六畳半のフランケン

乙太郎

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つまるところボクら排他的社会人

徘徊

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めぐるめぐる。
明日と明々後日しあさって
繰り返すようなツイスト。
目星もなく、聞き耳もない。
まどろんで上下もあやふや、
それでいて霞むような失落の中。
脚を進める行為が途絶えることはない。
解放に似た喪失。
循環に似た停滞。
茹るような頭蓋に氷の様に刺さる覚えが一つ。

「ミラレテイル」

歩みはすすむ。すすめられる。
それ一つ。
十分に足る。
意識及ばずとも反射で鼓動は脈打つ。
摂氏も高度もない極点が
かの上空で瞬いている。
抵抗など浮かぶまでもない。
書き換えられる。塗り替えられる。
汝かくあれと責め立てられる。
めぐる。めぐる。めぐる。めぐる。

どっぷりと浸かった粘性の中。
ふとポツリと一粒湧き上がる。
当然。眺める。にじり寄る。

「ミツケタ」

あれだ。間違いない。
あれこそがかの存在が求めうる、
純白の素体の顕現そのものだ。
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