アイスとチーズ

迷熊井 泥(Make my day)

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同類

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大カーブの坂を降りて橋を渡ると沙織にとって馴染みの街の姿が見えてきた。沙織が軽くビッと音を鳴らすと先頭の香織が左に寄せて止まり振り返った。

「じゃあ、わたしここらへんで」

沙織が言ったので香織も「うん。じゃあ」
と、そのまま走り去った。

初めて誰かと登下校ルートを走った。
香織は少し嬉しかった。
流派は違うけど一緒に道場で練習し、バイク登校。
学校に自分と同類の女子がいる。 
それだけで日常という世界が楽しく感じる。

翌日も放課後、沙織は柔道場に来た。
そして詠春拳なるものを香織の横で練習し、二人でバイク下校をした。
田舎道の途中、天然酵母のパン屋でパンを外のテーブルで二人でほうばった。
なんとなく優しい味。
保存料不使用のものは物足りなさがあるが、それが本来の自然に近い味だ。

「合気道ってどこで習ってるの?」

「甲府の緑が丘合気会っていうところ」

「へえ、緑が丘なんだ」

「詠春拳てどこで習ってるの?」

「甲府のお城の近くかな。イギリス人が英語で教てるの」

お城。舞鶴城の城跡のことだ。

「イギリス人?スゴ!英語わかるの?」

「わたし帰国子女なのね。だから英語は問題ないの」

香織は次々と出てくる沙織の事情に目が丸くなった。

「そうなんだぁ」

帰国子女?そういえば学年にいるって聞いたことあったけどこの人のことか。

同類じゃなかった…

「でも同じように武道が好きな人がいてよかったよ。同類だねわたしたち。バイク通学だし」

そこは同類…?

「じゃ同類だね」

二人は笑った。

「愛洲さぁ。合気道愛好会メンバー増やしたいよね」

「うん。地井頭もでしょ」

「もちろん」

「男子とかでもいい?」

「う~ん、できたら女子がいい。でも武道やりたい女子ってあんまりいないよね」

沙織は改まったように香織を見つめた。

「なに?」

「いるじゃん」

「いる?」

沙織は自分と香織を交互に指差した。

「え?どゆこと?」

「思ったんだけど。お互いの会に入会し合わない?」

「はぁ?」

「愛洲が詠春拳同好会に入って。わたしが愛洲の合気道愛好会に入るの」

香織は宙を見て沙織のアイデアを想像した。

「なるほど。メンバー増やしにはなる」

「で、お互いにお互いの技とか教え合えばいいじゃん」

香織は大きな目を沙織に向けて気合と驚きの混ざったような声を出した。

「おお」

「週二ずつ教え合う日を決めようよ」

「週二日?あ。なるほど二日合気道、二日詠春拳であと一日は?自主練」

「そうそう。そんな感じ」

香織は教える、ということになにか込み上げてくるものを感じた。

「よし!そうしよ!」

「キマった!」

沙織がハイタッチの手をあげると、やんわりと香織もハイタッチした。
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