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めちゃくちゃ

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次の瞬間、真紀理に覆いかぶさり沙織その唇に自分の唇を押しつけた。
沙織の唇は真紀理の顔、首、鎖骨まで接吻を続けた。
真紀理は驚きと味わったことのない感覚に抵抗することも忘れていた。
香織も暗闇の中、目を凝らして二人をガン見していた。
沙織は真紀理の羽織をガッと肩から降ろし、晒を思いきり下げた。
そして胸をめめがけて唇を押し付けると「ん?なんだこれは?」と、初めて動きが止まった。

「これは…おなごか?!」

「そこまでだ!そやつはおなごなのだ!」

香織がようやく踏み込んできた。
そして興奮気味に行灯に火を灯した。
二人がどんな姿か見てやろうということだ。
露わになった豊満な胸を隠す真紀理に沙織が男のように覆いかぶさっている。

「おぬしらなんじゃ…」

まだ酔っている。

「だからそやつはおなごじゃ。いいかげん離してやれ」

じっと真紀理を見下ろした沙織は男だったらかなり姿の良い真紀理に悪い気はしなかった。

「このさい女でも良い。オレを夜這ってきてのだから!」

沙織は顔を真紀理の胸に埋めた。

「きゃああああ!」

真紀理が上げた女の悲鳴に思わず香織と沙織の動きが止まった。

「きゃあって?」

「うっ…」と、真紀理は己の口を塞いだ。

そして男のしゃべりでとりつくろった。

「ふっオレとしたことが女みたいな声あげちまったぜ」

「いや女だろおぬし」

「もうどっちでもよいわ!」

沙織が真紀理に抱きついた。

「ほんとか?ほんとにいいのかい?」

真紀理が沙織を見つめてその気になろうとしていると香織が割って入った。

「よいわけなかろう!」

「それにおぬし、わたしと契りを交わしたと言ったではないか。付き合っているふりもするのだろう」

「たしかにオレとしたことが…我を忘れてこんなことを…」

まだ酔ってる沙織は真紀理に抱きついた。

「なにぃ?香織と契りを結んだのか。だったらわたしは情婦でよい」

沙織が真紀理に唇を近づける。
真紀理も受け入れる顔になっている。

「ええ~い!おなご同士でなにをしとる!」

二人の頭を思いきり離した。

「めちゃくちゃじゃ!」

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