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第2章 魔術師の試練
12. 紅蓮の恐怖
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「これからの生活が楽しみだね、みんな♪」
魔族に飼われる?俺たちこれから、どうなってしまうんだ?
「はぁ~…おしゃべりしてたら疲れちゃった……ノア、いい?」
「クソ野郎!ノアに近づくな!!こんな……っ!」
「あ~うるさいなぁ。少し黙っててくれない?」
魔族が頭上に上げた腕をくるりと振ると、喚き続けていたウィルの言葉がふいに途切れた。
「ウィル!?ウィルに何をした!」
「うるさいから、沈黙魔法をかけただけだよ。さあ、ノア――」
きみの美味しい血をちょうだい――そう言って、俺の首筋に顔を埋めようとした魔族の動きが、急にぴたりと止まった。
「なんだ――この魔力は」
魔族はくるりと踵を返し、外の様子を見るために、窓の方へ歩み寄って行った。
「何かが、強大な魔力がここへ……近づいてくる――」
強大な魔力――今や俺にもそれが感じられていた。
魔力は振動となり地鳴りを起こし、地面を揺らしている。
魔族はなにかブツブツと呟きながら、部屋の中を行ったり来たりして、慌てふためき怯えているようだった。
でも俺はその魔力の波動を、怖いなんて少しも思わなかった。それは――とてもよく知るものだったから。
やがてドドドッドドドッという馬の蹄の音が、こちらへ近づくにつれ大きくなる。
「ルクスーーー!!」
馬の嘶きとともに、懐かしい声が響き渡った。
「兄上!!二階です!!」
声が届いたのか、屋敷の玄関扉が破られた音を聞いた――と思った次の瞬間には、俺たちのいる部屋の扉が破壊されていた。
「ルクス!無事か!?――その首は!?」
艶やかな赤い長い髪が、陽の光を反射してきらめいている。
目の前に現れたのは、帝都ガルネートゥスより広大な帝国領土を統治し、世界にその名を轟かす稀代の傑物――ベルムデウス帝国皇帝グラヴィス・ベルムデウスだった。
赤銅色の甲冑を纏い戦場を支配するその姿は、敵味方を問わず畏怖の対象となっている。そして、帝国の人々は畏敬の念を込めて兄上をこう呼んだ。
紅蓮の戦神――と。
来てくれたのか……俺を、助けるために……?
「兄上……アイツです!」
拘束呪文は解けていた。俺は窓から逃げようと窓枠に足をかけている魔族を指さし――兄上はロングソードをヤツに向かって投げつけた。
投げられた剣は羽根とからだを貫通し、魔族は膝をついた。
兄上は魔族に歩み寄ると、深々と刺さった剣をいとも容易く引き抜いた。
「ぐああああ……っ!」
「まだ息があるか。しぶといな、魔族とやらは」
魔族は首を回してうしろに振り返り、兄上を見上げる。
ほんの数分前まで絶対強者であった男の立場は、完全に逆転していた。
「貴様はルクスを、何よりも大事な私の弟を傷つけた。その罪、万死に値する」
剣を横に構える兄上。
魔族の首は、胴体と今にも泣き別れようとしている――
「待って!!」
制止を求める声を発したのは、俺だった。
魔族に飼われる?俺たちこれから、どうなってしまうんだ?
「はぁ~…おしゃべりしてたら疲れちゃった……ノア、いい?」
「クソ野郎!ノアに近づくな!!こんな……っ!」
「あ~うるさいなぁ。少し黙っててくれない?」
魔族が頭上に上げた腕をくるりと振ると、喚き続けていたウィルの言葉がふいに途切れた。
「ウィル!?ウィルに何をした!」
「うるさいから、沈黙魔法をかけただけだよ。さあ、ノア――」
きみの美味しい血をちょうだい――そう言って、俺の首筋に顔を埋めようとした魔族の動きが、急にぴたりと止まった。
「なんだ――この魔力は」
魔族はくるりと踵を返し、外の様子を見るために、窓の方へ歩み寄って行った。
「何かが、強大な魔力がここへ……近づいてくる――」
強大な魔力――今や俺にもそれが感じられていた。
魔力は振動となり地鳴りを起こし、地面を揺らしている。
魔族はなにかブツブツと呟きながら、部屋の中を行ったり来たりして、慌てふためき怯えているようだった。
でも俺はその魔力の波動を、怖いなんて少しも思わなかった。それは――とてもよく知るものだったから。
やがてドドドッドドドッという馬の蹄の音が、こちらへ近づくにつれ大きくなる。
「ルクスーーー!!」
馬の嘶きとともに、懐かしい声が響き渡った。
「兄上!!二階です!!」
声が届いたのか、屋敷の玄関扉が破られた音を聞いた――と思った次の瞬間には、俺たちのいる部屋の扉が破壊されていた。
「ルクス!無事か!?――その首は!?」
艶やかな赤い長い髪が、陽の光を反射してきらめいている。
目の前に現れたのは、帝都ガルネートゥスより広大な帝国領土を統治し、世界にその名を轟かす稀代の傑物――ベルムデウス帝国皇帝グラヴィス・ベルムデウスだった。
赤銅色の甲冑を纏い戦場を支配するその姿は、敵味方を問わず畏怖の対象となっている。そして、帝国の人々は畏敬の念を込めて兄上をこう呼んだ。
紅蓮の戦神――と。
来てくれたのか……俺を、助けるために……?
「兄上……アイツです!」
拘束呪文は解けていた。俺は窓から逃げようと窓枠に足をかけている魔族を指さし――兄上はロングソードをヤツに向かって投げつけた。
投げられた剣は羽根とからだを貫通し、魔族は膝をついた。
兄上は魔族に歩み寄ると、深々と刺さった剣をいとも容易く引き抜いた。
「ぐああああ……っ!」
「まだ息があるか。しぶといな、魔族とやらは」
魔族は首を回してうしろに振り返り、兄上を見上げる。
ほんの数分前まで絶対強者であった男の立場は、完全に逆転していた。
「貴様はルクスを、何よりも大事な私の弟を傷つけた。その罪、万死に値する」
剣を横に構える兄上。
魔族の首は、胴体と今にも泣き別れようとしている――
「待って!!」
制止を求める声を発したのは、俺だった。
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