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第63話 島根県② ぜんざい、出雲大社、宍道湖

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「ぬぬ、これはとてつもなく甘いのじゃ!」

「ええ、甘くてとてもおいしいですね」

 出雲そばを食べたあとはいよいよ出雲大社へと思いきや、ちょっと甘い物タイムということで、別のお店でぜんざいを食べている。なぜぜんざいかというと、ここ島根県の出雲がぜんざい発祥の地となっているからだ。

 出雲大社では旧歴10月には神在祭りという祭りがあり、出雲地方に八百万の神様が集まるというお祭りがある。そのお祭りで振舞われた料理が神在餅じんざいもちと言い、それがなまってぜんざいになったと伝えられている。

 昔歴史の授業で習ったが、他の地方では神様がいなくなるから神無月と言うんだっけな。そしてここ出雲地方だけは神様がいる月となり神有月と呼ばれるって習った気がする。

「そういえば、沖縄のぜんざいとはまるで違いますね。それにおしることの違いもよく分かりませんね」

「確か沖縄ぜんざいはかき氷と金時豆を合わせたものだったよね。どちらかというと沖縄のぜんざいが特殊だね。さっき調べたんだけれど、ぜんざいとおしることの違いは関西と関東の地域によって違うらしいんだ」

 俺もついさっきふと気になって調べたのだが、どうやらぜんざいとおしるこは関東と関西で意味合いが異なるらしかった。関東の方だと、汁気のある小豆のものをおしるこ、汁気のない小豆のものをぜんざいと呼ぶ。

 関西ではこしあんに餅が入ったものをおしるこ、粒あんに餅が入ったものをぜんざいと呼ぶらしい。なんともややこしい話だ。

「出雲ぜんざいは粒あんに紅白のお餅が入っている店が多いね縁起がいいおやつとしても広がっている感じなんだよ」

「ふむ、難しいがとにかくうまいのじゃ」

「まあ、そこまで気にすることでもないかな。あと、島根県の人たちは正月にはお雑煮じゃなくてぜんざいを食べるらしいね」

 他県ではお正月にお雑煮を食べるが、島根ではぜんざいを食べるらしい。普通に甘いぜんざいもあるが、それとは別にダシで小豆を茹でたそこまで甘くないぜんざいもあるらしい。

 お雑煮も地域ごとに全然味が違うらしいからな。一度お雑煮の食べ比べとかもしてみたいものである。

 島根県あるあるとしては、島根県民は鳥取と一緒にされるのは嫌がられるらしい。確かに俺も島根と鳥取はセットで覚えている感じが強く、日本地図で見たらたまにどっちがどっちか分からなくなるんだよね。みんなもちゃんと覚えておこうな。



「それにしても大きな縄じゃな」

「出雲大社のしめ縄は日本でも最大だからね」

 出雲大社の拝殿にある巨大なしめ縄は長さ13.5メートル、重さはなんと5.2トンもある。この大きなしめ縄は数年ごとに新しいものへ変えているのだが、。伝統工法による手作りのため、作成には4か月以上もかかるそうだ。

 実際に自分の目で見てみると、なかなかの迫力なのである。たぶんこの縄の下敷きになったら死んでしまうだろうな……ちなみにしめ縄を漢字で書くと注連縄と書くらしい。知らなかったのは俺だけではなかったはずだ。

「それと出雲大社だけはいつもと違って、二礼四拍一礼で4回手を叩くんだよ」

「なるほど、分かったのじゃ!」

 普通の神社で参拝する際には二礼二拍一礼なのだが、出雲大社では四拍と、手を叩くのが2回多いのだ。ちなみになぜ出雲大社だけそうするのか、はっきりとした理由は分かったいないらしい。

 なんと5月にある大例祭では二礼八拍一礼となるそうだ。それ以外の時には略式で四拍になっているだけらしい。8回も叩いていたら、途中で何回目か忘れそうになりそうだけどね。

 出雲大社は格式が高いだけでなく、縁結びや福の神としても有名だ。しっかりと彼女ができることと、この旅の祈願を祈っておいた。



「夕焼けがとても綺麗じゃな」

「日が湖に沈んでいく景色が実に見事ですね」

「俺も前回ここに来た時は夕暮れの時間帯じゃなかったから、この景色は初めて見るよ。本当に綺麗だね」

 出雲大社を参拝し、出雲大社付近を散策した後は宍道湖しんじこへとやって来た。宍道湖は日本で7番目に大きな湖で、夕日が沈むスポットなどで有名である。

 夕日が沈む時間帯には、俺たちの他にも大勢の観光客が集まり、この綺麗な夕日を眺めていた。宍道湖を巡る遊覧船なんかも出ているらしい。

 そして宍道湖と言えばシジミが有名だ。宍道湖は海水と淡水が入り混じる汽水域に生息しており、シジミの日本一の産地である。シジミの味噌汁なんかは朝に飲むと最高なんだよな。

 他にもシジミをつかったシジミバーガーやシジミラーメン、シジミ丼などといったシジミを使ったご当地グルメばかりである。今日の晩御飯はシジミ料理で決まりだな。

 そして夜は宍道湖のある松江にある玉造温泉の宿に宿泊予定だ。こちらも昼間に入った温泉津温泉と同様に古くからある温泉である。この温泉は特に美容によく、玉のような肌になる美肌効果のある温泉としても有名だから、ミルネさんも喜屋武さんもきっと満足してくれること間違いなしだろう。
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