【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!

ひつじのめい

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2章

翠くんと車窓から

「楓、起きろぉ~」

 空くんの声に自分が寝ていたことに気付かされる……。

 しかも、あろうことか僕は翠くんの肩を枕にしていた……。

「すげえ寝てたけど、昨日の夜寝れなかった?」

 空くんの質問に答えようとした時に僕の右手は翠くんの手を握りしめている事に気づくと、翠くんの顔を見ることが出来ない。

「昨日は、ちゃんと寝たんだけど……」

 そう答えると、なんだか空くんと先生が意味深な表情を浮かべていた……

 まさか……気付かないうちに何かを口走ってしまった?

 背中に冷たいものを感じて翠くんへと顔を向けると……
 
 バチリと目があった……

 えっ?
 翠くん……その表情は……なに……?

 状況が分からずにいると、先生が口元を震わせながら口を開いた。

「相模くん、俺は空と何か買いに行くけど相模くんと小野寺くんはどうする?」

 あっ……僕には分からないけど運転は疲れるって父さんが言ってたし休憩するなら……

 先生は空くんと一緒に居たいよなと思う……
 となれば答えは一つだった。

 僕は翠くんと一緒に買いにいきます。

 翠くんに確認してないけど、大丈夫かな?

 心配になり、翠くんに視線を向けると頷いたところを見ると、大丈夫そうだ。

 今から30分ぐらいしたらお店の入り口で待ち合わせる事にして先生は空くんと、僕は翠くんとそれぞれ別行動をすることになった。

 車内の時とは違い、いつも通りに見える翠くん……

 でも、やっぱりいつもと雰囲気が違う……気がする。

「ねぇ翠くん、僕が寝ちゃったから怒らせちゃった?」 

 心の声が、ふと口から出てしまい翠くんが驚きの表情を浮かべたのを僕は見逃さなかった。

「えっ……なんで?」

 僕は自分の発した言葉に少しだけ後悔した……

 言葉に詰まっていると心配気に翠くんが僕を見上げたいる。

「……ごめん、なんでもない。」

 翠くんの真っ直ぐな目に、いたたまれなく顔をそらそうとした時、翠くんの手によって阻止された。

 僕の両頬を手のひらで固定した翠くんは真っ直ぐに見上げていた。

「楓、なにかを言いかけてから辞めるな……気になるだろ……」


 うわぁ~翠くんの男らしさの発言の後の、気になるだろの可愛い言い方のギャップに腰から砕けそうになる。

 人通りが少ないとはいえ、0ではない……

  なんだか歩いている人たちが全員、僕たちを見ている気分になって早くこの場所から離れたくなる……

 そんな事を考えると同時に僕は翠くんの手を取るとその場から逃げ出した。

 SAの端にある小さな公園のようなイートスペースへと足を運び設置してあるベンチに翠くんを座らせ、僕は隣に腰を下ろす。

「……楓」

 翠くんは急かす訳ではないけれど、さっきの答えを聞かないという選択肢はないみたいだ。

 はぁ……
 翠くんは僕が寝たぐらいで怒る人ではないと知ってるからこそ、怒ってるなら何に対してなのかが知りたい。

 せっかくの旅行なのに、しょっぱなから翠くんに嫌な気分にさせるなんて……

「……僕が寝てしまったから翠くんが怒ってる訳じゃないって分かってるんだ……だけど翠くんの態度が行くときと違って……理由が分からないから、どうしてなのか気になってる……」

 言い終わらないうちに僕の体は翠くんに引き寄せられた。

「楓は、そんなに俺が好きなの……?」

 えっ……僕が翠くんの事がどれほど好きかまだ理解してくれてない……の?

「さっき車の中で、俺は楓の寝言を聞いて……自分が思っている以上に思われてて恥ずかしくなっただけで、まったく怒ってはいないよ……気持ちの持っていき場所に戸惑っただけ……」

 ん?寝言?どういうこと……

 僕は……な、な、なにを言ってしまったんだろう……

 頭が混乱するなか、翠くんは不意打ちに僕の顔を覗き込む。

 うわぁぁぁ、ビジュ良すぎる翠くんの顔が僕の目に入るとギリギリでおさえている理性を飛ばさないように、翠くんの肩に顔を埋めた。

 ――その表情は反則だ……


 ドキドキと鼓動が早くなって何故か口から言葉が出てこない。

「なぁ楓、俺も楓だけを見ていたいし楓の隣に居たい……それでも俺も男だから……楓の隣にいても恥ずかしくない男でいたい。だからカッコいい男になれるように……楓もう少しだけ俺に頑張らせてくれないか?」

 頭上から、ふりそそがれる翠くんの声に頭が白くなっていく……

「翠くん……僕はいったい……何を寝言でいったの?」

 翠くんは、ふわっとした柔らかな笑みを浮かべると、僕の頭をなでながら、それは秘密と答えた……。

 秘密もなにも、僕以外の全員が聞いたその言葉は翠くんの口からは教えて貰えなさそうだし、きっと空くんも先生も教えてくれないだろう……。

 恥ずかしさで、どうにかなりそうだけど、頭をなでてくれる翠くんの手に癒されている僕は、考えるだけ無駄な気がしてきた。

 この場所にきて、どれくらい時間が過ぎただろう……

「……なにか飲むものとか買いに行かない?」

 翠くんの言葉に頷くと、今度は翠くんが僕の手を引いて歩く。

 ピロ~ン

 スマホがメッセージを伝える音に確認をすると空くんからだった。

 ――俺たちは先に車に戻ってるから、ゆっくり買い物して来なよ。ここを出発したらホテルまではノンストップで行くからトイレも行った方がいいよ。

 翠くんに空くんからの内容を伝えて、急いでトイレを済ませると必要な物だけを買って車へと向かうと、僕たちが車に乗ると車はすぐに動き出した。

 高速をおりて、少し走ったその時、目の前が開けた場所に出ると、僕たちの目には海が飛び込んできた。

 海のない県で生まれ育った僕は、いつものごとくテンションが上がりすぎて無意識に翠の腕をつかんで、子供みたいに騒いでしまう。

 そんな僕を目を細めながら翠くんは、頷いたり船が見えた事を教えてくれる。

 ささやかな事かもしれない……

 それでも僕には凄く幸せな時間だ。

「このまま海沿いを通ってホテルまで行くけど、あと少しで着くよ」

 先生の言葉に、改めて窓の外に目を向けると違和感を感じる。

 あれっ……



 数分後、この僕の違和感が何なのかを理解する事になるになる……

 しかしこの時の僕は、その事にまだ気付いていなかった。
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