【R18*TL短編集】本能に従う獣人の荒い吐息に奥の奥まで犯されて(ティーンズラブ)

鶴宮りんご

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オオカミさんに気をつけて!元セラピストの同僚(狼獣人♂)にドS敬語責めで愛され感じる夜

8. 余韻

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部屋は静まり返り、空気には今まさに起こった出来事の余韻が残っていた。

ミンシュウはベッドに横たわり、あの瞬間の激しさが心の中を駆け巡るのを感じていたが、隣にいるグーロンの存在が、まるで静かな支えのように彼女を落ち着かせていた。

彼はしばらく何も言わなかった。彼の沈黙は重くて、ミンシュウは二人の間に漂う緊張感を感じ、言葉にできない感情が充満しているのを感じた。

ついに、グーロンは静かに息を吐き、沈黙を破った。

「俺が前の仕事を辞めたのは…」

彼は言葉を止め、視線を天井からミンシュウに移した。

「一夜限りの関係性に慣れることができなかったからです」

彼の金色の瞳は優しさに満ち、ミンシュウは思わず驚いた。

「でも、」彼は続けた。声は落ち着いていたが、抑えきれない感情がその奥に隠れていた。

「前からあなたが気になっていて、そして…」彼が身を乗り出すと、目がさらに柔らかくなり、静かでありながらも確かな誠実さを込めて言葉が紡がれた。

「...身体だけでもいいから、あなたを繋ぎ止めておきたくなりました」

ゆっくりと、まるで目に見えない力に導かれるように、グーロンはミンシュウの手を取った。

「...だったらやりすぎ」彼女はかすかな声でささやいた。

「身体だけでも」と彼は言ったが、その夜、彼らが築いた絆はただの肉体的なものではなかった。感情的であり、精神的なつながりも感じさせた。

それは単なる人間と獣人の関係ではなく、互いの理解、共に過ごした静かな時間、何気ない会話、そして言葉にできない思いが積み重なった結果として生まれた絆だった。

「俺は、あなたとの未来を過ごしてみたいです。ランチの限られた時間とか、すれ違う時の一瞬の挨拶とかだけじゃなく、もっと他の時間も」

ミンシュウはその言葉に胸が締め付けられるのを感じた。彼らのつながりはもはや脆い糸のようではなく、強く深い絆で結ばれていた。二人の魂は、相互の尊敬と理解に基づき、これからの時間を共に歩んでいくためにしっかりと結びついていた。

「私、最初はあなたの見た目が好きだと思ってた。」

「狼だから?」

彼女は頷いた。

「確かに、最初はそうだったかもしれないけど、あなたと仲良くなるうちに他のことも見えるようになってきた。それで、あなたともっと深い関係になりたいって心のどこかで思ってた」

彼の手が、スーッと腰のあたりのラインをなぞる。「じゃあこんなことしなくても良かったですか?」彼な口角が少し上がって、近くからだと犬歯が見えた。

彼の手を、上から押さえるようにして彼女は手をおいた。

「ううん、これも必要。もっと続きが欲しい...」

グーロンは同意を示すためにそっと寄りかかり、ミンシュウの額に優しく唇を触れさせた。彼女はその瞬間が美しい物語の始まりであることを感じた。

今、その未来に踏み出す準備はできていると、お互いに確信していた。
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