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ブッシュクラフト女子

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薪を持ってベースに戻ってくると沙織は刀身の黒いナイフを取り出した。

「それ、もしかしてナイフ?」

「そ。サビ止め、光の反射防止のためにパウダーコーティングしてあるの。最近のナイフはみんなこうなんだって」

「へえ。地井頭って物騒なものもってるよね」

「今日のうちらブ女子だから」

「武道やってるからでしょ…」

「違う違う。ブッシュクラフト女子のブ女子」

「ブッシュクラフト女子?」

「さ。やるよ。まずはバトニング」

「バトニング?」

沙織はいつも使っているであろう平たい皿くらいの大きさの木の破片の上に、先ほどの薪を立てた。
薪の切り口の端にナイフを当て、これまた愛用してるであろう30cmの薪でナイフの峰を叩いた。
ナイフの刃が薪に食い込んてゆく、と思ったら、カーンッという音とともにナイフは薪を2つにした。

「じゃ、やって」

「え!」

沙織は薪とナイフを渡した。

「えっと…こう?」

やや細くなった薪を立て上からナイフの刃を当てた。
そして峰を薪で叩いた。
ズズッとナイフが食い込んだと思ったら、薪が2つに割れる。

「これ、気持ちイイかも…」

「細めに割ってね」

「細め?」

「割った薪をまた割れば細くなってくから」

「なるほど」

「それでフェザースティック作るからね」

「フェザースティック?」

香織はなにかファンタジーな響きを感じた。

フェザーって羽根とかだっけ?

「天使の羽根がついたスティックってこと?」

「天使の羽根がついたスティック?なんかファンシー。愛洲ってファンシーだよね」

「違うの?」

「天使の羽根スティックでいいと思うよ。まあ見てて」

細く割られた薪を取り、沙織は別の折りたたみナイフを出した。

「ジャーン!スカンジエッジの威力見せてあげる」

「スカンジエッジ?」

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