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ツムギ

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2人台本

『人気のイケメン執事喫茶に行ってきた!【ナツのオフ】』(男1:女1)約20分

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登場人物(男:1、女:1)

・ナツ/女
ゲーム配信をしている女性ユーチューバー。見た目は地雷系女子だが、性格は天然。

・スイレン/男
一人で執事喫茶を切り盛りしているイケメン執事。経営力はあるのに必要な所に頭を回せない少し残念な性格。

【時間】約20分
【ジャンル】コメディ



【本編】

ナツ「みんにゃー、おはナツ~。みんなのナッちゃんだよぉ。今日はねぇめちゃくちゃ人気の執事喫茶に行くよ。中々予約取れなくて萎えてたけどようやく取れて、今日ついに行ける日♪いつもはゲームとかやってるから今回実写で完全にプライベートって感じだし、これサブチャンに上げる予定なんだけど、どこまで撮って良いか分からないんだよね。一応写真とか動画は撮って良いらしいから、詳しい事はお店に行って聞く予定~。だからぁナッちゃん行ってきま~す」

執事喫茶前

ナツ「おぉ、ここのビルの3階らしい。なんかどきどきしてきたぁ。ナツ執事喫茶初めてだし、執事になるシュミレーションゲームなら遊んだ事あるけど、あれ自由度高過ぎて最後暴れ散らかしたらリスナーにドン引きされたからなぁ…(笑)。うん、時間もちょうど良い感じだし、早速突入~」

店内

ナツ「スゥー、ハァー、スゥー、ハァー…よし、お邪魔しまぁす」

スイレン「おかえりなさいませ、お嬢様。貴女様の執事、スイレンでございます」

ナツ「ふぉぉぉお…!…つ、す、すごい…いけ、いけい、イケメンン…!あひっ、あ、予約してたナツですぅ…」

スイレン「ご予定通りの時間にサロンまで足をお運びになりありがとうございます。ナツ様」

ナツ「ナツ様…!?スゥー、やばい陰キャのナツが出る…」

スイレン「ナツお嬢様の為に美味しいお紅茶やお菓子をご用意出来ます。まずは、あちらのお席へご案内致します」

ナツ「はぅ~、ひゃい…」

スイレン「うん?照れてらっしゃるのですか?お可愛らしいですね」

ナツ「んんんんっ!!……みんにゃ、ここはヴァルハラかもしれない…。あっ!スイレンさん、写真や動画とかって撮って大丈夫ですか?それをユーチューブとかに上げるのって…」

スイレン「あぁ、予約の際に備考欄にも書かれてましたね。大丈夫ですよ、店内にいらっしゃるのは私とお客様だけですから。一部のイベントはこれから来るかもしれないお客様へのネタバレになってしまわれるので、NGな部分はその時その時にお伝えします。ナツ様が事前に撮影をされるという旨を教えて下さってるのでそこまで問題はございません」

ナツ「あ~、よかったぁ。ちゃんと伝わってるか不安だったんです」

スイレン「むしろ、店の宣伝をしてくださり有り難い限りです。お調べした所ナツ様はゲーム実況をなさってるんですね」

ナツ「まだまだ端くれですけどねぇ。…というか気になったんですけど、今私とスイレンさんしかいないの?」

スイレン「はい」

ナツ「え?」

スイレン「私とお嬢様だけです」

ナツ「…あぁ、他の執事さんは休憩中?」

スイレン「いえ、当店の執事は私だけです」

ナツ「なわけねぇだろ。どうやって回してんだ」

スイレン「全て私が一人で切り盛りしています。なので、お客様のお相手はこの様に完全予約制の1対1なんです」

ナツ「……マ?」

スイレン「マジです」

ナツ「え~…。SNSとかネットで色々調べて、確かに執事が一人で全部やってるって言うのは見たけど、あれマジ…?え、でもでも流石に料理とかはコックさんがいるでしょ?」

スイレン「それも私です」

ナツ「ん~…」

スイレン「接客、清掃、料理に後片付け、内装のセッティング、掲示板の管理に店の経営等、全てやってます」

ナツ「死んじゃうよ。人雇わないの?」

スイレン「思いの外忙しくなってしまって、人を呼ぶ気力だけが沸かないんです…」

ナツ「本末転倒だよ」

スイレン「そうですね…取り敢えず予約の数が落ち着くまで一人で頑張ろうと思ってるんですが…」

ナツ「それっていつになりそうなの?」

スイレン「今は半年先まで予約が埋まってます」

ナツ「いや死ぬて」

スイレン「最近SNS等で当店の事が取り上げられまして、一気に予約が埋まりました」

ナツ「うーん、私もネットで知ってから即予約したけど、その時は1ヶ月先になってたなぁ…。その間に半年先まで埋まってるのか…すご。と言うか、私が取り上げたら余計に忙しくなるんじゃ…」

スイレン「いえ、話題が出るなら嬉しい限りです」

ナツ「さてはドMか?こいつ…」

スイレン「こんな私めが一人でも多くのお嬢様方を楽しませる事が出来るという事実、それだけが私の幸せでございます。これはまごう事なき本心なのです」

ナツ「あ、…御免なさい。素敵な志しだった…!」

スイレン「まぁ、どちらかといえば虐げられる方が好きです」

ナツ「おい」

スイレン「さて、ナツお嬢様とのお喋りも楽しいですが、ここからは私めがお嬢様を楽しませてみせましょう」

ナツ「わぁ、なんかドキドキする言い方…!」

スイレン「本日ご用意出来るお食事とお飲み物はこちらになります。どうぞお選び下さい」

ナツ「あ、どうも。おぉ…色々あって悩むぅ…うーん。オススメってあるの?」

スイレン「そうですね、人気なのはこちらの『執事選りすぐり、日替わりシークレットティーセット』でございます。こちらは、その日ごとに私が選んだ紅茶とデザートをご提供致します。どの様なセットなのかは出て来るまで秘密にございます」

ナツ「きゃ~、ドキドキするやつだぁ♡…じゃあレモンティーとチョコレートケーキで」

スイレン「そこは日替わりセットではないんですね」

ナツ「何が出て来るのか分からないのって怖いもん。友達と来てたら頼んだかもだけど一人は無理」

スイレン「左様でございますか」

ナツ「左様です」

スイレン「レモンティーとチョコレートケーキでございますね?少々お待ち下さいませ」

ナツ「はーい…………あれ、確かスイレンさんが全部やってるんだよね。完成するまで待ちぼうけ確定やん」

数分後

スイレン「お待たせ致しました。レモンティーとチョコレートケーキでございます」

ナツ「わぁ、美味しそう♡」

スイレン「お飲み物とデザートをご注文して下さいましたので、ランダムで私のブロマイドを差し上げます」

ナツ「わぉ」

スイレン「シークレットセットをご注文下さったら2枚差し上げましたのに」

ナツ「ランダムの種類って何枚あるの?」

スイレン「82枚です」

ナツ「多いな」

スイレン「定期的に写真を撮るので種類が増えていくんです」

ナツ「写真増やす前に従業員を増やせ」

スイレン「仰る通りで」

ナツ「じゃあ増やせよ」

スイレン「昔コスプレ等をしてたので…写真を撮るぞ、ってなったら毎回テンションが上がってしまって」

ナツ「あー、そう…。え、まさか写真も一人?」

スイレン「いえいえ、写真を撮る時にだけ手伝ってくれる友人がいます」

ナツ「もっと他に手伝う所あるだろ」

スイレン「仰る通りで」

ナツ「と、取り敢えず写真と動画をぱぱっと失礼します~。ってかドリンクやケーキはまだしも、スイレンさん料理もしてるんだよね?」

スイレン「はい、仕入れから全て私です」

ナツ「やば」

スイレン「心苦しいですが、料理を作ってる間はお嬢様を一人にさせてしまうのです」

ナツ「それはそうだよねぇ」

スイレン「なので、最近は比較的すぐに出せるデザートしか頼まれないですね」

ナツ「だろうな」

スイレン「仕入れが無駄になるので料理の方も注文して欲しいです」

ナツ「切実な目をしとる…。あ、じゃあ調理場を見れる仕様にしたら?執事が目の前で料理してるとか面白いシチュエーションじゃない?」

スイレン「……ほぉ!それは、何と素晴らしいアイデアでしょう!私感動致しました!是非、その提案を使わせてくださいませ」

ナツ「え、まさかの採用?」

スイレン「そうか、その手があったか…。待たせる事を逆手に取って、お嬢様とお料理をするシチュエーションを作り上げる。その間にお客様と会話も続けられる。それは面白い…」

ナツ「でもそれが話題になったらまた休みがなくなるんじゃ…」

スイレン「ありがとうございます。特別にブロマイドをランダムでもう一枚差し上げます。ナツお嬢様とスイレンの秘密でございますよ♡」

ナツ「いや、あ。ど、どうも…。え?柄同じなんだけど82枚もあって被る?」

スイレン「御免なさい、ランダムの変更はききません」

ナツ「いや、仕方ないからいいけど。…何か、想像してた執事喫茶とだいぶ印象が変わっちゃった…。変わらないのはイケメンフェイスだけ…」

スイレン「ありがとうございます」

ナツ「じゃあ、レモンティーとチョコケーキいただきます。…ん!美味しいぃ♪ほんのりと苦味があるチョコケーキ好きなんだよね~」

スイレン「お気に召した様で、スイレンは嬉しゅうございます」

ナツ「こんな素敵な雰囲気のお店で、イケメン執事に美味しい紅茶とスイーツ…しかも1対1だからマジでお嬢様気分になれるよ…♡こりゃ話題にもなるわぁ」

スイレン「嬉しいお言葉です」

ナツ「そもそも執事のイメージ自体、アニメや漫画でしか見た事なくて、白髪のおじいちゃん執事とか俺様とかドS系とかのキャラを想像してたもん」

スイレン「あぁ、確かにそう言った執事のキャラクターはございますね。ここは私一人で切り盛りしているのでキャラの限界がございます故」

ナツ「そりゃそうだ」

スイレン「お望みでしたらそのようなキャラ付けされたものを演じてみることも可能ですよ」

ナツ「キャラ付け言うな。ってか、え?お嬢様の要望に合わせてキャラを演じれんの?凄いな…」

スイレン「昔は役者を目指していた事もございます故」

ナツ「じゃ、じゃあじゃあ、今俺様系執事やってーって言ったらやってくれるの?」

スイレン「かしこまりました。……んんっ、なぁお嬢様?そんなカメラ越しじゃなくて直接俺を見とけよ。あんたの視線ごと全部俺様のもんだろ?」

ナツ「はわわわわっ!?タメ口嫉妬系俺様執事ぃ…!?すごいすごい、これはお嬢様メロメロになっちゃうよ」

スイレン「ふふっ、左様でございますか?」

ナツ「ど、ドS系…とかって…?」

スイレン「んんっ、…ナツお嬢様、私を見つめるのも構いませんが、さっさとカトラリーを片付けさせて下さい。食べかけを放置して呑気にお喋りとは恥ずかしいお嬢様ですねぇ。構いませんよ?後でみっちり…お仕置き付きのテーブルマナー講座でもして差しあげましょうか?ふふっ…」

ナツ「んあぁぁぁ…!お仕置きって何されちゃうのぉ…!?」

スイレン「こんな感じで如何でしょう?」

ナツ「すごいよスイレンさん。これはリピーターも多いし、新規も着くよ。いや、半年先まで予約が埋まってるならもう人気も人気だね」

スイレン「ふふ、ありがとうございます」

暫くして

スイレン「ナツお嬢様、そろそろお時間では?」

ナツ「ありゃ?もう終わりの時間?楽しくてあっという間だったな~」

スイレン「そのお言葉、嬉しい限りでございます。是非また、スイレンに会いに来て下さいまし」

ナツ「予約がやべーから難しいし、これ以上やったらマジでスイレンさん倒れるんじゃね?…でも、また来ます!その時も撮影して良いですか?」

スイレン「撮影でも、プライベートでも。スイレンはお待ちしています」

ナツ「はぅ~、やっぱイケメンン…。みんにゃ~、もしここに来てくれるならフードメニュー頼もうぜぇ…私は絶対頼むわぁ」

スイレン「なるべく早く店内の改装も実行するつもりなので、よろしくお願い致します」

ナツ「まぁ、体に気を付けて頑張って下さい」

スイレン「一介の執事にお優しいお言葉…、ナツ様は本当にお優しいのですね」

ナツ「スイレンさんも優しくて面白くて凄い人だよ。絶対また来ます!今日は撮影もさせてくれてありがとうございました、編集頑張って高評価いっぱいつく様にするねぇ♪」

スイレン「はい、本日はナツお嬢様とお過ごしする時間を頂きまして、心より感謝を申し上げます。もしもまた、私の事を想って下さいましたら、是非いらしてください。スイレンはいつでも、このサロンにて貴女様をお待ちしております」

ナツ「ん~、最後までセリフがカッコ良すぎぃ♡みんにゃ~、ナッちゃんはじめての執事喫茶満喫しちゃったよぉ♪」

スイレン「あ、最後にこちらをどうぞ」

ナツ「ん?何これ?」

スイレン「来てくださったお嬢様へお渡ししております、ランダムのコースターでございます」

ナツ「…これも作ったの?」

スイレン「グッズ作りとは中々楽しいですね、柄はブロマイドと同じなので、こちらも82種類でございます」

ナツ「…んー、いやまじで倒れる前に休んで!」

スイレン「はははっ」

ナツ「笑ってごまかすな。…柄、なんだろ?……ブロマイドと一緒じゃねぇか、こっちも被るんかい」

スイレン「すいません、こちらも交換は出来なくて…」

ナツ「もういいよ!」


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