隠れ御曹司の愛に絡めとられて

海棠桔梗

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あなたのお仕事

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 カエデくんが作ってくれたランチをゆっくりと味わっていると、ほどなくしてカエデくんがやって来た。バイトの子と交代できたらしい。
 カエデくんは着けていたカフェエプロンを外して私の隣に腰を下ろす。
 近くの女性客がチラチラとこちらを見ているのを感じ、やっぱり彼はモテるんだと実感する。

「このカフェ、いつからあるの?」
「えっとね、二年ぐらい前だよ」
「素敵なお店だね」
「でしょ?」
「カエデくんは、キッチン担当?」
「そう。メニュー考えるところから始まって、調理・盛り付けまで」
「へえ、そうなんだ。本当に料理が好きなんだね」
「うん、好き。本当はね、営業職に行かないかって言われてたんだけど」
「……そうなの?」
「うん。でも断った。僕がやりたいのはこっちだから。今はランチだけだけど本当は夜もメニューを出せるようにしたくて。他にもいろいろやりたいことがあって、それを含めていま上に企画書を出してるところ」
「そっか、通ると良いね!」

 キラキラした目で嬉しそうに、でも力強く夢を語るカエデくんは、年下らしくもあり、一人前の男らしさも垣間見えてなんだかとてもまぶしかった。
 いつも何も考えていなさそうにふわふわしてるけど、本当はしっかり色々なことを考えてるんだね。
 またひとつカエデくんのことを知れたことが、嬉しい。

「うん。実はもうすぐ決裁してもらえるんだ~」
「え、そうなんだ、すごいね! やったじゃん!」
「ふふ。頑張ったから、褒めて褒めて~」

 にっこり可愛く笑っておねだりするあたりが相変わらずあざとくてズルいけど、私は「はい、頑張ってて偉い偉い」と、わざと棒読みで彼の頭をポンポンと優しく撫でた。
 そんな対応でも満足らしく、「やったー」と相変わらずふわふわニコニコしている。
 その笑った雰囲気がなんだか誰かに似ている気がして、待てよ前にもそんな風に思った気が……。

 犬のメープルじゃなくて、ちゃんと、人である誰かに似てるなって、思った気がする。
 けれどどうしてもそれが誰だったのか思い出せない間に、目の前のふわふわな笑顔に目を奪われる。

 本当に穏やかな子で、一緒にいると体から力が抜ける。
 でもそれも悪くないかもね。

 ずっとこんな風に一緒にいられたらいいな、と思う――。
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