異世界で傭兵始めました

ミストレ

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1章 転生編

12話

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【本文】

 次の日、僕はスレインの元に訪れていた。訪れた理由は店を開くにつれて相談しに来たのだ。

 「まさか、店を開こうと考えてたとは・・・。それで、君は私に商談を持ち掛けていると言う事で合ってるかな?」

 「理解が早くて助かります。商会ギルドがあるのは知っていますが、所属出来るギルドは1つまでと規定されている」


 傭兵ギルドの規定は以下の通りだ。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 ギルド規定(傭兵ギルド)

 ・ギルドに所属する者はギルドが規定しているルールを守らなければならない。

 ・同じギルドに所属する者同士による殺し合いはなるべく控える事。

 ・ギルドが発行しているクエストを達成した際、達成報酬の一割をギルドに収める。

 ・個人間の問題にギルドは基本的に看過しない。ギルドと個人とな間もまた同じものとする。

 ・半年以内に1回はクエストを受けなければ死亡したとみなして契約を破棄する

 ・傭兵ギルドに所属している者は他のギルドに登録する事は出来なくなる。


○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○

 この事から商会ギルドに登録したくても登録する事が出来ないのだ。そこで僕はある事を持ち掛けてる為にスレインの元に訪れたのだ。

 「ギルドは基本的に個人とは看過しないですが、もし利益があるとするならどうしますか?」

 僕の発言にスレインは少し興味を持ったのか前のめりになった。

 「ほほう、それはどう言ったものですか?」

 「傭兵ギルド、ディグル領支部に売り上げの一部を収める代わりにギルドの権力を貸して欲しい」

 「それは、確かに旨い話だな。だが、それと同時に商会ギルドとの仲が悪くなるな。それについては君は理解しているのかな?」

 スレインはニヤニヤしながら話していた。その様子を見たエミリーはため息をついていた。

 「その事は理解していますが、今後の売り上げを見ればこの話を受けていて良かったと思ってもらえると思いますよ」

 そう言って僕もニヤッと笑ってみせるとスレインは僕の発言に満足したのか笑って了承してくれた。その時のエミリーはまた、ため息をついていた。

 それからの話の展開は早く、売り上げの一部の事や店とギルドとの関係の事などを決めて、この日はギルドを後にした。

 

__________________



 家に着くと僕はすぐに開店の準備をしていた。フィル達、傭兵組みはフィルに先導してもらいクエストを受けてもらっている為、いないので商店組みのみで作業をしていた。

 「この箱はあっちに持って行って。これはあそこの棚に。これは手前の棚に」

 子供達に指示をしながらの作業は大変であった。僕がやれば良いのだが、僕がいない時に対応出来なくなるので始めは指示をしてそのうちに自分達でやれるようになってもらいたい。

 「あ、あの~」

 話しかけてきたのはふわふわとした緑色の髪、いつも眠たそうなにしているナナだ。不思議な雰囲気を醸し出しているこの子は商店組みのリーダーである。

 「どうかしたのかい?」

 「お店は、誰が、守るの?」

 「あっ!」

 ナナに言われて気づいた。商店組みには警備が出来る子がいない事を。

 「そ、その事も考え済みだから大丈夫だよ」

 「うん!カオル様が、そう言う、なら、安心」

 汗を流しながら言う僕の発言を信じたナナはいつも眠たそうにしている目をパッチリと開け、輝く目で僕を見ていた。僕の中では罪悪感が芽生えていた。

 ある程度、作業を終えた僕らは昼食を食べ、小さい子もいるから午後からは昼寝の時間にした。
 環境の変化によるストレスの緩和の為に子供達みんなを寝かせた。自分では気付いていなくても体はストレスを感じているだろう。今後、店を開くのに倒れられても困るから、今だけでも休ませておこうと考えだ。

 みんなが寝ている間に、ナナに言われた問題の解決策を考えていた。

 (警備を雇うか、それだと商会ギルドが手を回してくる可能性があるから却下だ。スレインに頼むか、これだとスレインに貸しを作る事になり、あとが怖いから却下だ。奴隷を買うのはいい考えかもしれないが、この間見た時には任せられそうな奴隷はいなかったな。)

 色々と考えてはいるが、良い案が思いつかない。そう思い悩んでた時、ふと思った。
 任せれそうな者がいないなら、任せれそうな者を"創ればいい"のではと。

 今はもうこれしかないと思い、試しに試したが結果はダメだった。何度も同じ項目が表示され、強制終了されてしまう。生命を生み出す事は【創造】を持ってしても禁忌なのだろう。
 なら、次は異世界らしく人型の人形、石の人形ゴーレムを作る事にした。その為のスキルから創り始めた。


======================================

======================================

 スキル : ゴーレム作成(S)【ゴーレムマイスター】

 詳細 : 所持する素材となる石、鉄などを消費する事で
      ゴーレムを作り出せる。
      ウインドウを用いる事で細かな設定や大きさな
      どを決められる。使われる素材によってゴーレ
      ムの能力は変化する。


      【ゴーレムをより精巧に作れるようになる。こ
      のスキルを持つ者が作るゴーレムは通常の物
      よりも強い個体を作る事が可能。
      たまに意思を持つゴーレムが作り出される事
      がある】

======================================

======================================
 

 慣れてきたのか段々とスキル作成が上手くなっていると実感した。
 そんな事はおいといて、【創造】で素材となる物を創り出す作業を行わないと。

 「創造、神々が生み出し鉱石よ、顕現せよ」

 そうして創り出したのは"オリハルコン"である。ゲームでも登場する鉱石の中でも最上位の鉱石である。非常に硬いのに軽い鉱石、剣として使えば鉄なんかは刃こぼれせずに切れる程に強度もあるまさに、神の鉱石である。

 ウインドウでスキル選択を行い、早速、オリハルコンを使ってゴーレムの作成を始めた。いくつもある項目から時間をかけて選択していった。選択した項目は以下のものである。

 ・人型

 ・警備・防衛

 ・リーダー

 ・戦闘重視

 対話

 の五つを選んだ。もっと細かく設定しようかと思ったが、見た目とかはランダムで生み出されるらしく、それならあまり細かく設定しない方がいいかなと思い、この五つだけにした。

 作成というところを押して作成が始まった。目の前に積んで置いてあったオリハルコンが溶け出し、液体のようになるとゆっくりと形を形成し始めた。
 作成が始まってから数分後、ようやく完成したのだが、僕は焦っていた。折角、初のゴーレムを作るなら豪華にいこうと思いやった事なのだが、流石にやり過ぎてしまった感で流れる汗が止まらない。

 見た目は20代くらいの女性で、整えられた顔、華奢な身体つき、手にはオリハルコンで作られた片手剣と盾を装備していた。素材がオリハルコンゆえに色は白っぽい透明な色だが、見た目はかなり好みであった。ゲームに出てくるヒロインのような見た目だからなのか少しニヤついていた。
 するとゴーレムが閉じていた瞼を開け、目の前にいる僕をジッと見つめられていた。しばらく観察された後、話し始めた。

 「あなたが私のマスターか?」

 どこかで聞いた事のあるセリフだ。見た目が違うからセーフだろう。

 「そうだ。僕が君を作ったカオルだ」

 「マスターを認識しました。未熟者だが、これから頼むぞマスター」

 「お、おう」

 どこか強気な感じで話すゴーレムに少し戸惑っていた。メイドみたいな感じをイメージしていたが、これはこれでありだろう。

 「マスター、私に名称を下さい」

 「名称?あー、名前ね。えーと、えーと」

 ゴーレムに言われて、名前を付け忘れている事に気付き冷静を装いながら考えていた。この世界に来てから気付かない事が増えた気がする。

 (ミミ、ユユ、サチ、サクラ。なんか違うな。いっそゲームキャラの名前でも付けてみるかな?)

 そんな事を思っていた時、あるワードが頭に浮かんだ。戦い、女神、盾。これらを思い浮かべ出て来た名前が、

 「アテナ」

 「アテナか。では、私の名前はアテナだ。なんだが力が湧いてくる感じがするぞマスター」

 名前には力が宿っていると言うが名前を与えた事によりその名前に属する力をアテナは感じているようだ。
 そして、今頃気付いたことがある。先程から話しかけてもいないのに勝手に話しかけたりする。それはある事を示していた。

 アテナには意思があると・・・。



【後文】

 今回もあまり長くかけませんでしたが、なんとか区切りをつけました。ある程度、話の展開を決めようとしていますが、今も迷いながら書いてる為、ペースが遅いです。よって、投稿ペースも遅くなります。

 ですので、気長にお付き合いして頂ければと思います。今後ともよろしくお願いします。
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