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12 白い城と意思を持った石
しおりを挟むモンスターを倒したカゲロウは山道を歩き、ついに城門の前まで来ていた。その城は白塗りで統一されており、門や城壁、塔や天守閣までもが全て白い。又、各国の王城よりも比較的小さく、きれいな状態を保っており、日々誰かが手入れしていないとこの状態にはならないことを悟っている。
城門を開けようとした瞬間、誰かが招き入れるかのように自動に開いた。
(拙者を歓迎するかのようだな)
カゲロウは山道の道中、熊以外にも二体のモンスターに遭遇しており、どちらもレアモンスターの姿をしていた。
一体は【エルダーエンシェントシルバーホーン】である。通常の”エンシェントホーン”は鹿の見た目をし、銀色の輝く毛並みに覆われており、角は複雑な模様で飾られ、夜空に輝く星のような輝きを放っている。このモンスターが歩くたびに草木や花々が鹿の周りに生い茂り、通称"森の守護者"ともいわれる。普段は森の奥深く、水辺があるところに稀に出現する程度である。
もう一体は、【エルダーデザートファング】である。通常の”デザートファング”は、豹の見た目をしており、普段は砂漠地帯に生息するため、体は砂の色合いに近く体格も大きい。生えた牙は長くて鋭く、その牙を活かして地中を掘り、地上には狩りの時以外は姿を現さない性質を持つ。
今回遭遇した【エルダーエンシェントシルバーホーン】には額に”青色”のクリスタルが、【エルダーデザートファング】には額に”赤色”のクリスタルが額に宿っており、やはり全身を魔力の膜が覆っていた。熊同様に通常のレアモンスターの特性を無視した性格だったともいえる。
カゲロウは開かれた城門を進み、重々しい鉄製の両扉から城内に入ると、静かなエントランスホールが出迎えた。
「……人の気配がない……」
カゲロウは自身の周辺探知で周りの状況を把握し警戒する。広く開けたエントランスホールを奥へ奥へと進み、装飾されて煌びやかだが、どこか質素にも感じる白い扉の前についた。
「……ここだな……」
扉を両手で押し開け、中に入る。玉座の間であろう場所に待ち受けていたのは、玉座に鎮座したひと際大きなクリスタルであった。それは遭遇したエルダーモンスターかそれ以上に魔力を帯び、爛々と発光した輝きを放っている。
「ヨク来たナ」
無機質で不調和な音が静まり返った空間を響かせる。
「お前は……なんだ……」
各地で色んなモンスターに遭遇してきたカゲロウであったが、意思を持つクリスタルと対峙するのは初めてであり、困惑しつつもそれをポーカーフェイスでごまかす。
「ワレ、グノーシス。知恵と進化を司るモノでアル。ココマデ来たモノは1人としてイナイ」
「……拙者を歓迎した目的はなんだ」
「意味などナイ、ワレのツトメはケモノに進化をモタラスこと。ソレだけであり、ヌシが初めてココマデ来ただけに他ナラナイ」
「……そうか……、それで。拙者としてはお前を割って、主への手土産にしたいのだが。それは主が決めることだ……。数日ここで待っておけ」
「ココマデ来た強者でアル。ヌシの希望を叶えヨウ」
「それと、もう一度ここに来るまでにモンスターを城の外に出すな」
「理解シタ」
カゲロウはシュガーへの報告を急ぐ為、城を後にした。
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