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保健室の先生は寿実くん
きっと酷い顔をしてるだろう……
見られたくない気持ちから下を向きながら保健室へと向かう。
こんな時、長い髪は便利だなと思いながら鼻の奥が痛くなるのを感じる。
ダメダメだな……
失礼しますと保健室に入ると僕に気付いた、先生が近づいて来た。
「あれ?藍?どうした?」
こんな時に優しい声を掛けないでほしい……
「今てが話せないからさ、藍ベッドに横になって待ってて。」
僕は言われるがままにベッドへと横になると止まっていた涙がまた染み出してくる。
「昔みたいに、わがままな泣き虫な藍ちゃんに戻った?」
そう言って、タオルに包んだ保冷剤が目に当てられると、視界を塞がれた事で何故か気持ちが落ち着いてくる。
「もう……わがままも言わないし、泣き虫でもない……それだと隣に居られないもん……」
――僕は和くんと出会う前は、わがままだったし泣き虫だった。
お父さんも、お母さんもお兄ちゃん達も、僕のわがままは全て聞いてくれたし、泣いたらあやしてくれた……
それが当たり前だと思っていた……
それなのに、和くんだけは違った。
「なんで藍ちゃんが泣いてるの?藍ちゃんがわがままを言ってトモちゃんが嫌な気分になって言い返しただけでしょ?」
確かにトモちゃんが読んでた絵本を僕も読みたくなって……貸してって言ったけど貸してくれなかったから。
【バカ】って言っちゃった……
トモちゃんは、凄い勢いで言い返してきたのに僕は言い返せなくて泣いた……
その様子を見ていた和くんからの言葉だった。
「まぁトモちゃんもチクチク言葉はダメだよね。」
トモちゃんは、両手をギュッっと握りしめながら。
「藍ちゃん、チクチク言葉を使ってゴメンね」
そう言ったけれど、ぼくは泣きすぎて声が出せない。
「藍ちゃんもトモちゃんに一緒に絵本読もうって言えばよかったんだよ、トモちゃんがゴメンねしてるのに藍ちゃん返事もしないなんて、僕はそういうの好きじゃない。」
僕は、この時の初めて人から好きじゃないと言われた。
面と向かって、注意をしてくれたのも初めてだった。
この時、僕のなかで和くんが特別な人になった瞬間だった。
◇◇◇
「藍が落ち込むのは、和くん絡み……だよね?」
ベッドの横の椅子に座った寿実くんが優しく声をかけてくれた。
優しくされると我慢していたものが止まらなくなる……
「僕じゃやっぱりダメなのかな……」
小さくため息が落ちた。
「藍は頑張るんじゃなかったの?姉さんから聞いたけど、ちょっとずつでも好きになって貰うように努力してるんでしょ?」
お母さんは、寿実くんにそんな話をしてたんだと思うと言い様のない恥ずかしさが襲ってくる。
「でもさ、頑張ってると疲れる時もあるだろ?俺は保健室の先生だから体だけではなく心が疲れた時……そんな時は保健室に休みに来なよ、聞いてほしい事があるなら聞くからさ。」
寿実くんの言葉を聞いて、やっぱり僕は家族や親戚に甘やかされていると実感する。
寿実くんが優しいのは、保健室の先生だからって事も多少は関係あるのかな?
寿実くんと話をして、自分の中ので少しだけど整理ができた気がする。
「寿実くんありがとう……」
――初心に戻ろう……和くんと離れていた時間があったんだ、その間に和くんに仲良くなった人が居ても仕方ないと思わないと……
本当は僕だけを見てほしいし……
藍ちゃん大好きと言われたい……
和くんの友達と仲良くなって、少しずつ気付かれない様に懐柔していけば、いいか……。
「少しは落ち着いたみたいだね。」
寿実くんの問いかけに頷いた時、バタバタと激しい足音が近づいてくる。
はぁ~と大きなため息をついた寿実くんは、頭を抱えると嫌な予感しかしないと言った。
もう授業が始まっているのに、こんな行動を起こせる破天荒な人を僕は1人しか知らない。
「藍!大丈夫か!?」
大きな声と同時に保健室のドアが開いた。
姿を見せたのは予想通りの人だった。
見られたくない気持ちから下を向きながら保健室へと向かう。
こんな時、長い髪は便利だなと思いながら鼻の奥が痛くなるのを感じる。
ダメダメだな……
失礼しますと保健室に入ると僕に気付いた、先生が近づいて来た。
「あれ?藍?どうした?」
こんな時に優しい声を掛けないでほしい……
「今てが話せないからさ、藍ベッドに横になって待ってて。」
僕は言われるがままにベッドへと横になると止まっていた涙がまた染み出してくる。
「昔みたいに、わがままな泣き虫な藍ちゃんに戻った?」
そう言って、タオルに包んだ保冷剤が目に当てられると、視界を塞がれた事で何故か気持ちが落ち着いてくる。
「もう……わがままも言わないし、泣き虫でもない……それだと隣に居られないもん……」
――僕は和くんと出会う前は、わがままだったし泣き虫だった。
お父さんも、お母さんもお兄ちゃん達も、僕のわがままは全て聞いてくれたし、泣いたらあやしてくれた……
それが当たり前だと思っていた……
それなのに、和くんだけは違った。
「なんで藍ちゃんが泣いてるの?藍ちゃんがわがままを言ってトモちゃんが嫌な気分になって言い返しただけでしょ?」
確かにトモちゃんが読んでた絵本を僕も読みたくなって……貸してって言ったけど貸してくれなかったから。
【バカ】って言っちゃった……
トモちゃんは、凄い勢いで言い返してきたのに僕は言い返せなくて泣いた……
その様子を見ていた和くんからの言葉だった。
「まぁトモちゃんもチクチク言葉はダメだよね。」
トモちゃんは、両手をギュッっと握りしめながら。
「藍ちゃん、チクチク言葉を使ってゴメンね」
そう言ったけれど、ぼくは泣きすぎて声が出せない。
「藍ちゃんもトモちゃんに一緒に絵本読もうって言えばよかったんだよ、トモちゃんがゴメンねしてるのに藍ちゃん返事もしないなんて、僕はそういうの好きじゃない。」
僕は、この時の初めて人から好きじゃないと言われた。
面と向かって、注意をしてくれたのも初めてだった。
この時、僕のなかで和くんが特別な人になった瞬間だった。
◇◇◇
「藍が落ち込むのは、和くん絡み……だよね?」
ベッドの横の椅子に座った寿実くんが優しく声をかけてくれた。
優しくされると我慢していたものが止まらなくなる……
「僕じゃやっぱりダメなのかな……」
小さくため息が落ちた。
「藍は頑張るんじゃなかったの?姉さんから聞いたけど、ちょっとずつでも好きになって貰うように努力してるんでしょ?」
お母さんは、寿実くんにそんな話をしてたんだと思うと言い様のない恥ずかしさが襲ってくる。
「でもさ、頑張ってると疲れる時もあるだろ?俺は保健室の先生だから体だけではなく心が疲れた時……そんな時は保健室に休みに来なよ、聞いてほしい事があるなら聞くからさ。」
寿実くんの言葉を聞いて、やっぱり僕は家族や親戚に甘やかされていると実感する。
寿実くんが優しいのは、保健室の先生だからって事も多少は関係あるのかな?
寿実くんと話をして、自分の中ので少しだけど整理ができた気がする。
「寿実くんありがとう……」
――初心に戻ろう……和くんと離れていた時間があったんだ、その間に和くんに仲良くなった人が居ても仕方ないと思わないと……
本当は僕だけを見てほしいし……
藍ちゃん大好きと言われたい……
和くんの友達と仲良くなって、少しずつ気付かれない様に懐柔していけば、いいか……。
「少しは落ち着いたみたいだね。」
寿実くんの問いかけに頷いた時、バタバタと激しい足音が近づいてくる。
はぁ~と大きなため息をついた寿実くんは、頭を抱えると嫌な予感しかしないと言った。
もう授業が始まっているのに、こんな行動を起こせる破天荒な人を僕は1人しか知らない。
「藍!大丈夫か!?」
大きな声と同時に保健室のドアが開いた。
姿を見せたのは予想通りの人だった。
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