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一緒に下校
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繋いだ手がトクトクと音を鳴らしている気がする。
僕の心臓の鼓動が手に伝わっているだけかもしれない。
手汗とか大丈夫かな……
奏多と手を繋いだときは何にも感じなかった、やっぱり僕にとって和くんは特別だ。
僕とはタイプが違う……
和くんの、事を地味だと言う人が居るけれど見る目がないだけだ。
再会した時にメガネをしていたけど、すぐに分かった。
切れ長の目に綺麗な素直な黒髪、身長だって低くはない。
「可愛いなぁ~」
思わず出た言葉に、和くんは振り向くと凄く嫌そうな顔をすると。
「はぁ?男が可愛いって言われても嬉しくないから。」
そう言うと手は繋いだまま歩きだした。
手を引かれるままに後ろを歩いていても、絶妙な速度で歩いてくれてるのが分かる、そんな和くんが好きだ。
「なぁ、藍ちゃん何かあった?」
和くんの質問にへっ?と変な声が出た。
和くんが僕の心配をしてくれてる。
なんとも思ってない人の事なんて心配しないよね?
って、事は少なからず僕の事が気になってるかもしれないよね?
うわぁ~妄想だけが無限に出来る自分が嫌になる……
「おーい藍ちゃん、こっちに戻っておいで?って言うか……藍ちゃんは変わらないね。」
そう言って笑う和くんに、後光がさしてらっしゃる。
可愛い
可愛い
僕に向けられた笑顔、僕だけのものにして良いよね?
いやダメと言われても、僕の胸にある和くんフォルダーに記録しちゃうよ。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
まさか、こんなご褒美タイムがあるなんて思っていなかった。
――本当は羨ましかったんだ、和くんの笑顔を引き出してた、彼が……
僕には出来ないと思っていたから……
そう思いこんでいただけだったのかもしれない……
今、目の前で和くんが僕に向けてくれている笑顔をずっと見ていたい。
「あっ……藍ちゃん見て、懐かしいな少し寄っていかない?」
和くんの視線の先には幼稚園の頃、よく遊びに行ってた公園があった。
凄く大きかった記憶があるのに、こんなに狭かった?
そんな事を考えながらも、僕は行きたいと和くんに告げた。
◇◇◇
ブランコに鉄棒そしてゾウの滑り台、あの頃とは変わらない遊具たち。
安全面からか無くなってしまった物もあるけれど、その代わりに新しい遊具が出来ていた。
1人で通った時には、意識していなかったからか気付けなかった。
「懐かしいな、滑り台の下ってまだ入れるかな?」
ゾウの滑り台は下のところが洞窟みたいになっていて、和くん達と秘密基地だって遊んでいたのを思い出す。
あの頃から僕の気持ちは変わらずに和くんが好き……この気持ちを辞めたいとは思った事はないけど、今日みたいに他の人に向けた笑顔を見て苦しくなるのは嫌だな……
「藍ちゃん来て!」
ゾウの滑り台の下から手まねきしている和くんに引き寄せられるように向かった。
――うん……狭いな……
和くんと密着していて触れあった場所が熱を帯びていく。
恥ずかしいと嬉しいとで情緒が不安定になるのが分かる。
それなのに和くんは、なんてことないような態度で悲しくなる。
あの頃から、僕だけが和くんが好きだと思い知らされる.
少しでも僕に振り向く素振り……見せてほしいのにな……
それでも好きだから、諦められないから仕方ないのかな……
「藍ちゃんはさ……」
和くんが、ゆっくり話し出す。
眼鏡の奥の目が真剣な事を表しているようで、緊張する。
「今日、なにかあった?」
和くんのその、言葉で胸が痛んだ。
気付いてくれたんだと嬉しい気持ちと、そんな事でメンタルが揺れたのを気付かれたくないという気持ち。
けれど、和くんに嘘はつきたくないとモヤモヤとしていると和くんは表情を緩ませて。
「無理には言わなくていいよ、ただ少し気になっただけ。」
えっ?
えぇぇぇ?
和くんが、僕の事を気にしてくれたの?
えっえっえっ!
そんな未来が来るなんて……思っていなかったよ……
和くんのその言葉で、僕は絶対に和くんを振り向かせる決意をさらに固めた。
僕の心臓の鼓動が手に伝わっているだけかもしれない。
手汗とか大丈夫かな……
奏多と手を繋いだときは何にも感じなかった、やっぱり僕にとって和くんは特別だ。
僕とはタイプが違う……
和くんの、事を地味だと言う人が居るけれど見る目がないだけだ。
再会した時にメガネをしていたけど、すぐに分かった。
切れ長の目に綺麗な素直な黒髪、身長だって低くはない。
「可愛いなぁ~」
思わず出た言葉に、和くんは振り向くと凄く嫌そうな顔をすると。
「はぁ?男が可愛いって言われても嬉しくないから。」
そう言うと手は繋いだまま歩きだした。
手を引かれるままに後ろを歩いていても、絶妙な速度で歩いてくれてるのが分かる、そんな和くんが好きだ。
「なぁ、藍ちゃん何かあった?」
和くんの質問にへっ?と変な声が出た。
和くんが僕の心配をしてくれてる。
なんとも思ってない人の事なんて心配しないよね?
って、事は少なからず僕の事が気になってるかもしれないよね?
うわぁ~妄想だけが無限に出来る自分が嫌になる……
「おーい藍ちゃん、こっちに戻っておいで?って言うか……藍ちゃんは変わらないね。」
そう言って笑う和くんに、後光がさしてらっしゃる。
可愛い
可愛い
僕に向けられた笑顔、僕だけのものにして良いよね?
いやダメと言われても、僕の胸にある和くんフォルダーに記録しちゃうよ。
ありがとうございます。
ありがとうございます。
まさか、こんなご褒美タイムがあるなんて思っていなかった。
――本当は羨ましかったんだ、和くんの笑顔を引き出してた、彼が……
僕には出来ないと思っていたから……
そう思いこんでいただけだったのかもしれない……
今、目の前で和くんが僕に向けてくれている笑顔をずっと見ていたい。
「あっ……藍ちゃん見て、懐かしいな少し寄っていかない?」
和くんの視線の先には幼稚園の頃、よく遊びに行ってた公園があった。
凄く大きかった記憶があるのに、こんなに狭かった?
そんな事を考えながらも、僕は行きたいと和くんに告げた。
◇◇◇
ブランコに鉄棒そしてゾウの滑り台、あの頃とは変わらない遊具たち。
安全面からか無くなってしまった物もあるけれど、その代わりに新しい遊具が出来ていた。
1人で通った時には、意識していなかったからか気付けなかった。
「懐かしいな、滑り台の下ってまだ入れるかな?」
ゾウの滑り台は下のところが洞窟みたいになっていて、和くん達と秘密基地だって遊んでいたのを思い出す。
あの頃から僕の気持ちは変わらずに和くんが好き……この気持ちを辞めたいとは思った事はないけど、今日みたいに他の人に向けた笑顔を見て苦しくなるのは嫌だな……
「藍ちゃん来て!」
ゾウの滑り台の下から手まねきしている和くんに引き寄せられるように向かった。
――うん……狭いな……
和くんと密着していて触れあった場所が熱を帯びていく。
恥ずかしいと嬉しいとで情緒が不安定になるのが分かる。
それなのに和くんは、なんてことないような態度で悲しくなる。
あの頃から、僕だけが和くんが好きだと思い知らされる.
少しでも僕に振り向く素振り……見せてほしいのにな……
それでも好きだから、諦められないから仕方ないのかな……
「藍ちゃんはさ……」
和くんが、ゆっくり話し出す。
眼鏡の奥の目が真剣な事を表しているようで、緊張する。
「今日、なにかあった?」
和くんのその、言葉で胸が痛んだ。
気付いてくれたんだと嬉しい気持ちと、そんな事でメンタルが揺れたのを気付かれたくないという気持ち。
けれど、和くんに嘘はつきたくないとモヤモヤとしていると和くんは表情を緩ませて。
「無理には言わなくていいよ、ただ少し気になっただけ。」
えっ?
えぇぇぇ?
和くんが、僕の事を気にしてくれたの?
えっえっえっ!
そんな未来が来るなんて……思っていなかったよ……
和くんのその言葉で、僕は絶対に和くんを振り向かせる決意をさらに固めた。
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