掟破りは甘党派!?

高草木文歌

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あ、あれは…

〝出会い〟

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「レイタールよ…そなたは掟など破らないだろ?約束してくれ、破らないと…」

…お父様。ご心配しなくても、私は守りきります。
お父様が亡くなられて約5年…
最後に言われた言葉が、「掟を破るな」でした。
そんなこと、既に存じ上げていた私にとっては、他のお言葉が欲しかったです…

雲の上の天界では、天使〝レイタール〟がのんびりと過ごしていた。そよ風が吹き、日が登る頃にはもう、レイタール様はお目覚めです。
そんなレイタールは、堅苦しい言葉に悩まされていました。
「…開放されたい…です。この、言葉と言う檻から…」

天使と言う名の頂点に立つレイタールは常に女神様らしい言葉を発しなければなりません。
そんな彼女が、出会ってはならない人もいます。
それは……

━━━━悪魔界

暗く、黒く、謎の石像がある、悪魔城。
ここには1人の悪魔がいる。
スナイダーだ。
天使と悪魔が恋に落ちることを禁止になった以来、彼も恋に落ちていない。
まず、性欲処理をどうしてやっているのかが知りたい。
「いや、何言ってんだよ」
ちょっと!ナレーションみたいなのに反応したらダメでしょ!
「ちっ…変なこと言うなよ。」
彼は照れた。ふっ…
「ふっざけんな!!」
そんな彼も歴とした悪魔。レイタールと同じで、悪魔と言う名の頂点に立つ〝スナイダー〟は、言葉遣いがさすが悪魔という感じ。荒いのだ。
こんなに言葉が荒い人には是非あってもらいたい人もいる…
それは…

━━━レイタール、そしてスナイダーだ。

レイタール様には、スナイダーと言う悪魔と顔合わせしてほしくはございません。もし、出会ってしまったら、レイタール様の言葉遣いが荒くなってしまうかもしれないのです!証拠はないですが…ですが、あんな薄汚い悪魔と出会ったら、レイタール様が汚れてしまいますわ!
「なにが、薄汚い悪魔だ!!」
スナイダー…我慢しろ、これを読んでいる人だって呆れてるぞ。
「いや、もっと暴れろって言ってんじゃね?」
…す、スナイダーは言葉が生まれつき荒く、せめて優しい言葉を聞かせてやりたい。そうすれば、きっと!彼の言葉遣いも良くなると思うのだが…
どうしてもお互いの条件が合わず、顔合わせができない。
別にスナイダーは興味がなかったらしく、それならそれでいいと言う事でこの話は終了した。
だが、彼と出会うことで、また歯車が動き出す。

スナイダーは夜、よく屋敷を飛び出して捕まっている。飛び出している理由は…多分性欲処理だろう。
「ちがっ…クッ…!!」
(違うからな…お前ら…)
ふっ…そんなスナイダー。なんと今日も屋敷を飛び出すそうだ。
こっそりと屋敷を飛び出し、中界にでる。ここはギリギリ人間がいないところだ。今日は初めて行くところがある。
サイラー池だ。月の光に照らされて、ダイヤモンドのように輝くそうだ。いくら悪魔であっても、それを見たいという好奇心は人間並みだ。

━━━レイタール

お父様、お母様、そしてお手伝いさん。お許しください。私、ちょっと散歩してくるわ。

夜中に屋敷を飛び出し、雲の階段を降りていく。
雲ではあるが、靴は一応履いておく。
階段を降りると、中界に着いた。そこには、見知らぬ男性がいた。でもそんなことは気にせず、サイラー池に向かった。
サイラー池の近くには、ベンチがある。
そのベンチに腰を下ろし、輝く池を見ていると…

「隣、大丈夫か?」

聞いたことがない声。
謎の異変を感じるが、どんな方にも差別なしに接しなくては…

「どうぞ」

声と同時に彼は腰を下ろした。
顔は暗くて見えないから、帰るとき懐中電灯で少し照らしてみようかな、とか思った。
そして、彼の言葉遣いは…すごく開放感があった。
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