異世界で傭兵始めました

ミストレ

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1章 転生編

13話

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【本文】

 本当に意思があるのか試す為、アテナにいくつか質問をしてみた。

 「アテナは今、何がしたい?」

 「私はマスターの側にいたいぞ」

 「えー、んじゃ、今後何がしたい?」

 「マスターを守り、マスターの邪魔をする者を排除する。それだけだ」

 「えー・・・。んじゃ!僕が君を捨てると言ったら?」

 「この剣を持って片腕を斬り落とし、献上する事で許しを請い、マスターの側にいさてもらう」

 「・・・・・」

 (なにこの忠誠心は!!)
 僕は心の中で叫んでいた。意思がある事は確認出来た。更に、態度は強気なのに、それからは想像も出来ない程の忠誠心を持っている事も知る事が出来た。これは知ってしまったと言った方が良いだろう。もう少し質問を考えてすれば良かったと少し後悔していた。

 気落ちしている僕を見ているアテナはなにを思ったのか、僕の目の前に来て片膝を床につけ、忠誠を誓う騎士の様なポーズを取った。

 「マスター、命令を」

 僕の状態を見て、よく言えたなと口に出さず、思うだけで止まった。

 「はぁ~、アテナには・・・」

 「カオル様、今、帰りました」

 アテナにこの店を守るよう命令をしようとした時、フィル達が帰って来た。いや、この場合は帰って来てしまったと言うべきだろう。なぜなら・・・。

 「貴様ら!何奴!マスターお下がりを!此奴らは私の剣の錆にしてやります!」

 フィル達を殺す気満々な言葉が投げつけられた。状況を理解していないフィル達はキョトンとしていたが、アテナはつかに手を掛け今にも飛びかかりそうな勢いだ。

 「アテナ待て!あの子達は敵じゃない僕の仲間だ」

 「わかったぞ、マスター」

 僕がそう言うとアテナは柄から手を離し僕の後ろに下がった。それを確認した僕は大きなため息をついた。


 「カ、カオル様の後ろにいるのはゴーレムですか?」

 ドギマギしながらフィルが聞いてきた。僕はフィル達に説明をした。アテナがオリハルコンからできている事は伏せて。


 「そうだったんですね。アテナさんが店を守って下さるなら安心そうですね」

 「ふん、当たり前だ。この私が守るのだ、安心であるのは当たり前だ」

 どこか嬉しそうにしているアテナだった。
 

 それから、フィルに今日の成果を聞いたり、今後の方針を決めたりした。
 店の方も準備が出来た。あとは客対応がしっかり出来るかが問題である。警備の方はアテナの他に鉄で作ったゴーレムを四体(名前は1号、2号、3号、4号)がいるから大丈夫だと思う。アテナにはナナの言う事を聞くように言ってあるし、店員の誰かが襲われたりした時殺さないで無力化するようにも言ってある。
 あとはスレインの準備が整うのを待つだけだ。



__________________



 それから2日後、スレインの方も準備が整い店をオープンさせた。

 "カディス商会"それが僕の店の名前である。カディスはカオルのカ、ディはディグルのディ、スはスレインのとそれぞれの頭文字を取りカディス商会と名付けた。
 この店の特徴としては、ポーション類が安く手に入るようにしているのと傭兵ギルド、ディグル領支部と提携している事だ。

 ギルド側は提携している僕の店を宣伝してくれて、宣伝費として僕はギルドに売り上げの一部を収めるそう言う手筈になっている。僕は売り上げを伸ばせれる、ギルドは宣伝するだけで収入が入るとウィンウィンな関係である。

 1日目と言う事で僕は店に残り、フィル達にはクエストを受けに行ってもらっている。

 ゴーレムは店前に2体、店内に3体というような配置にしようとしていたのだが、最初こそはそれで大丈夫だったのだが、訪れた傭兵達による口コミが広がりに広がって今では長蛇の列が店の外で並んでいた。その為、店内の2体を列の整備に回した。それにより、店内はアテナのみとなっている。

 「小ポーション4つ、中ポーションが3つですので銀貨2枚と銅貨2枚になります。ちょうどお預かりします。ありがとうございました」

 「小ポーションが2つ、中ポーションが7つ、大ポーションが5つですので金貨1枚と大銅貨1枚、銅貨3枚になります。金貨1枚と大銅貨2枚お預かりします。お釣りの銅貨2枚になります。ありがとうございました」

 ディグル領内の商会の中で一番安くポーションが買える店という事で押し寄せた客対応にレジ対応が間に合わない状態であった。中には横入りして喧嘩になったり、悪態をついてくる輩もいたが、アテナ率いるゴーレムによって鎮圧され、問題は最小限に抑えられた。

 因みに値段設定はこのようになっている。

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
 
 小ポーション→大銅貨1枚と大青銅貨1枚

 中ポーション→大銅貨1枚と銅貨3枚

 大ポーション→銀貨1枚と銅貨2枚

 特大ポーション→銀貨2枚と大銅貨1枚

○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○


 午後になる頃には倉庫にあったポーションが完売した為、臨時閉店をした。
 今日の売り上げは大白金貨5枚と大金貨5枚分だった。日本円にすると50.500.000円だ。そう思うとかなり儲けたと思った。1日それも半日でこの成果なら1日売れればいい黒金貨も夢ではない。そう思うとワクワクしてきた。

 商店組みは店の掃除と明日の販売の準備をしていた。明日からは干し肉などの携帯食料の販売もする予定だ。ポーションは【保管庫ストレージ】から取り敢えず5千ずつ出した。1日で1万も揃えると既にケチをつけられそうなのに更にケチをつけられてしまうから制限した。

 「初日の販売、お疲れ様でした。今後も頑張ってもらう為に今日はご褒美に銀貨2枚を渡すのでに商店通りに行って好きな物を買って来なさい」

 準備を終えた商店組みにはご褒美としてそれぞれに銀貨2枚ずつ渡して買い物に行かせた。頑張ればそれに見合った報酬が支払われるのは当たり前だ。本当ならもう少しだけでも渡したいが、渡しすぎるとそれが原因で何かに巻き込まれるかもしれない。だから、多くは渡せれないが一般的な物なら買える銀貨2枚を与えた。
 銀貨を渡した時の子供達は目をキラキラさせていた。渡す時に「頑張ってたね」と撫でてあげたのも良かったのかもしれない。その後は元気にはしゃぎながら家を出て行った。

 
 その日の夕食はレストランでの外食にした。フィル達、傭兵組みも労う為と、いう意味もあって外食にした。
 初めてのレストランでの外食に子供達はどこか緊張をしていた。ナナだけはいつも通りだった。

 その後は体を拭いたりして子供達を寝かせ、ポーションの予備作りとゴーレムの追加を作ったりしていた。そして、寝ようとした時に店の外に誰かがいる気がしていると

 「曲者!」

 僕の部屋にいたアテナが窓から飛び降りて行った。アテナを追うように僕も飛び降りたら、如何にも悪者ですと言う見た目をした男達が20人近くいた。

 「曲者が!この家を我がマスターの家と知っての狼藉か!」

 お前はどこの侍だと、ツッコミを入れたくなるのを抑えながら男達を見ていると男達は笑い始めた。

 「あはは、あのゴーレムの後ろにいる奴が依頼の奴だろ?あんな弱そうな奴とは思わなかったぜ」

 「あはは、そうっすよね」

 「とんだ依頼だぜ。ガキを潰すだけとはな」

 男達の話から誰かに依頼されたのは理解した。そして、依頼したのは商会ギルド辺りだろうと想像もついた。こんな事もあろうとアテナを側にいさせて正解だった。

 「アテナ、こいつらを動けないようにしてやれ」

 「我がマスターの命だ。恨むなら自分を恨め」

 そう言ってアテナは一瞬でガタイの大きい男の前に行き、男を盾で薙ぎ倒した。倒された男は体をピクピクとさせていた。あまりにも一瞬の出来事に他の男達は理解するのに時間を有した。その隙にアテナは次々と薙ぎ倒していった。圧倒的ステータス差による一方的な蹂躙へと変わったその場は理解してもなお、男達には手も足も出すことが出来なかった。

 縄を使って男達を縛り上げ、衛兵の元へと連れて行った。




 次の日の朝、スレインの元に行き昨日の夜の事を話すとスレインも同じ考えだった。

 「提携している以上私達に対しても喧嘩をふっかけて来ているようなものだ。私が話しておいたにも関わらずこの対応とは舐められたものだ」

 イライラを隠さずにいるスレイン、エミリーは冷静ではあったがどこか怒っているようにも見えた。

 「ひとまず、昨日の売り上げの一部を今後の付き合いの為に渡しておきますね」

 そう言って大白金貨を1枚渡すとスレインの機嫌は良くなり、エミリーは驚きの表情をしていた。

 「いやはや、話を聞いていたがそんなに儲けているのか?それ故に商会ギルドの奴らが動いたのか、あはは」

 「この大白金貨で今月の出費を支払う事を計算して・・・」

 上機嫌なスレインに対し、エミリーは難しい顔をしながら何か計算を始めていた。

 「そ、それでは今後もよろしくお願いします」

 「おう、こちらこそ、よろしく頼む」

 「カオルさん、負けないで下さい!!」

 計算し終えたのかエミリーはいつも通りの笑顔だったが、どこか燃えるようなものを感じながら、僕は傭兵ギルドを後にした。




__________________




 2日目の販売が始まった。開店前に既に列が出来ており、予定よりも少し早く開店した。昨日の口コミが広がりに広がったのか、かなり数の客が来た。ポーションは昨日と同様に次々と売れていき、携帯食料も少しずつ買われていった。
 それから数時間、まだ午前だというのに完売した。

 「完売しましたので、またご来店下さい」

 僕は店の外に行きそう言うと残念そうに客達は帰って行った。中には買わせろと言う奴もいたが、アテナが拘束すると大人しくなり、その様子を見ていた人達は足速く去って行った。

 今日の売り上げは大白金貨2枚、白金貨5枚、大金貨5枚、日本円にして25.500.000円もの売り上げだった。昨日よりも売り上げは落ちたもののこれだけの売り上げだ、黒字もいい所だ。そもそも材料費や運搬費が無いので赤字になる事はない。だから、安く提供しても問題ないのだ。

 他の商会を調査したら小ポーションだけでも銀貨1以上もしており、金額はどこの店も同じであった。つまりは商会ギルドによる独占販売状態と言えるものであった。それ故に冒険者や傭兵は高いポーションを買わざるを得なかった。無いと困る物だから買わないという判断は無かったのだ。

 そこへ安値でポーションが売られていると知れば誰もがこぞって買いに来る。一応僕もちゃんと考えている。この2日から考えるに上手くいっていると言えるだろう。

 その日の夜も雇われた男達が襲撃して来たが、アテナと増員したゴーレムにより衛兵の元へと連れて行かれた。


 そして、3日目。カディス商会にある男が来た。
 
 「儂は、商会ギルド、ギルド長をしているガルドだ。この店の責任者を出せ」

 そう言って店に乗り込んで来て、棚にあったポーションを叩き割った。
 しかし、その日は僕がいなかった為、アテナによりすぐに拘束された。護衛の者達もまた他のゴーレムにより拘束されていた。

 僕が戻って来たのは午後だった。そして、男達が店の中で縄で拘束されているのを目にしてナナによる説明によって知ったと言う訳だ。

 ひとまず、応接室に連れて行き、ガルドと名乗る男だけを解放した。

 「この無礼者が!!儂を誰と知っての事か!!」

 当然と言えば当然だが、ガルドは怒り全開だった。そもそも、ポーションを割ったりしなければこのようにはならなかったと言うのに無礼なのはそっちだと思った。

 「失礼ですが此度の対応に不備はありません。あなたが商品を割ったのがそもそもの原因です」

 「そんなもの知るか!儂が来たのにさっさと出てこないお前が悪いんだ!賠償してもらうぞ!」

 「事前の連絡も無かったのですから勝手に来たあなたが悪いです。それに賠償も払いません。むしろ賠償を払ってもらいたいくらいです」

 冷静に受け答えをして、更に同じ立場というように振舞った。それが気に食わないのか、ガルドはかなりイライラしていた。

 「儂に対してこの対応、どうなるのか分かっているのか?」

 「どうなるのか知りませんが、あなたこそ、傭兵ギルドと提携しているこの店をこの2日間襲わせたことに対してどう償うつもりですか?」

 「儂はそんな事知らん。勝手に儂らのせいにされても困るわ」

 「はぁ~、分かりました。それで今日は何をしに来たのですか?」

 「お前の商会を商会ギルドに加入させる為にわざわざ来た。今から書類を渡すからサインしろ」

 そう言ってガルドは折り畳まれ紙を机に置いた。

 「さっさとここにサインしろ」

 「すみませんが、僕は傭兵です。つまり傭兵ギルドに登録しているのでサインする事は出来ませんし、する気もないです」

 「つぐつぐ腹が立つ小僧だ。儂がサインしろと言えばサインすればいいんだ!!」

 そう言ってガルドは机を強く叩いた。今まではこれでも良かったのだろう。商会は商会同士の繋がりが重要だ。その為、商会ギルドに妨害などをされると損害は計り知れない。しかし、僕の商会は繋がりが無くても運営が可能だ。なんせ、商品は僕が全部創っているのだから。

 「謹んでお断りします。アテナ、お客様がお帰りだ。案内してくれ」

 「かしこまりました、マスター。貴様ら来い!」

 縄で拘束している護衛の者達を強引に引っ張って行くアテナ。ガルドも僕を睨みながら扉の方へと歩いた。

 「此度の屈辱、必ず後悔させてやるからな」

 ガルドはそう言って部屋を出て行った。

 
 ガルド達が出て行ったのを確認してから僕はため息をついた。確実に面倒なことになるのは容易に想像が出来たからだ。

 「カオル様、大丈夫ですか?」

 「大丈夫?」

 「大丈夫か?」

 「大丈夫~」

 子供達が応接室の扉を開け中に入って来た。子供達の表情に僕を心配しているのか、少し悲しげに見えた。

 「大丈夫だよ。心配してくれてありがとう。明日からも大変だけど、みんな頼むよ」

 僕はそう言って笑顔を見せると子供達もパァッと笑顔になった。

 次の日の準備を終え、体を拭き終えた子供達は就寝していた。
 僕はと言うとゴーレムを増員したり、ゴーレムに危険などを伝達する為のスキルを付与していたりしていた。今日のガルドの発言に子供達が危険にさらされないようにする為、オリハルコン製のゴーレムを作っていた。
 そうして誕生したのが、アテナが率いる"バルキュリー部隊"だ。戦姫の姿をイメージしたオリハルコンゴーレムはアテナよりはステータスは低いがそこらの傭兵や冒険者なら簡単に倒せる程の強さである。このゴーレムはアテナに付与した【保管庫】の中に30体のオリハルコンゴーレムを収容させ、アテナの判断で使用するよう言ってある。

 「アテナ、僕がいない間は店と子供達を頼むぞ。店よりも子供達の安全を優先してくれよ」

 「はっ!この命に代えても店と子供達を守ってみせる!」

 その時のアテナは頼られている事に喜びを感じていた。カオルは店の安全を確保した事に一安心していたが、傭兵組みの方を早く鍛える必要が出来てしまったと今日の事を少し後悔していた。


【後文】

 今回は少し長く書きました。展開を想像しているものに近づけようとしてますが、軌道に乗せるのに苦労してます。すぐ脱線してしまう為、修正してたりすると文の構成がおかしかったりと色々と大変です。

 今後も頑張っていきますのでよろしくお願いします。
 
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