アイスとチーズ

迷熊井 泥(Make my day)

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火起こし

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沙織はストーブの中に香織の作ったフェザースティックをティンダーウッドと一緒に立て、麻の火口を上に置いた。

「じゃ。火ぃつけて」

「これね」

香織はファイヤースタータをシースから抜き、麻を狙ってナイフの峰を当てた。

「えい!」

ファイヤースタータの上をオレンジモーラの峰が勢いよく削りすべると火花が散った。

「おお」

しかし火はまだつかない。

「もう1回」

香織は続けてファイヤースタータを削った。
だがまだつかない。

「麻を狙って」

「うん」

何度か火花を散らし、香織は初めてだからつかないのかもしれないと思い始めたある瞬間火は突然ついた。

「あ。ついた」

火はメラメラと麻の姿を消してゆきティンダーウッドにのり移った。
よく見ると小さな泡をプチプチと出しながらティンダーウッドは少しずつ燃える。
それが香織の作ったフェザースティックの羽根の部分を焼き始めた。
火は隣のフェザースティックを巻き込みストーブの中で燃え上がる炎となった。

「煙、気をつけて」

そう言いながら沙織は小さなプラスチックの容器に入った黄色い液体をフライパンに巻いた。油だ。
ピザはフライパンにピッタリハマった。

「ぴったしじゃん」

「納豆入れよ」

「うん」

香織は割り箸で納豆をパックからピザの上に垂らすように載せた。
火の通っていないピザはまだ自己主張はなく納豆の匂いだけがほんのりと香織の鼻に届いた。
適当に広げるとフタをした。

「あとはちょっと待てばできあがり。ピザ納豆、前人未到の世界だね」

「意外な発見になるかもね。この組み合わせ」

「美味しかったら写メをアップしようよ」

「バズるかも!」

香織は胸の高鳴りと期待でいっぱいになった。

「バズらせて学校で名を馳せてブ女子を増やす」

「どっち?ブッシュクラフト女子?それとも武道女子?」

「どっちも」

「地井頭って欲張るよね」

「いやいやいや愛洲殿ほどでは」

「殿ってミネラル思い出すから」

「あははははは。あの濃いミネラル」

「濃いミネラル」

黒胡麻亜香里のことだ。

そうこう言ってるうちにフライパンとフタの間から煙が上がり出した。

「来たよ」
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