三度目の恋・・・

夢の続き

「・・・んっ・・・あったかい・・・」
久しぶりの布団の温もりでうっすらと目を覚ます。
と、同時に身体が軋み始める。

「うっあ・・・いったっ・・・」

体の痛みで昨夜のことが夢でないことに気がつく。
涼佑に抱かれた事。
今まで自分の気持ちに気づかれない様、家族の関係を壊さない様逃げてきた貢。
だが、それは逆に涼佑の気持ちに拍車をかける形になっていた。
そんな自己嫌悪で布団の中でぐるぐると昨夜の情事を思い出していると
布団をポンポンと叩かれた。

「・・・おい、起きてんだろ？貢」
「・・・涼ちゃん・・・」
小さい声で涼佑の名を呼ぶと布団の上から抱きしめられる。
苦しくなり布団から顔を出す貢

「ぷっは・・・・くっ、苦しいよ！！」
「やっと出てきたな！貢・・・おはよう」
そう話すと軽くキスをしてきた。

「・・・・」
顔が熱くて何も言い返せないでいると
「身体・・・大丈夫か？俺・・昨日、暴走した・・・」
心配そうに話しかけてくる涼佑
「・・んっ、大丈夫？じゃない・・・身体痛い・・・涼ちゃんのせいだ・・・」
思わず昔の様な口調で文句をいってみた。
すると、涼佑は嬉しそうに
「ごめん、お前あんまりにも可愛すぎてさ、止まんなかった。ごめん。でも昨日言ったのは嘘じゃねぇしこれからはお前のそばにいるから。っうか、もう、離す気ねぇし」
貢の胸の中が熱くなる。昨夜何度も何度も気持ちを伝えられ愛された事を思い出す。
だが、そう言われた直後、貢の腹の虫が豪快になる。再び照れて顔が熱くなる貢。
そんな貢に涼佑は大笑いしながら
「腹減ったろ？簡単な飯作ってるからここで食うか？動くのしんどいだろ？」
「・・・うっ、ん・・・動けない・・・お腹減った・・・」
ボソリと答えると涼佑は嬉しそうにキッチンへと向かった。
そんな涼佑の後ろ姿を見ながら、貢は久しぶりに幸せな気分を味わっていた。

今まではただ逃げて気持ちを押し込んで好きでもない人と性欲処理の様な
SEXばかりしていた貢。好きになったかと思うと相手は結婚をとり捨てられてしまった事。
いろんな出来事が脳裏に浮かぶ。
昨夜涼佑に抱かれたときは今まで感じた事がないほど気持ちよくて
嬉しくて堪らなかった。自分の事を好きだといってくれて本当に幸せだった。
この幸せがいつまでも続いて欲しいと今切に想う。
自分のことばかりで二人に心配かけてしまった事、きっと、言葉にはしないが両親も心配はしていたと思う。
気持ちが軽くなる事で今まで見えなかったいろんな事が貢の中で溢れてきた。
すると、涼佑が食事を運んでくる。
「お前、ろくなもん食ってないだろ。それに家にいた頃より格段に痩せてるし！昨日抱き上げた時は驚いたぞ！」
起こりながら貢の前に温かいおじやを置いた。
「・・・ごめん。涼ちゃん。。。でも食べてたよ？俺・・」
言い返す様に言うがその言葉は一言で遮られた。
「うっせ、お前の食べたは、お菓子とか栄養ドリンクとかろくなもん食ってない！それが証拠にこんなになってんだろ？バカタレが！お前は昔から何か嫌な事あれば食べなくなるし気弱になるし！何があったか知らないがとにかくしっかりと栄養とれ！」
怒っているものの貢の頬に触れる涼佑の手は優しく温かかった。
「・・・ごめん・・・」
「全く！とりあえず今はこれ食え！」
貢は涼佑が作ってくれたおじやをゆっくりと口に運ぶ。
懐かしくて暖かくて何より美味しかった。
涙が溢れる。
「なl！！！どした！！熱かったか？大丈夫か？？」
隣で慌てている涼佑
嬉しくて笑みが溢れる。
「美味しい・・・涼ちゃん・・・ごめん・・・でも、ありがとう・・・」
泣きながらそう言うとほっとした表情になる涼佑
「泣かなくていい。おかわりあるし！それに、さっき圭佐に連絡したら、しばらく面倒見ろ！と言われたからな！これからはしばらくここでお前の面倒みるから覚悟しとけ！」
「えっ？？？え～～～～～」
半ば強引な結果になり驚いた貢だが、しばらくは幸せな日々がくる夢の様な生活があるのか？と期待してしまうのだった。
怒る様な口調の涼佑だったが、何だか嬉しそうに座っている彼を見て再び嬉しくて泣きながら温かいおじやを食べる貢だった。