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秘密の場所
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先ほどの狭い悪路よりは開けて歩きやすくなってるが、重いリュックを背負って登ってゆくというのは香織には、やはりなにかの訓練に思えた。
「女子のキャンプはゆるくて楽しいものじゃないなかな」
香織はまだ体力があるうちに言わないと、と本能的に思った。
ほんとに疲れたときは言葉が出てこない。
もう汗が出てきた。
同じく汗をかき始めている沙織は勢いよく振り返って言った。
「うちら武女子だから。こんなのへっちゃらでしょ」
「武女子?武道女子ってこと?…そうだけど」
「すぐそこだから」
「ほんと?ちゃんといざなってね」
「あはははは。いざなういざなう」
看板が見えてきた。
帯那山道とある。
帯那山の山道なんだ…
すると沙織は山道とは逆の方、川の方へと向かって行った。
「こっちこっち!」
「山道行くんじやないの?」
「うちらデイキャンプが目的だから」
右側には傾斜の山肌がある。
おそらくその裏がさっきの帯那山道になるのだろう。
逆に沙織が向かっている方はデコボコしてるが歩ける林だ。
すると開けた場所に出た。
一本の木が川沿いに立ち、その木の根本周辺には草と石で囲った人工物が見えた。
焚火をした跡だ。
「ここはわたしの秘密の場所。誰も来ないから」
風で木の枝が擦れる音、静かに流れる小川の音、なにより秘密の場所というのが贅沢に思えた。
沙織は慣れた感じでシートを取り出して敷いた。
その上に木の枝を利用しテントポールを使ってタープで屋根らしきものを作った。
香織はシートの上にリュックを置くと水筒を取り出して水分補給をして満足そうに一息ついた。
そして弁当箱を取り出してふたを取るとおにぎりが二つある。
「ねえ。おにぎり作って来たんだけど」
「お。イイネ。じゃ行こうか」
「え。どこに?」
「燃料探し」
「燃料?」
「焚火の薪になるものを探しに行こう」
「薪?」
「枝でもいいよ。なるべく乾いてるやつ」
そう言った沙織の手には大きな折りたたみナイフのようなものが握られていた。
「それなに?」
「シルキー」
「シルキー?」
折りたたまれた刃を沙織は伸ばして見せた。
ノコギリだ。折りたたみ式のノコギリだった。
「これよく切れるの」
香織は散策する沙織についてゆくと、すぐに倒れた木を発見した。
よく見るとすでに何箇所かノコギリで切り取られた跡がある。
「今日はこのあたりをもらおう」
沙織は折りたたみ式のノコギリの刃をすでに切られた跡から20cmくらいのところに当て足をかけた。
そして勢いよく引いて押してを繰り返すと刃は見る見るうちに木に切れ込みを入れていった。
「真っ直ぐに切ってるだけだとダメなの。すぐに木がしめつけてくるから。だから右とこ左に刃を当てて切れ込みを広げるの。やってみる?」
「うん」
香織も見よう見まねでやってみる。
ノコギリは引くときに切れてあとは力を抜いて刃を押し出しまた引いて切る。
下の方へ刃が切り込むにつれ上の切った部分が締まろうとする。
木が元に戻ろうとしてる?
刃が木の下へ落ちた。
直径10cm、長さ20cmほどの薪が取れた。
香織は達成感のようなものを感じた。
「女子のキャンプはゆるくて楽しいものじゃないなかな」
香織はまだ体力があるうちに言わないと、と本能的に思った。
ほんとに疲れたときは言葉が出てこない。
もう汗が出てきた。
同じく汗をかき始めている沙織は勢いよく振り返って言った。
「うちら武女子だから。こんなのへっちゃらでしょ」
「武女子?武道女子ってこと?…そうだけど」
「すぐそこだから」
「ほんと?ちゃんといざなってね」
「あはははは。いざなういざなう」
看板が見えてきた。
帯那山道とある。
帯那山の山道なんだ…
すると沙織は山道とは逆の方、川の方へと向かって行った。
「こっちこっち!」
「山道行くんじやないの?」
「うちらデイキャンプが目的だから」
右側には傾斜の山肌がある。
おそらくその裏がさっきの帯那山道になるのだろう。
逆に沙織が向かっている方はデコボコしてるが歩ける林だ。
すると開けた場所に出た。
一本の木が川沿いに立ち、その木の根本周辺には草と石で囲った人工物が見えた。
焚火をした跡だ。
「ここはわたしの秘密の場所。誰も来ないから」
風で木の枝が擦れる音、静かに流れる小川の音、なにより秘密の場所というのが贅沢に思えた。
沙織は慣れた感じでシートを取り出して敷いた。
その上に木の枝を利用しテントポールを使ってタープで屋根らしきものを作った。
香織はシートの上にリュックを置くと水筒を取り出して水分補給をして満足そうに一息ついた。
そして弁当箱を取り出してふたを取るとおにぎりが二つある。
「ねえ。おにぎり作って来たんだけど」
「お。イイネ。じゃ行こうか」
「え。どこに?」
「燃料探し」
「燃料?」
「焚火の薪になるものを探しに行こう」
「薪?」
「枝でもいいよ。なるべく乾いてるやつ」
そう言った沙織の手には大きな折りたたみナイフのようなものが握られていた。
「それなに?」
「シルキー」
「シルキー?」
折りたたまれた刃を沙織は伸ばして見せた。
ノコギリだ。折りたたみ式のノコギリだった。
「これよく切れるの」
香織は散策する沙織についてゆくと、すぐに倒れた木を発見した。
よく見るとすでに何箇所かノコギリで切り取られた跡がある。
「今日はこのあたりをもらおう」
沙織は折りたたみ式のノコギリの刃をすでに切られた跡から20cmくらいのところに当て足をかけた。
そして勢いよく引いて押してを繰り返すと刃は見る見るうちに木に切れ込みを入れていった。
「真っ直ぐに切ってるだけだとダメなの。すぐに木がしめつけてくるから。だから右とこ左に刃を当てて切れ込みを広げるの。やってみる?」
「うん」
香織も見よう見まねでやってみる。
ノコギリは引くときに切れてあとは力を抜いて刃を押し出しまた引いて切る。
下の方へ刃が切り込むにつれ上の切った部分が締まろうとする。
木が元に戻ろうとしてる?
刃が木の下へ落ちた。
直径10cm、長さ20cmほどの薪が取れた。
香織は達成感のようなものを感じた。
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