113 / 167
見届人
しおりを挟む
沙織が雑木林の前を通り過ぎると伸びた髷をそのままにした茂吉が沙織の後ろ姿を注意深く見送った。
人斬り地井頭と鉄風の猿吉の対決を終始見ていた。
茂吉は山尾組の者だった。
組長の山尾東吉郎は河本親分とは義兄弟の仲だ。
当然、河本一家を襲った組を探していたが、手がかりがまったく掴めずにいた。
鉄風の猿吉は自らの手で河本親分の仇を討つべく山尾組にはギリギリまで伝えなかった。
しかし相手が人斬り地井頭とあって、万が一を考え山尾組で親しくしていた茂吉に見届人になってもらったのだ。
そして猿吉が敗れた今、茂吉の仕事は河本一家を潰した犯人を伝えること、そしてその相手に鉄風の猿吉がやられたことを伝えることだ。
沙織が去ったあと、茂吉は倒れた猿吉のそばへ寄って息を呑んだ。
「これが人斬り地井頭かよ…拝み打ちじゃねえか」
猿吉の死体は顔面から心の臓の下まで真っ二つに裂けていた。
「猿吉の兄貴、仇は討つぜ」
茂吉は肩で風を切りながら山尾組長への報告の足を速めた。
人斬り地井頭と鉄風の猿吉の対決を終始見ていた。
茂吉は山尾組の者だった。
組長の山尾東吉郎は河本親分とは義兄弟の仲だ。
当然、河本一家を襲った組を探していたが、手がかりがまったく掴めずにいた。
鉄風の猿吉は自らの手で河本親分の仇を討つべく山尾組にはギリギリまで伝えなかった。
しかし相手が人斬り地井頭とあって、万が一を考え山尾組で親しくしていた茂吉に見届人になってもらったのだ。
そして猿吉が敗れた今、茂吉の仕事は河本一家を潰した犯人を伝えること、そしてその相手に鉄風の猿吉がやられたことを伝えることだ。
沙織が去ったあと、茂吉は倒れた猿吉のそばへ寄って息を呑んだ。
「これが人斬り地井頭かよ…拝み打ちじゃねえか」
猿吉の死体は顔面から心の臓の下まで真っ二つに裂けていた。
「猿吉の兄貴、仇は討つぜ」
茂吉は肩で風を切りながら山尾組長への報告の足を速めた。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる