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第一印象悪すぎっ!!
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「ねぇ、君!」
この学校の生徒会長である柴田 翔はとある男子高校生に声をかけた。
自分より少し小さい背丈に中性的な顔立ち、動物で例えると小さな子犬や子兎のような子だ。
(よっしゃ!この子めっちゃいい子ぽいっ!)
そう思った翔はその子の手を引き半ば強制に生徒会室へ駆け抜けた。
サッカー部のキャプテンである翔は物凄く足が速い。手を引かれ走らされている子は流石についていけずついに声を放った。
「ちょ、タンマ!止まってくださいっ!!」
そう言われ我に返った翔はすぐに止まり後ろを振り向いた。先ほど勧誘した子は下を向いてぜぇ…ぜぇ…と乱れた呼吸を整えていた。翔は少し焦りすぎたな…と後悔しその子の背中を優しく摩った。
少し落ち着いたのか、ようやく顔を上げ翔のことを真っ直ぐと見つめた。
「…僕は1年3組 雨宮天と言います。僕に何のようですか?生徒会長さん」
少し怒り気味なのだろうか?天はトーンを少し低くして翔に自己紹介をした。そんな天をみて翔は思わず吹き出してしまった。
「ぶふっ…!!」
「な、何がおかしいんですか!!大体急に声をかけたと思ったら急に手を引っ張って走り出して、僕を誘拐する気ですか!?」
天の怒りはMAXを超えてついに爆発してしまった。しかし、どうだろう。彼のように中性的な容姿が怒りを爆発させても何一つ怖さが出てこない。むしろ、可愛さが増えるだけだ。頬を膨らませてプイっと拗ねている天を見て翔はまた、再び手を握り走り出した。
「だからっ…!!!話を聞けえええええ!!」
天は手を振りほどこうとするが、一向に手を離す素振りはない。ただひたすら走り回されようやく辿り着いた生徒会室には一人の男が黒いオーラを漂わせて会長を待っていた。
「やぁ、ただいま!可愛い書記くんを連れてきたよ~」
「はぁ!?しょ、書記!?」
初めて「書記」という単語を聞いてまた怒鳴りつけようとした天だったが、それはある男によって止められた。
茶色い髪に黒縁メガネをかけた高身長の男。
生徒副会長の広瀬 涼によって。
涼は翔の元へ歩みだし強烈な一撃を喰らわせた。
「いってぇぇええ!!なにすんだよ!」
「それはこっちのセリフだ。遅刻してきたと思えば下級生を振り回し、何も説明もせずにここに連れてきたお前に言われたくない。」
涼の言葉はまさにそうだった。
声をかけられたと思えば急に走り出し、着いたとなれば書記委員になれと言われ…
散々な思いをした天は疲れきっていた。
すると、隣からいい香りがしてきた。
(わぁ…綺麗な人…)
横を見ると長い髪をした人が紅茶をいれていたのだ。
天はそれに気づき思わず近付いてみた。
「わぁ…いい香りですね」
「こんにちは。私は稲葉 薫 ここの風紀委員をしているよ。良かったら1杯飲む?」
薫は天にティーカップと少量のお菓子を渡した。天は差し出された紅茶を1口飲んでみた。
口に含むと茶葉のいい香りが身体を駆け巡り天は先ほどの怒りをどこかへ忘れてきてしまったみたいだった。
天と薫が2人でお茶をしていた間、涼は未だに翔にお説教をしていた。
翔はいい加減聞き飽きたのか全く涼の話を聞いていない。
涼はとうとう、言うのを諦めて天に向かって自己紹介をした。
「急に驚かせてしまってすまない。俺は副会長をしている広瀬 涼だ。失礼だが、君は?」
「僕は雨宮天です。急にここへ連れてこられてビックリしましたが…どうしてもやって欲しいなら、やってあげても…構いませんけど…「マジで!?」
翔はボールを見つけた子犬のように目を輝かせ天の手を握った。
と、思いきや再び涼の一撃を受けることになった。
「いいから、早く自己紹介をしろ!」
「いたた…ったく涼は暴力が多いんだよ…俺は生徒会長の柴田 翔だ。急に連れてきてごめん…けど、君が良いなら是非書記委員として生徒会に入って欲しいんだ。」
翔の真剣な眼差しについ目を逸らしてしまった天だったが、薫と一緒に飲んだ紅茶が美味しかったということもあり、渋々書記委員を引き受けた。
しかし、これが天の運命を180度ひっくり返されることはまだ誰も知らない。
「会長!!仕事しろーー!!!!!」
「あははっ!天ー頼んだよーっ!!」
★続く★
この学校の生徒会長である柴田 翔はとある男子高校生に声をかけた。
自分より少し小さい背丈に中性的な顔立ち、動物で例えると小さな子犬や子兎のような子だ。
(よっしゃ!この子めっちゃいい子ぽいっ!)
そう思った翔はその子の手を引き半ば強制に生徒会室へ駆け抜けた。
サッカー部のキャプテンである翔は物凄く足が速い。手を引かれ走らされている子は流石についていけずついに声を放った。
「ちょ、タンマ!止まってくださいっ!!」
そう言われ我に返った翔はすぐに止まり後ろを振り向いた。先ほど勧誘した子は下を向いてぜぇ…ぜぇ…と乱れた呼吸を整えていた。翔は少し焦りすぎたな…と後悔しその子の背中を優しく摩った。
少し落ち着いたのか、ようやく顔を上げ翔のことを真っ直ぐと見つめた。
「…僕は1年3組 雨宮天と言います。僕に何のようですか?生徒会長さん」
少し怒り気味なのだろうか?天はトーンを少し低くして翔に自己紹介をした。そんな天をみて翔は思わず吹き出してしまった。
「ぶふっ…!!」
「な、何がおかしいんですか!!大体急に声をかけたと思ったら急に手を引っ張って走り出して、僕を誘拐する気ですか!?」
天の怒りはMAXを超えてついに爆発してしまった。しかし、どうだろう。彼のように中性的な容姿が怒りを爆発させても何一つ怖さが出てこない。むしろ、可愛さが増えるだけだ。頬を膨らませてプイっと拗ねている天を見て翔はまた、再び手を握り走り出した。
「だからっ…!!!話を聞けえええええ!!」
天は手を振りほどこうとするが、一向に手を離す素振りはない。ただひたすら走り回されようやく辿り着いた生徒会室には一人の男が黒いオーラを漂わせて会長を待っていた。
「やぁ、ただいま!可愛い書記くんを連れてきたよ~」
「はぁ!?しょ、書記!?」
初めて「書記」という単語を聞いてまた怒鳴りつけようとした天だったが、それはある男によって止められた。
茶色い髪に黒縁メガネをかけた高身長の男。
生徒副会長の広瀬 涼によって。
涼は翔の元へ歩みだし強烈な一撃を喰らわせた。
「いってぇぇええ!!なにすんだよ!」
「それはこっちのセリフだ。遅刻してきたと思えば下級生を振り回し、何も説明もせずにここに連れてきたお前に言われたくない。」
涼の言葉はまさにそうだった。
声をかけられたと思えば急に走り出し、着いたとなれば書記委員になれと言われ…
散々な思いをした天は疲れきっていた。
すると、隣からいい香りがしてきた。
(わぁ…綺麗な人…)
横を見ると長い髪をした人が紅茶をいれていたのだ。
天はそれに気づき思わず近付いてみた。
「わぁ…いい香りですね」
「こんにちは。私は稲葉 薫 ここの風紀委員をしているよ。良かったら1杯飲む?」
薫は天にティーカップと少量のお菓子を渡した。天は差し出された紅茶を1口飲んでみた。
口に含むと茶葉のいい香りが身体を駆け巡り天は先ほどの怒りをどこかへ忘れてきてしまったみたいだった。
天と薫が2人でお茶をしていた間、涼は未だに翔にお説教をしていた。
翔はいい加減聞き飽きたのか全く涼の話を聞いていない。
涼はとうとう、言うのを諦めて天に向かって自己紹介をした。
「急に驚かせてしまってすまない。俺は副会長をしている広瀬 涼だ。失礼だが、君は?」
「僕は雨宮天です。急にここへ連れてこられてビックリしましたが…どうしてもやって欲しいなら、やってあげても…構いませんけど…「マジで!?」
翔はボールを見つけた子犬のように目を輝かせ天の手を握った。
と、思いきや再び涼の一撃を受けることになった。
「いいから、早く自己紹介をしろ!」
「いたた…ったく涼は暴力が多いんだよ…俺は生徒会長の柴田 翔だ。急に連れてきてごめん…けど、君が良いなら是非書記委員として生徒会に入って欲しいんだ。」
翔の真剣な眼差しについ目を逸らしてしまった天だったが、薫と一緒に飲んだ紅茶が美味しかったということもあり、渋々書記委員を引き受けた。
しかし、これが天の運命を180度ひっくり返されることはまだ誰も知らない。
「会長!!仕事しろーー!!!!!」
「あははっ!天ー頼んだよーっ!!」
★続く★
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