桔梗

絵麻

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桔梗

九話

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 柚子と雪杜の婚礼は、瑞江と一登が立ち合った。
「本当は、佐世保にいるおばさん達を呼んであげたかったけど・・・ごめんね」
「十分です。季世ちゃんがいるもの」
 季世と智志が同席し、誓いの盃が出された。

〈あれ、お茶?〉
〈杉原さんは、お酒がダメなんです〉

「本来、お神酒で交わす誓いだが、杉原柚子さんは飲めないので。俺が入れた茶で代用する」
 なるほど、雪杜に華を持たせたなと智志は思う。
「では、これで二人は正式な夫婦となります」

「立花さん、優しいよね」
「うん。以前、雪杜さんに飲ませたら、匂いで倒れたんだって」
 ふふ、と柚子が笑う。
「倒れてない、気持ち悪くなっただけだ」
 恨めしげに、雪杜が見ていた。
「じゃ、季世。家まで送るよ」
「はい」
 智志とともに、季世が帰る。

「もう、堂々と歩いて良いんですよね」
「ああ」
「やっと、雪杜さんと並んで」
 涙ぐむ柚子を、雪杜は抱きしめた。
「私、雪杜さんが大好きです」
「僕も、柚子が大好きだよ」

 柚子はこの日、初めて雪杜が幼い日に親切にしてくれた、子爵の息子だと知った。
「ずっと、会いに行きたかった。だけど、佐世保はあまりに遠いし」
「そんなに前から、私のことを?私は、立花さんとの縁談が破断になったからじゃ」
「僕はずっと、柚子が好きだった。あの日、立花さんから見合い写真を見せられて、カッとなった」
 雪杜は目を伏せる。
「酷い抱き方しなかったのは、君が寝ている間に居なくなるんじゃないかと、また連れて行かれないかと」
「柚子さん」 
 柚子の瞳に、涙が溢れる。

「嫌いに、なったか?」
「なりません、嫌いになんて!嬉しいです」

 啄むような口づけが、何度も繰り返された。いつもの強引な抱き方ではなく、優しいゆっくりした行為に柚子は戸惑う。
「雪杜さん」
「まだ、イッたらダメだよ。あ、もしかして優しくされると、感じない?」
 意地悪な笑みに、柚子は泣きそうになる。
「そんなこと」
「今日は優しくする。君が、挿れてと言うまでしない」
「そんな」
 恥ずかしいことを言えるはずがない、柚子は泣きじゃくる。
 
「あっ、ソコ・・っ」
 指で弄られ、溢れる蜜を吸われ。イキそうになれば、愛撫を止められ。
 どこが優しいのか、と雪杜を睨む。
「何?どうして欲しいの?」
「挿れ・・て、ください。雪杜さんの」
「僕の、何が欲しいの?」

「酷いっ、いつもより意地悪ですっ!」
「言って、欲しいんだよ。何が欲しいの?」

 まただ、と柚子は泣いた。
 初めての時も、雪杜は淫らな言葉で強請ることを仕込んだ。

「こう言って」
 囁かれた言葉に、柚子はイヤイヤと頭を振る。
「今まで、あんなに恥ずかしいコト言いながら、何度もイッたのに。まだ、恥ずかしいんだ?」
「―――ください、雪杜さんのでイカせてください」
「うん、それで?」
「私の中で、子タネを出して下さい」

 よくできました。

 一気に、張り詰めたモノが最奥まで挿れられる。
「やだぁ、大っきい」
 激しく律動され、柚子は泣いた。

 やだぁ、狂う。

「柚子」
「抜いて、そんな・・イク」
 恥ずかしいとか、聞かれるとか考える余裕もなく。柚子は犯された。

「深くするよ」
「え」
 一番太い部分が、また子宮口に押し込まれる。
「硬い、おちんちん抜いて」
「ダメ」
 夜が白むまで、二人は交わった。柚子が懇願しても、雪杜は何度も抱いたのだった。
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