちょっと大変だったから、それを引きずって。」
「ああ、なるほどね。苦学生は大変だねえ。」
綾人は大した関心も示さず相槌を打ってきた。
「ああ、大変なんだよこっちは。」
「まぁ無理し過ぎんなや。」
綾人は気楽に優の肩をたたいて無責任に励ましの言葉をかけてきた。
「はい。席についてください。」
1時間目の現国の先生が来た。朔夜の周りの女子も自分の席に戻っていく。
綾人にも相談できる内容ではない。こいつは昔からの親友だが、今回の話は単なる恋愛相談とかそういうレベルではない。綾人は細かいことを気にするタイプではないから、これ以上何も言ってこない。本当にバイトのことで悩んでいると思っているだろう。もし、綾人を傷つけることになってしまったら。親友を傷つけたくはないのは事実だ。雪宮に殺されたくないのも事実であるが、人を傷つけたくないという思いは本物である。
3
放課後、朔夜は女子に声をかけられて一緒に帰ることになったようだ。そんな雪宮を横目に優も帰宅の準備をしている。今日はバイトがない日である。こんな時にバイトがなくて助かったと思う。
「香上。今からカラオケ行かね?女子も来るしよ。桐谷もどう?」
佐伯がいつもの調子で優に声をかけてきた。綾人は何気に女子に人気がある。空手部のエースで強い。そんな綾人が一緒だと女子も何人かついてくるのである。優が行けば綾人も来るだろう。それを計算して佐伯は声をかけてきたのである。
「ああ、俺はいいぜ。」
「俺も大丈夫だ。今日は部活がないからな。」
「OK、んじゃ、40秒で支度しな。」
佐伯はそう言うとそそくさと教室を後にして、女子と合流していったのである。
こういう時は友達と遊んで気分転換するのが一番いいだろう。いつまでも塞ぎ込んでいては前に進めない。とにかく楽しんで気分を明るくしよう。今まで知らなかった化け物がいることには驚いたが、それを退治する専門家がいる。雪宮の恵まれた体格も化け物退治のために鍛えられ、人々を守ってくれている。こうして日常を送れることも雪宮達が頑張ってくれているからである。正義のヒーローに憧れたこともあるが、現実のヒーローはこうも過酷で危険なものなのだ。自分にはついていくことができない。この力も使わなくて済むならそれにこしたことはない。誰も傷つけずに済むならそれがいい。
優と綾人は帰宅準備を整えると、佐伯とその他の女子と合流してカラオケに向かっていった。
カラオケは数カ月ぶりである。久々に歌ったことで喉が枯れてしまった。そのことを佐伯や女子にからかわれたが楽しい時間を過ごすことができた。3時間のカラオケはあっという間に終わり。みんなでファミレスに行くことになた。当然、優と綾人も参加した。
4
「今日は楽しかったなぁ。」
思わず独り言が漏れた。みんなと別れて一人で家路に向かっている。みんなと遊んでいる時間は嫌なことを忘れることができていた。結局、綾人がモテていたことは気に喰わなかったが、今年から同じクラスになった女子と仲良くなることができた。1年生の頃はしゃべったこともない女子だったけど、結構話が合う子で良かった。また、このメンバーで遊びたいな。そう思えるような一時であった。
もうすっかり遅くなっている。カラオケだけでなく、ファミレスでも話が盛り上がってついつい長居をしてしまった。長居をするためにパフェまで注文したので満腹で少し苦しい。今日は一日遊び疲れたから、風呂に入って、歯を磨いて寝よう。そういえば、歯磨き粉がなくなっていたな。帰りにコンビニによってから帰ろう。いつも使ってるコンビニは帰り道にある。そこに行こう。
まだ、着かないのかな?もうすぐコンビニが見えてくるはずだが・・・。そこで気が付く。この感覚は知っている。3度目だ。いつの間にか真っ暗な空間に入り込んでいて、周りに人の気配がなくなっている。自分がどこにいるのか分からなくなる感覚。1度目よりは2度目の時の感覚に近い。まだ、自分の立っているところを理解することができている。住宅の明かりは消え、街灯だけが道を照らす世界。それ以外のものは闇だけ。
ようやく気分を立て直したというのに、またこの現象と出会ってしまった。夜中に出歩くことが危険だったか。どうすればいい?昨日みたいに助けに来てくれる保障なんてどこにもない。あの力があれば戦えるか?どうやって使う?昨日は無我夢中でどうやったかなんて覚えていない。もうすぐアビスがその姿を現すはずだ。今から来る脅威に対抗しないといけない。いや、逃げることを考えるべきだ。
逃げるにしても、まずは敵の位置を確認しないといけない。優は身を構えて迫りくる何かに備える。闇の向こうに目を凝らす。いる。何かが闇の奥に潜んでいる。その何かはゆっくりと近づいてきてその姿を少しずつ露わにしだした。
その姿に一番近いものはサソリだった。尻尾の無いサソリ。何よりもサソリと違うところはその大きさ。車よりも大きな巨体である。真っ黒の鎧を着たような硬そうな外皮に覆われたサソリのような怪物が目の前に現れた。昨日見たアビスとはまた別のタイプのやつなのだろう。
あんなの相手にまともに戦っては命がいくつあっても足りない。戦闘のプロに任せよう。素人が下手に手を出すべき相手ではない。逃げよう。
しかし、どこに逃げればいい?周りは闇に囲まれている。昨日はもう一体自分を襲ってきた。ということは、目の前の一体だけではなく、まだ見えていないやつがいるかもしれない。下手に動かない方がいいのだろうか?迷いが生じる。
やるしかない。生き残るためにはあの力が必要だ。優は右手を突き出して強く念じる。目の前にいる人間の敵を滅ぼすように。昨日のように圧倒的な力で闇を振り払う、そなイメージを強く引き出す。
するとどうだろう。何も起きない。ただ、右手を前に出しているだけ。世界に与えた影響はそれだけである。少年が右手を突き出した。これだけである。アビスはお構いなしに近づいてくる。やはり無理だった。焦りが生じる。迷っている暇はない。闇の中に逃げ込む決断をするかどうか。まだ何がいるか分からない闇の中へ。
「香上君!?なにやってるの!」
聞き覚えのある、女性にしては野太い声が聞こえてきた。後ろから朔夜が声をかけてきたのである。
「ゆ、雪宮!?あああ、助かった・・・。友達と遊んでいて、帰りにコンビニに寄ろうとしてたら突然こんなことになって・・・。ああ、ほんともう駄目かもしれないって・・・。」
事実をそのまま述べる。本当に死ぬかもしれないと思った。その時に現れた雪宮の体は昨日よりも大きく、そして頼もしく見えた。
契約討滅者?アビス?訳が分からない。優は混乱していた。突然、怪異に襲われて、転校生がそれを退治して、自分の中にある何かも怪異を退けた。状況の整理が追いつかない。ただ、今は夢の世界にいるわけではなく、現実世界にいるということは理解できる。そして、これらが現実に起こったことであるということも。
夜の冷たい風が吹いた。強い風ではないが、優の混乱している頭に冷静さを取り戻す助力を加えてくれた。いつの間にか元の世界に戻っている。家の明かりも見える。
「何が起こったんだ?雪宮、何か知っているんだろう?」
優は恐る恐る目の前の大柄の女に問いかけた。漆黒のダガ―はまだその手に握られている。
「さっきも言ったでしょ。あなたを襲ったのはアビスよ。太古の昔より存在していて、人を襲ってきたわ。その正体は未だに不明なところが多い存在よ。そのアビスから人を守るのが私達よ。」
「私達って、他にもいるのか?その、雪宮みたいにアビスを退治する人が。」
「ええそうよ。アビスを討滅する力を持つものは私の他にもいるわ。」
「そうなのか、助けてくれたんだよな。ありがとう。」
「まぁね。ところで香上君。あなたは何者?信用できるの?あなたはテスタメントでもないのにアビスを倒したのよ。」
雪宮朔夜は手に持っているダガーの切っ先を優の顔の前に持ってきた。その目は友和の目ではなく、警戒の目をしている。下手に動けばいつでも斬りかかるぞと警告をしている目である。
「俺は敵じゃない・・・はずだ。さっきの力のことは知らない。何故あんなことができたのかも分からない。あの化け物に襲われた時は殺されると思った。必死だったんだ。何が起こったかなんて俺には・・・。」
「そう・・・。でも、あの力は危険だと思うわ。もし、その力を人に向けたらどうなるか分かるわよね。もしそうなった場合はあなたも討滅の対象よ。」
朔夜は警戒を解かない。アビスを一瞬で葬り去ったあの力は脅威になりかねない。朔夜は今のうちに討っておくべきか、それとも様子を見るべきか心の中で迷いあった。優の言葉に嘘はないだろうと思う、しかし、不明なところが多い。手放しで信用するわけにはいかない。
「いやあ、待て待て!人を傷つけるようなことはしない。絶対に。約束する。」
優は朔夜を直視することができなかった。あんな化け物を倒したやつに討滅されるかもしれない。たしかに自分の大切な人を自分の手で傷つけることは嫌だが、討滅されるのも嫌である。
「その言葉、忘れないでね。」
朔夜はそう言うと、ダガーを戻し、踵を返してその場を去っていった。
夜の冷たい風が吹く。冷や汗を風が凪いで、やはりこれは現実なのだと肌の寒さが教えてくれた。
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次の日。朝から朔夜の周りには女子が数人話しかけてきていた。まだぎこちなさはあるが、仲良くやっていけそうな空気である。
「雪宮さんは女子に任せておいて大丈夫だな。」
優の隣で綾人が話しかけてくる。先日、担任から雪宮のことを任されていたが、実質何もしていない。世話やきの女子がいるから問題ないだろう。
「あぁ、そうだな・・・。」
優は上の空であった。雪宮の方を見ることができない。昨日のことが頭から離れない。アビス。テスタメント。そして、自分の中の力。この力は本当に人を傷つけてしまうのうだろうか?そしたら俺は雪宮に殺されるのか?
「おい、優なんだよ元気ないな。」
綾人が何気なく問をかけてきた。
「あ、いや、昨日はバイトでちょっと大変だったから、それを引きずって。」
「ああ、なるほどね。苦学生は大変だねえ。」
綾人は大した関心も示さず相槌を打ってきた。
「ああ、大変なんだよこっちは。」
「まぁ無理し過ぎんなや。」
綾人は気楽に優の肩をたたいて無責任に励ましの言葉をかけてきた。
「はい。席についてください。」
1時間目の現国の先生が来た。朔夜の周りの女子も自分の席に戻っていく。
綾人にも相談できる内容ではない。こいつは昔からの親友だが、今回の話は単なる恋愛相談とかそういうレベルではない。綾人は細かいことを気にするタイプではないから、これ以上何も言ってこない。本当にバイトのことで悩んでいると思っているだろう。もし、綾人を傷つけることになってしまったら。親友を傷つけたくはないのは事実だ。雪宮に殺されたくないのも事実であるが、人を傷つけたくないという思いは本物である。
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放課後、朔夜は女子に声をかけられて一緒に帰ることになったようだ。そんな雪宮を横目に優も帰宅の準備をしている。今日はバイトがない日である。こんな時にバイトがなくて助かったと思う。
「香上。今からカラオケ行かね?女子も来るしよ。桐谷もどう?」
佐伯がいつもの調子で優に声をかけてきた。綾人は何気に女子に人気がある。空手部のエースで強い。そんな綾人が一緒だと女子も何人かついてくるのである。優が行けば綾人も来るだろう。それを計算して佐伯は声をかけてきたのである。
「ああ、俺はいいぜ。」
「俺も大丈夫だ。今日は部活がないからな。」
「OK、んじゃ、40秒で支度しな。」
佐伯はそう言うとそそくさと教室を後にして、女子と合流していったのである。
こういう時は友達と遊んで気分転換するのが一番いいだろう。いつまでも塞ぎ込んでいては前に進めない。とにかく楽しんで気分を明るくしよう。今まで知らなかった化け物がいることには驚いたが、それを退治する専門家がいる。雪宮の恵まれた体格も化け物退治のために鍛えられ、人々を守ってくれている。こうして日常を送れることも雪宮達が頑張ってくれているからである。正義のヒーローに憧れたこともあるが、現実のヒーローはこうも過酷で危険なものなのだ。自分にはついていくことができない。この力も使わなくて済むならそれにこしたことはない。誰も傷つけずに済むならそれがいい。
優と綾人は帰宅準備を整えると、佐伯とその他の女子と合流してカラオケに向かっていった。
カラオケは数カ月ぶりである。久々に歌ったことで喉が枯れてしまった。そのことを佐伯や女子にからかわれたが楽しい時間を過ごすことができた。3時間のカラオケはあっという間に終わり。みんなでファミレスに行くことになた。当然、優と綾人も参加した。
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「今日は楽しかったなぁ。」
思わず独り言が漏れた。みんなと別れて一人で家路に向かっている。みんなと遊んでいる時間は嫌なことを忘れることができていた。結局、綾人がモテていたことは気に喰わなかったが、今年から同じクラスになった女子と仲良くなることができた。1年生の頃はしゃべったこともない女子だったけど、結構話が合う子で良かった。また、このメンバーで遊びたいな。そう思えるような一時であった。
もうすっかり遅くなっている。カラオケだけでなく、ファミレスでも話が盛り上がってついつい長居をしてしまった。長居をするためにパフェまで注文したので満腹で少し苦しい。今日は一日遊び疲れたから、風呂に入って、歯を磨いて寝よう。そういえば、歯磨き粉がなくなっていたな。帰りにコンビニによってから帰ろう。いつも使ってるコンビニは帰り道にある。そこに行こう。
まだ、着かないのかな?もうすぐコンビニが見えてくるはずだが・・・。そこで気が付く。この感覚は知っている。3度目だ。いつの間にか真っ暗な空間に入り込んでいて、周りに人の気配がなくなっている。自分がどこにいるのか分からなくなる感覚。1度目よりは2度目の時の感覚に近い。まだ、自分の立っているところを理解することができている。住宅の明かりは消え、街灯だけが道を照らす世界。それ以外のものは闇だけ。
ようやく気分を立て直したというのに、またこの現象と出会ってしまった。夜中に出歩くことが危険だったか。どうすればいい?昨日みたいに助けに来てくれる保障なんてどこにもない。あの力があれば戦えるか?どうやって使う?昨日は無我夢中でどうやったかなんて覚えていない。もうすぐアビスがその姿を現すはずだ。今から来る脅威に対抗しないといけない。いや、逃げることを考えるべきだ。
逃げるにしても、まずは敵の位置を確認しないといけない。優は身を構えて迫りくる何かに備える。闇の向こうに目を凝らす。いる。何かが闇の奥に潜んでいる。その何かはゆっくりと近づいてきてその姿を少しずつ露わにしだした。
その姿に一番近いものはサソリだった。尻尾の無いサソリ。何よりもサソリと違うところはその大きさ。車よりも大きな巨体である。真っ黒の鎧を着たような硬そうな外皮に覆われたサソリのような怪物が目の前に現れた。昨日見たアビスとはまた別のタイプのやつなのだろう。
あんなの相手にまともに戦っては命がいくつあっても足りない。戦闘のプロに任せよう。素人が下手に手を出すべき相手ではない。逃げよう。
しかし、どこに逃げればいい?周りは闇に囲まれている。昨日はもう一体自分を襲ってきた。ということは、目の前の一体だけではなく、まだ見えていないやつがいるかもしれない。下手に動かない方がいいのだろうか?迷いが生じる。
やるしかない。生き残るためにはあの力が必要だ。優は右手を突き出して強く念じる。目の前にいる人間の敵を滅ぼすように。昨日のように圧倒的な力で闇を振り払う、そなイメージを強く引き出す。
するとどうだろう。何も起きない。ただ、右手を前に出しているだけ。世界に与えた影響はそれだけである。少年が右手を突き出した。これだけである。アビスはお構いなしに近づいてくる。やはり無理だった。焦りが生じる。迷っている暇はない。闇の中に逃げ込む決断をするかどうか。まだ何がいるか分からない闇の中へ。
「香上君!?なにやってるの!」
聞き覚えのある、女性にしては野太い声が聞こえてきた。後ろから朔夜が声をかけてきたのである。
「ゆ、雪宮!?あああ、助かった・・・。友達と遊んでいて、帰りにコンビニに寄ろうとしてたら突然こんなことになって・・・。ああ、ほんともう駄目かもしれないって・・・。」
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