67 / 78
あなたのお仕事
4
しおりを挟む
カエデくんが作ってくれたランチをゆっくりと味わっていると、ほどなくしてカエデくんがやって来た。バイトの子と交代できたらしい。
カエデくんは着けていたカフェエプロンを外して私の隣に腰を下ろす。
近くの女性客がチラチラとこちらを見ているのを感じ、やっぱり彼はモテるんだと実感する。
「このカフェ、いつからあるの?」
「えっとね、二年ぐらい前だよ」
「素敵なお店だね」
「でしょ?」
「カエデくんは、キッチン担当?」
「そう。メニュー考えるところから始まって、調理・盛り付けまで」
「へえ、そうなんだ。本当に料理が好きなんだね」
「うん、好き。本当はね、営業職に行かないかって言われてたんだけど」
「……そうなの?」
「うん。でも断った。僕がやりたいのはこっちだから。今はランチだけだけど本当は夜もメニューを出せるようにしたくて。他にもいろいろやりたいことがあって、それを含めていま上に企画書を出してるところ」
「そっか、通ると良いね!」
キラキラした目で嬉しそうに、でも力強く夢を語るカエデくんは、年下らしくもあり、一人前の男らしさも垣間見えてなんだかとてもまぶしかった。
いつも何も考えていなさそうにふわふわしてるけど、本当はしっかり色々なことを考えてるんだね。
またひとつカエデくんのことを知れたことが、嬉しい。
「うん。実はもうすぐ決裁してもらえるんだ~」
「え、そうなんだ、すごいね! やったじゃん!」
「ふふ。頑張ったから、褒めて褒めて~」
にっこり可愛く笑っておねだりするあたりが相変わらずあざとくてズルいけど、私は「はい、頑張ってて偉い偉い」と、わざと棒読みで彼の頭をポンポンと優しく撫でた。
そんな対応でも満足らしく、「やったー」と相変わらずふわふわニコニコしている。
その笑った雰囲気がなんだか誰かに似ている気がして、待てよ前にもそんな風に思った気が……。
犬のメープルじゃなくて、ちゃんと、人である誰かに似てるなって、思った気がする。
けれどどうしてもそれが誰だったのか思い出せない間に、目の前のふわふわな笑顔に目を奪われる。
本当に穏やかな子で、一緒にいると体から力が抜ける。
でもそれも悪くないかもね。
ずっとこんな風に一緒にいられたらいいな、と思う――。
カエデくんは着けていたカフェエプロンを外して私の隣に腰を下ろす。
近くの女性客がチラチラとこちらを見ているのを感じ、やっぱり彼はモテるんだと実感する。
「このカフェ、いつからあるの?」
「えっとね、二年ぐらい前だよ」
「素敵なお店だね」
「でしょ?」
「カエデくんは、キッチン担当?」
「そう。メニュー考えるところから始まって、調理・盛り付けまで」
「へえ、そうなんだ。本当に料理が好きなんだね」
「うん、好き。本当はね、営業職に行かないかって言われてたんだけど」
「……そうなの?」
「うん。でも断った。僕がやりたいのはこっちだから。今はランチだけだけど本当は夜もメニューを出せるようにしたくて。他にもいろいろやりたいことがあって、それを含めていま上に企画書を出してるところ」
「そっか、通ると良いね!」
キラキラした目で嬉しそうに、でも力強く夢を語るカエデくんは、年下らしくもあり、一人前の男らしさも垣間見えてなんだかとてもまぶしかった。
いつも何も考えていなさそうにふわふわしてるけど、本当はしっかり色々なことを考えてるんだね。
またひとつカエデくんのことを知れたことが、嬉しい。
「うん。実はもうすぐ決裁してもらえるんだ~」
「え、そうなんだ、すごいね! やったじゃん!」
「ふふ。頑張ったから、褒めて褒めて~」
にっこり可愛く笑っておねだりするあたりが相変わらずあざとくてズルいけど、私は「はい、頑張ってて偉い偉い」と、わざと棒読みで彼の頭をポンポンと優しく撫でた。
そんな対応でも満足らしく、「やったー」と相変わらずふわふわニコニコしている。
その笑った雰囲気がなんだか誰かに似ている気がして、待てよ前にもそんな風に思った気が……。
犬のメープルじゃなくて、ちゃんと、人である誰かに似てるなって、思った気がする。
けれどどうしてもそれが誰だったのか思い出せない間に、目の前のふわふわな笑顔に目を奪われる。
本当に穏やかな子で、一緒にいると体から力が抜ける。
でもそれも悪くないかもね。
ずっとこんな風に一緒にいられたらいいな、と思う――。
2
あなたにおすすめの小説
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
結婚直後にとある理由で離婚を申し出ましたが、 別れてくれないどころか次期社長の同期に執着されて愛されています
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
「結婚したらこっちのもんだ。
絶対に離婚届に判なんて押さないからな」
既婚マウントにキレて勢いで同期の紘希と結婚した純華。
まあ、悪い人ではないし、などと脳天気にかまえていたが。
紘希が我が社の御曹司だと知って、事態は一転!
純華の誰にも言えない事情で、紘希は絶対に結婚してはいけない相手だった。
離婚を申し出るが、紘希は取り合ってくれない。
それどころか紘希に溺愛され、惹かれていく。
このままでは紘希の弱点になる。
わかっているけれど……。
瑞木純華
みずきすみか
28
イベントデザイン部係長
姉御肌で面倒見がいいのが、長所であり弱点
おかげで、いつも多数の仕事を抱えがち
後輩女子からは慕われるが、男性とは縁がない
恋に関しては夢見がち
×
矢崎紘希
やざきひろき
28
営業部課長
一般社員に擬態してるが、会長は母方の祖父で次期社長
サバサバした爽やかくん
実体は押しが強くて粘着質
秘密を抱えたまま、あなたを好きになっていいですか……?
ワイルド・プロポーズ
藤谷 郁
恋愛
北見瑤子。もうすぐ30歳。
総合ショッピングセンター『ウイステリア』財務部経理課主任。
生真面目で細かくて、その上、女の魅力ゼロ。男いらずの独身主義者と噂される枯れ女に、ある日突然見合い話が舞い込んだ。
私は決して独身主義者ではない。ただ、怖いだけ――
見合い写真を開くと、理想どおりの男性が微笑んでいた。
ドキドキしながら、紳士で穏やかで優しそうな彼、嶺倉京史に会いに行くが…
最高ランクの御曹司との甘い生活にすっかりハマってます
けいこ
恋愛
ホテルマンとして、大好きなあなたと毎日一緒に仕事が出来ることに幸せを感じていた。
あなたは、グレースホテル東京の総支配人。
今や、世界中に点在する最高級ホテルの創始者の孫。
つまりは、最高ランクの御曹司。
おまけに、容姿端麗、頭脳明晰。
総支配人と、同じホテルで働く地味で大人しめのコンシェルジュの私とは、明らかに身分違い。
私は、ただ、あなたを遠くから見つめているだけで良かったのに…
それなのに、突然、あなたから頼まれた偽装結婚の相手役。
こんな私に、どうしてそんなことを?
『なぜ普通以下なんて自分をさげすむんだ。一花は…そんなに可愛いのに…』
そう言って、私を抱きしめるのはなぜ?
告白されたわけじゃないのに、気がづけば一緒に住むことになって…
仕事では見ることが出来ない、私だけに向けられるその笑顔と優しさ、そして、あなたの甘い囁きに、毎日胸がキュンキュンしてしまう。
親友からのキツイ言葉に深く傷ついたり、ホテルに長期滞在しているお客様や、同僚からのアプローチにも翻弄されて…
私、一体、この先どうなっていくのかな?
診察室の午後<菜の花の丘編>その1
スピカナ
恋愛
神的イケメン医師・北原春樹と、病弱で天才的なアーティストである妻・莉子。
そして二人を愛してしまったイケメン御曹司・浅田夏輝。
「菜の花クリニック」と「サテライトセンター」を舞台に、三人の愛と日常が描かれます。
時に泣けて、時に笑える――溺愛とBL要素を含む、ほのぼの愛の物語。
多くのスタッフの人生がここで楽しく花開いていきます。
この小説は「医師の兄が溺愛する病弱な義妹を毎日診察する甘~い愛の物語」の1000話以降の続編です。
※医学描写と他もすべて架空です。
『冷徹社長の秘書をしていたら、いつの間にか専属の妻に選ばれました』
鍛高譚
恋愛
秘書課に異動してきた相沢結衣は、
仕事一筋で冷徹と噂される社長・西園寺蓮の専属秘書を務めることになる。
厳しい指示、膨大な業務、容赦のない会議――
最初はただ必死に食らいつくだけの日々だった。
だが、誰よりも真剣に仕事と向き合う蓮の姿に触れるうち、
結衣は秘書としての誇りを胸に、確かな成長を遂げていく。
そして、蓮もまた陰で彼女を支える姿勢と誠実な仕事ぶりに心を動かされ、
次第に結衣は“ただの秘書”ではなく、唯一無二の存在になっていく。
同期の嫉妬による妨害、ライバル会社の不正、社内の疑惑。
数々の試練が二人を襲うが――
蓮は揺るがない意志で結衣を守り抜き、
結衣もまた社長としてではなく、一人の男性として蓮を信じ続けた。
そしてある夜、蓮がようやく口にした言葉は、
秘書と社長の関係を静かに越えていく。
「これからの人生も、そばで支えてほしい。」
それは、彼が初めて見せた弱さであり、
結衣だけに向けた真剣な想いだった。
秘書として。
一人の女性として。
結衣は蓮の差し伸べた未来を、涙と共に受け取る――。
仕事も恋も全力で駆け抜ける、
“冷徹社長×秘書”のじれ甘オフィスラブストーリー、ここに完結。
白椿の咲く日~ひそかな恋、遠い日の思いは
紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに異母姉の稚子(わかこ)と会う。
真由子の母、雪江は大学教授であり、著名な歌人の水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。
婚約者の諒人(りょうと)のことなど、真由子は稚子と色々語り合ううち、庭の白椿の木は真由子がなついていた異母兄、靖之が植えたものだと知る。
白椿の木をめぐっての、ひそかな大人の恋物語です。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる