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返せっ!!僕のっ…僕のっ……!!!
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翔先輩のお家騒動から1週間。
あれから僕は度々、翔先輩の家に拉致されるがそれはもう慣れたこと。
今は薫先輩と杏との3人でお茶会をしている。
もうすっかり僕を含めたこの3人はもうセット扱いされている。
時々、涼先輩の視線が痛い気もするが……
まぁ、それはさておき。
「じゃーん!みてみて!」
杏が取り出したのは銀色のネックレス。真ん中で揺れているチャームは写真を入れられるタイプになっていて、後ろには何やら文字が刻まれていた。
「R&M…?なにかのブランド名??」
「ちーがーう!ちゃんと考えて!」
「ふふっ、あいつって意外と可愛いことするんだね」
優雅に紅茶を飲みながら微笑む薫先輩は本当に絵に描いた人のようだ。
それにしても一体…あの文字はどういう意味なんだろうか…
「R&M…」
「杏、いるか?」
その時、副会長が部屋に入ってきた。
「あ、涼くーん!!」
「杏…涼先輩…M…とR…あ!!!?」
「ふふっ、ようやく分かったみたいだね」
(ももももしかして、この2人ってそ、そういう関係…!?)
あまりの衝撃で頭の中がパニックになる。
時々、副会長の視線が痛いと感じることがあったが、理由はそういうことか…
「雨宮、どうしたんだ?」
「ふふっ、ちょっとしたドッキリにあったみたい」
「ドッキリ?」
「涼くん、みてみて!」
「ゆづ、涼くんはやめろって何度言ったら…って、おい!?」
「わわっ!!ちょ、ちぎれちゃうよ!」
副会長は何かを隠すかのように杏くんに覆い被さる。
「涼くん、苦しいって…」
「す、すまない…でもお前これ付けてたらバレるだろ?」
「薫先輩にはもうバレてるよ??」
「え」
何やら2人でこそこそ話している。
「薫先輩、あの二人何話してるんですか?」
「さぁ?なんだろうね?」
こんなこと言ってるけどきっと、薫先輩には全てお見通しなんだろう。
あんな2人を置いといて、僕達は再びお茶会を始めた。
楽しくお茶をしてお話してると、また誰かが生徒会室に入ってきた。
バーン!
「天ーーーー!!!」
会長だ。
「うわっ!?出た!?」
「ちょ、人をお化け呼ばわりしないでよ」
「なんですか急に、またなにか問題でも?それか仕事が溜まったんですか?」
「違うってー天くんにプレゼント」
「プレゼント?」
差し出された箱を開けてみるとそこには銀の指輪が入っていた。
「へぇ、会長もやるじゃん!」
「だろ?」
ドヤ顔をきめている先輩と杏くんの横で、一人固まっている僕。
そう、なにが起こっているのかさっぱり理解できずにいたのであった。
「天くん?」
「か、薫先輩…これって…」
「エンゲージリング…かな?」
「え、え、エンゲージリング!?」
てか、この指輪よく見たらご丁寧にイニシャルまで入ってるし!?
「わぁ!この指輪可愛い!天くんいいなぁー」
「おう!だって、俺と天は一生を誓った仲だし?婚約者には婚約指輪…「まてまてまてまて」
「柴田、雨宮を見てみろ。パンク状態になってなにも聞こえていないぞ。あと、柚月。それは俺のプレゼントじゃ物足りないとでも言うのか?」
涼先輩が制止に入ってくれたみたいだ。
先輩の言う通り、僕はただいまフリーズ状態に陥っている。
僕と、翔先輩がこ、婚約!?
いつ?どこでプロポーズを受けた…?
「てか、プロポーズ受けてない!」
「うわ、びっくりした…」
「僕と翔先輩は恋人にもなっていないし、ただの書記と、会長という関係です!勝手に婚約者とか言わないで下さい…んっ…⁉」
え、えええええええええええええええええええええ!?
い、今き、キスされた!?
「順番が逆になってすまない。天、俺と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
目の前には、跪く翔先輩と、にこにこしてる薫先輩。
そして、杏くんの目を隠している涼先輩が視界に入る。
でも、いまはそんな冷静になっている場合ではない。
「…せ…」
「え?」
「返せええええええええええええええ!!僕のファーストキス!!!」
「いたっ…い、痛いって!」
ぽかぽかと先輩のことを殴り続ける僕。
しかし誰も止める気配はない。
「ちょ、涼、天くんのこと止めて…」
「これはお前が悪い。杏いくぞ」
「え?どこに??ちょ、涼くん!」
「僕もお暇しようかな。頑張ってね、会長。」
「え、あ、ちょ…!くそ…」
「グスッ…先輩のばかぁ…」
「天、おーい。天、聞けって。」
気が付くと部屋には僕と先輩の二人っきり。
他の先輩たちはとっくにいなくなっていた。
「天、俺が悪かった。ごめんな?」
「…」
「天のことが好きすぎて、自分の気持ちばかり前のめりになっていた。お前の気持ちを無視してた。本当にごめん。」
「…の…か…」
「え?」
「会長なんて知らない!!」
「ちょ、天!!」
僕は勢い余って、部屋から飛び出した。
一刻も早く、先輩から逃げたかった。
「ああ、くそ…!!」
でも、知らなかった。
これが追々、大変なことになるなんて…
続く
あれから僕は度々、翔先輩の家に拉致されるがそれはもう慣れたこと。
今は薫先輩と杏との3人でお茶会をしている。
もうすっかり僕を含めたこの3人はもうセット扱いされている。
時々、涼先輩の視線が痛い気もするが……
まぁ、それはさておき。
「じゃーん!みてみて!」
杏が取り出したのは銀色のネックレス。真ん中で揺れているチャームは写真を入れられるタイプになっていて、後ろには何やら文字が刻まれていた。
「R&M…?なにかのブランド名??」
「ちーがーう!ちゃんと考えて!」
「ふふっ、あいつって意外と可愛いことするんだね」
優雅に紅茶を飲みながら微笑む薫先輩は本当に絵に描いた人のようだ。
それにしても一体…あの文字はどういう意味なんだろうか…
「R&M…」
「杏、いるか?」
その時、副会長が部屋に入ってきた。
「あ、涼くーん!!」
「杏…涼先輩…M…とR…あ!!!?」
「ふふっ、ようやく分かったみたいだね」
(ももももしかして、この2人ってそ、そういう関係…!?)
あまりの衝撃で頭の中がパニックになる。
時々、副会長の視線が痛いと感じることがあったが、理由はそういうことか…
「雨宮、どうしたんだ?」
「ふふっ、ちょっとしたドッキリにあったみたい」
「ドッキリ?」
「涼くん、みてみて!」
「ゆづ、涼くんはやめろって何度言ったら…って、おい!?」
「わわっ!!ちょ、ちぎれちゃうよ!」
副会長は何かを隠すかのように杏くんに覆い被さる。
「涼くん、苦しいって…」
「す、すまない…でもお前これ付けてたらバレるだろ?」
「薫先輩にはもうバレてるよ??」
「え」
何やら2人でこそこそ話している。
「薫先輩、あの二人何話してるんですか?」
「さぁ?なんだろうね?」
こんなこと言ってるけどきっと、薫先輩には全てお見通しなんだろう。
あんな2人を置いといて、僕達は再びお茶会を始めた。
楽しくお茶をしてお話してると、また誰かが生徒会室に入ってきた。
バーン!
「天ーーーー!!!」
会長だ。
「うわっ!?出た!?」
「ちょ、人をお化け呼ばわりしないでよ」
「なんですか急に、またなにか問題でも?それか仕事が溜まったんですか?」
「違うってー天くんにプレゼント」
「プレゼント?」
差し出された箱を開けてみるとそこには銀の指輪が入っていた。
「へぇ、会長もやるじゃん!」
「だろ?」
ドヤ顔をきめている先輩と杏くんの横で、一人固まっている僕。
そう、なにが起こっているのかさっぱり理解できずにいたのであった。
「天くん?」
「か、薫先輩…これって…」
「エンゲージリング…かな?」
「え、え、エンゲージリング!?」
てか、この指輪よく見たらご丁寧にイニシャルまで入ってるし!?
「わぁ!この指輪可愛い!天くんいいなぁー」
「おう!だって、俺と天は一生を誓った仲だし?婚約者には婚約指輪…「まてまてまてまて」
「柴田、雨宮を見てみろ。パンク状態になってなにも聞こえていないぞ。あと、柚月。それは俺のプレゼントじゃ物足りないとでも言うのか?」
涼先輩が制止に入ってくれたみたいだ。
先輩の言う通り、僕はただいまフリーズ状態に陥っている。
僕と、翔先輩がこ、婚約!?
いつ?どこでプロポーズを受けた…?
「てか、プロポーズ受けてない!」
「うわ、びっくりした…」
「僕と翔先輩は恋人にもなっていないし、ただの書記と、会長という関係です!勝手に婚約者とか言わないで下さい…んっ…⁉」
え、えええええええええええええええええええええ!?
い、今き、キスされた!?
「順番が逆になってすまない。天、俺と結婚を前提にお付き合いしてくれませんか?」
目の前には、跪く翔先輩と、にこにこしてる薫先輩。
そして、杏くんの目を隠している涼先輩が視界に入る。
でも、いまはそんな冷静になっている場合ではない。
「…せ…」
「え?」
「返せええええええええええええええ!!僕のファーストキス!!!」
「いたっ…い、痛いって!」
ぽかぽかと先輩のことを殴り続ける僕。
しかし誰も止める気配はない。
「ちょ、涼、天くんのこと止めて…」
「これはお前が悪い。杏いくぞ」
「え?どこに??ちょ、涼くん!」
「僕もお暇しようかな。頑張ってね、会長。」
「え、あ、ちょ…!くそ…」
「グスッ…先輩のばかぁ…」
「天、おーい。天、聞けって。」
気が付くと部屋には僕と先輩の二人っきり。
他の先輩たちはとっくにいなくなっていた。
「天、俺が悪かった。ごめんな?」
「…」
「天のことが好きすぎて、自分の気持ちばかり前のめりになっていた。お前の気持ちを無視してた。本当にごめん。」
「…の…か…」
「え?」
「会長なんて知らない!!」
「ちょ、天!!」
僕は勢い余って、部屋から飛び出した。
一刻も早く、先輩から逃げたかった。
「ああ、くそ…!!」
でも、知らなかった。
これが追々、大変なことになるなんて…
続く
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