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恩にきるぜ
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その頃、愛洲家の裏口では黒胡麻小吉が纏持ちの真吉に相談をされていた。
「な。たのむよ小吉。俺は本気なんだ」
「いや、香織様に夜這いをかけたいなんざ珍しい根性ものだと思うけどよ…」
この時代の恋愛は夜這いだ。
女の部屋へ男が這って忍び込むから「夜這い」という。
現代では考えられないが当時の風習だ。
夜這いをかけるには家の者をまず説得して入れてもらわなければならない。
当然おかしな輩はこの地点で不合格となるし、または女の方から家の戸口を開けておくなどしていたようだ。
だが小吉の気が進まない。
「なにせ香織様はあの気性だからな。怒ったらそりゃあおめえ腕や足の一本無くなるつもりでいかねえといけねえぜ。わかってんのか?陰流の宗家様だぜ。この間も三人の浪人が道場破りに来て全員足腰立てねえくれえ打ちのめされたんだ」
真吉は男としては標準的な身体つきだが脚が長く晒に羽織の姿がまた女達の目を引いた。
「こちとらもとよりそのつもりでえ!町火消しの纏持ちを舐めてもらっちゃあ困るぜ。惚れた女に腕や足の一本くらい取られたってそいつは本望ってやつだ。俺の腕が無くなるが早いか香織様を幸せにするのが早いか賭けてみやがれ!」
「よく言った!それでこそ江戸っ子の纏持ちだ。今夜この戸口を開けておくから気ぃ張って這いまわってきな!」
「おやっさん。恩にきるぜ!」
「な。たのむよ小吉。俺は本気なんだ」
「いや、香織様に夜這いをかけたいなんざ珍しい根性ものだと思うけどよ…」
この時代の恋愛は夜這いだ。
女の部屋へ男が這って忍び込むから「夜這い」という。
現代では考えられないが当時の風習だ。
夜這いをかけるには家の者をまず説得して入れてもらわなければならない。
当然おかしな輩はこの地点で不合格となるし、または女の方から家の戸口を開けておくなどしていたようだ。
だが小吉の気が進まない。
「なにせ香織様はあの気性だからな。怒ったらそりゃあおめえ腕や足の一本無くなるつもりでいかねえといけねえぜ。わかってんのか?陰流の宗家様だぜ。この間も三人の浪人が道場破りに来て全員足腰立てねえくれえ打ちのめされたんだ」
真吉は男としては標準的な身体つきだが脚が長く晒に羽織の姿がまた女達の目を引いた。
「こちとらもとよりそのつもりでえ!町火消しの纏持ちを舐めてもらっちゃあ困るぜ。惚れた女に腕や足の一本くらい取られたってそいつは本望ってやつだ。俺の腕が無くなるが早いか香織様を幸せにするのが早いか賭けてみやがれ!」
「よく言った!それでこそ江戸っ子の纏持ちだ。今夜この戸口を開けておくから気ぃ張って這いまわってきな!」
「おやっさん。恩にきるぜ!」
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