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道場破り
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黒胡麻小吉、亜香里がさらわれたときに香織に頼みにきた父親は稽古が始まると二つの桶に水を汲みに行き、ひしゃくを入れて誰でもすぐに飲めるように道場の隅に置くのが習慣だった。
桶を置いて出て行こうとした時、表の門からいかにもならず者といった浪人が三人入って来るのを見た。
小吉がそれを伝えようとした時にはすでに浪人達は道場に入って来た。
「たのもう!」
道場内は一瞬で静まり返り、それまでの楽しい稽古の空気が一気に消えた。
「師範殿はどちらかな?」
「わたしだ」
香織が道場生達の間から出てきた。
「へえ。女侍が教えてると聞いたが本当なのだな」
「へ、へ、へ。俺たちと酒でも飲まねえか?」
「無礼者!」
野村が憤慨して前に出ようとした。
「かまわぬように!」
香織が制した。
「何用だ?道場破りか?」
「お!話がわかるお嬢さんだな」
「まあ、女相手に剣を交えてもな。だからもし路銀を少しばかり都合してくれるのならこのまま帰ってもいい」
真ん中の頭のような男が言った。
つまり道場破りと言って金を要求する輩だ。
女の香織が教える道場となるとこの手のチンピラがよく来る。
小吉はなんとなく沙織のところへいった。
「なに。道場破りだと?」
「ええ。ならず者ご三人ほど」
亜香里は「表に出ないようにと香織様が言っておったぞ」
「様子を見るだけだ。ならず者の相手ならオレの方が得意だ」
沙織は素早く道場へ走った。
道場の窓脇に身を潜め中の様子を伺った。
確かに三人のならず者がいるのを見た。
香織も道場生達もこの三人が地元の者ではないと感じた。
地元で陰流の香織に喧嘩を売る者などいないからだ。
道場生達は当然のように場所を広げた。
「あいにく都合つける金はない。よって剣を交えるということでよいか」
「なんだと!この俺たちとやろうってんのか!女だからといって…」
と、言い終わらないうちに香織は持っていた木刀を振り上げ踏み込んだ。
真ん中の男がその一打を受けようと剣を抜いたが、その手首を打たれた。
「うっ!」
打った木刀を後方から振り上げ「まいるぞ」と小さく言うと隣の男の頭を円を描いて打った。
三人目は剣を抜いてしっかり構えたがこれまた剣を止めず円を描いて構えた剣を打ち払いさらに小さく円を描いて頭を打った。
まるで車輪のような剣である。
これが愛洲移香斎のあみ出した剣、陰流であり移香斎が海賊をしていた時代に使っていた海賊剣法だ。
そして止まることなく最初の真ん中の男に向かうと手首を抑えていた男は「待て!参った!」と、手の平を向けて見せた。
が、香織は止まらず「聞こえん」と言ってそのまま男の頭を打った。
座り込んだ三人を香織は念入りにそれぞれの腕や肩、足を何度でも車輪の剣で打った。
当分の間、剣は握れない。
香織は向かってきた道場破りを徹底的に痛めつけることで地元では陰流の愛洲香織として恐れられた存在だった。
沙織はその徹底したやり方に見惚れていた。
「いいねえ。嫌いじゃないよ」
「これが愛洲香織様じゃ」
隠れている沙織の背後から亜香里が言った。
「わっ」
沙織は飛び退いた。
桶を置いて出て行こうとした時、表の門からいかにもならず者といった浪人が三人入って来るのを見た。
小吉がそれを伝えようとした時にはすでに浪人達は道場に入って来た。
「たのもう!」
道場内は一瞬で静まり返り、それまでの楽しい稽古の空気が一気に消えた。
「師範殿はどちらかな?」
「わたしだ」
香織が道場生達の間から出てきた。
「へえ。女侍が教えてると聞いたが本当なのだな」
「へ、へ、へ。俺たちと酒でも飲まねえか?」
「無礼者!」
野村が憤慨して前に出ようとした。
「かまわぬように!」
香織が制した。
「何用だ?道場破りか?」
「お!話がわかるお嬢さんだな」
「まあ、女相手に剣を交えてもな。だからもし路銀を少しばかり都合してくれるのならこのまま帰ってもいい」
真ん中の頭のような男が言った。
つまり道場破りと言って金を要求する輩だ。
女の香織が教える道場となるとこの手のチンピラがよく来る。
小吉はなんとなく沙織のところへいった。
「なに。道場破りだと?」
「ええ。ならず者ご三人ほど」
亜香里は「表に出ないようにと香織様が言っておったぞ」
「様子を見るだけだ。ならず者の相手ならオレの方が得意だ」
沙織は素早く道場へ走った。
道場の窓脇に身を潜め中の様子を伺った。
確かに三人のならず者がいるのを見た。
香織も道場生達もこの三人が地元の者ではないと感じた。
地元で陰流の香織に喧嘩を売る者などいないからだ。
道場生達は当然のように場所を広げた。
「あいにく都合つける金はない。よって剣を交えるということでよいか」
「なんだと!この俺たちとやろうってんのか!女だからといって…」
と、言い終わらないうちに香織は持っていた木刀を振り上げ踏み込んだ。
真ん中の男がその一打を受けようと剣を抜いたが、その手首を打たれた。
「うっ!」
打った木刀を後方から振り上げ「まいるぞ」と小さく言うと隣の男の頭を円を描いて打った。
三人目は剣を抜いてしっかり構えたがこれまた剣を止めず円を描いて構えた剣を打ち払いさらに小さく円を描いて頭を打った。
まるで車輪のような剣である。
これが愛洲移香斎のあみ出した剣、陰流であり移香斎が海賊をしていた時代に使っていた海賊剣法だ。
そして止まることなく最初の真ん中の男に向かうと手首を抑えていた男は「待て!参った!」と、手の平を向けて見せた。
が、香織は止まらず「聞こえん」と言ってそのまま男の頭を打った。
座り込んだ三人を香織は念入りにそれぞれの腕や肩、足を何度でも車輪の剣で打った。
当分の間、剣は握れない。
香織は向かってきた道場破りを徹底的に痛めつけることで地元では陰流の愛洲香織として恐れられた存在だった。
沙織はその徹底したやり方に見惚れていた。
「いいねえ。嫌いじゃないよ」
「これが愛洲香織様じゃ」
隠れている沙織の背後から亜香里が言った。
「わっ」
沙織は飛び退いた。
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