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桔梗
七話
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「動きが良くなったな」
「杉原か?」
ストレス発散も兼ね、基地で行われたトーナメントで、雪杜と藤岡智志は優勝をかけて対戦した。
「勝った奴には、基地の外で暮らす許可が出されますから。そりゃ、必死になりますよ」
そう言ったのは、一登の教場で雪杜と同期の片瀬康夫だ。
「杉原さん、柚子さんが好きだから」
結婚するには、住むところが必要だ。許可が取れしだい、雪杜は住まいを探す気でいた。
「性欲の、はけ口って」
心無いことを、洗濯場で柚子に言った近所の主婦達。色気が、柚子に出始めたのだ。
「私、そんなに」
泣きじゃくり、柚子は雪杜にしがみついた。
「汚らわしいんでしょうか。
私・・っ」
結ばれ、幸せに浸る暇もなかった。誰かに見られたと、柚子は怯えていた。
「そこまで、杉原!お前の勝ちだ」
パン!と、一登が手を叩く。木刀が智志のこめかみの寸前で止まっていた。
「ふう、殺す気かよ?」
「あ、ごめん」
「スゲ、怖かったぞ」
「杉原のヤツ、目つきが違ったぞ」
洋右は息をつく。
「ああ」
「許可申請だ、名前と拇印」
「はい」
「杉原、柚子ちゃんを幸せにしてやれ」
一登の言葉に、雪杜は『はい』と頷く。
「ホントかい?」
瑞江が破顔した。柚子は泣きじゃくり、顔を覆う。
「許可が下りた。部屋を見つけたら、一緒に暮らそう」
「はい・・はい!」
柚子は泣いた。
「おめでとう、柚子ちゃん。幸せになるんだよ」
心無い会話がある洗濯場に、通う必要はなくなる。雪杜の帰りを待ち、生きればいいのだ。
「いいなぁ、杉原さん。こんな、可愛いお嫁さん。可愛くて、優しくて」
片瀬はトーナメントの様子を、瑞江に話していた。
「怖かった、ですよ。立花さんが止めなきゃ、藤岡さんを殴り殺してましたよ」
「杉原くんが?」
「何かあったのかな。藤岡さんもビビってた」
「杉原か?」
ストレス発散も兼ね、基地で行われたトーナメントで、雪杜と藤岡智志は優勝をかけて対戦した。
「勝った奴には、基地の外で暮らす許可が出されますから。そりゃ、必死になりますよ」
そう言ったのは、一登の教場で雪杜と同期の片瀬康夫だ。
「杉原さん、柚子さんが好きだから」
結婚するには、住むところが必要だ。許可が取れしだい、雪杜は住まいを探す気でいた。
「性欲の、はけ口って」
心無いことを、洗濯場で柚子に言った近所の主婦達。色気が、柚子に出始めたのだ。
「私、そんなに」
泣きじゃくり、柚子は雪杜にしがみついた。
「汚らわしいんでしょうか。
私・・っ」
結ばれ、幸せに浸る暇もなかった。誰かに見られたと、柚子は怯えていた。
「そこまで、杉原!お前の勝ちだ」
パン!と、一登が手を叩く。木刀が智志のこめかみの寸前で止まっていた。
「ふう、殺す気かよ?」
「あ、ごめん」
「スゲ、怖かったぞ」
「杉原のヤツ、目つきが違ったぞ」
洋右は息をつく。
「ああ」
「許可申請だ、名前と拇印」
「はい」
「杉原、柚子ちゃんを幸せにしてやれ」
一登の言葉に、雪杜は『はい』と頷く。
「ホントかい?」
瑞江が破顔した。柚子は泣きじゃくり、顔を覆う。
「許可が下りた。部屋を見つけたら、一緒に暮らそう」
「はい・・はい!」
柚子は泣いた。
「おめでとう、柚子ちゃん。幸せになるんだよ」
心無い会話がある洗濯場に、通う必要はなくなる。雪杜の帰りを待ち、生きればいいのだ。
「いいなぁ、杉原さん。こんな、可愛いお嫁さん。可愛くて、優しくて」
片瀬はトーナメントの様子を、瑞江に話していた。
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