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第3章 定めに抗う者たち
9. ギルドへ報告
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その後、数人の冒険者が転移魔法で戻ってきた。ケガを負っている者は、手当を受けるため、演習場の建物に運ばれて行った。
忙しそうに動き回っていた係の女性の手が空いたタイミングを見計らって、俺は声をかけた。
「討伐……失敗してしまいましたね」
「ああ!ノアさん!ご無事で何よりです」
その女性をよく見ると、昨日俺たちの受付を担当してくれた人だった。
今後の対応を尋ねると、冒険者ギルドに向かってほしいと言われたので、従うことにした。
ギルドに来訪を告げた後、手近な椅子に座って休んでいると、白髪混じり髪の初老の男性が現れた。柔和な印象の口髭をたくわえているが、その眼光は鋭く光っていた。
「あなたがノア・スタークさんでしょうか?」
「はい、そうですが……」
「私はブラウフォンス冒険者ギルドのギルドマスター、アンセルです。以後、お見知りおきを」
「あ、あなたが……。ノア・スタークと申します。どうぞよろしくお願いします」
「それで…早速聞かせていただきたいのですが……」
ギルドマスターの用件は、アルゴグとの戦いの詳細を聞かせてほしいとのことだった。
あらかたの情報を伝え終えた後、俺はギルドマスターに尋ねた。
「今後、アルゴグ討伐はどうなるのですか?」
「現在、各ギルドにて生き残った者たちから情報を集めています。それらをまとめて対策を練り、みなさんにお伝えして準備を整えてもらい――再戦していただきたいと考えています」
「再戦……それはいつ頃になりそうでしょうか?」
「予想ですが…一週間程先になるかと……」
一週間も……?エトワール――
「そんなに……」
「たいへんな戦いだったと聞いています。あなた方はそこから無傷で帰還されてきた。その実力は疑いようがありません。アルゴグ再討伐の際には、ぜひその御力を我々にお貸しください」
「……じつは、アルゴグの胆嚢が今すぐにでも必要なのですが、討伐終了後、すぐに報酬としていただけませんでしょうか。それを約束していただければ、必ず再討伐に参加させていただきます」
「それは……私の一存では決められぬことですが……依頼者に掛け合い、承諾をいただけるよう全力を尽くすことをお約束いたします」
「よろしくお願いします!」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。では……貴重な情報をありがとうございました。これにて失礼させていただきます」
「一週間後か……」
重い沈黙が圧し掛かっていた。
「どうしてアルゴグの胆嚢がすぐにでも必要なの?」ニケが尋ねる。
「俺たちの仲間が重い病気に罹っちゃってね……」
「ああ、特効薬を作るのにアルゴグの胆嚢が必要なんだ……」
「もう一週間も高熱が下がらなくて……一刻も早く薬を飲ませてやらなきゃならないのに――」
無力感にさいなまれ、こぶしをテーブルに思いきり叩きつけた。手の痛みなんて、ちっとも気にならなかった。
その手が、誰かの手のひらに包まれた。顔を上げると、ニケがやさしく微笑んでいた。
「ノア……僕はまあまあ腕の立つ治癒師だよ。もっと僕を頼って……ね?」
「ニケ……」
忙しそうに動き回っていた係の女性の手が空いたタイミングを見計らって、俺は声をかけた。
「討伐……失敗してしまいましたね」
「ああ!ノアさん!ご無事で何よりです」
その女性をよく見ると、昨日俺たちの受付を担当してくれた人だった。
今後の対応を尋ねると、冒険者ギルドに向かってほしいと言われたので、従うことにした。
ギルドに来訪を告げた後、手近な椅子に座って休んでいると、白髪混じり髪の初老の男性が現れた。柔和な印象の口髭をたくわえているが、その眼光は鋭く光っていた。
「あなたがノア・スタークさんでしょうか?」
「はい、そうですが……」
「私はブラウフォンス冒険者ギルドのギルドマスター、アンセルです。以後、お見知りおきを」
「あ、あなたが……。ノア・スタークと申します。どうぞよろしくお願いします」
「それで…早速聞かせていただきたいのですが……」
ギルドマスターの用件は、アルゴグとの戦いの詳細を聞かせてほしいとのことだった。
あらかたの情報を伝え終えた後、俺はギルドマスターに尋ねた。
「今後、アルゴグ討伐はどうなるのですか?」
「現在、各ギルドにて生き残った者たちから情報を集めています。それらをまとめて対策を練り、みなさんにお伝えして準備を整えてもらい――再戦していただきたいと考えています」
「再戦……それはいつ頃になりそうでしょうか?」
「予想ですが…一週間程先になるかと……」
一週間も……?エトワール――
「そんなに……」
「たいへんな戦いだったと聞いています。あなた方はそこから無傷で帰還されてきた。その実力は疑いようがありません。アルゴグ再討伐の際には、ぜひその御力を我々にお貸しください」
「……じつは、アルゴグの胆嚢が今すぐにでも必要なのですが、討伐終了後、すぐに報酬としていただけませんでしょうか。それを約束していただければ、必ず再討伐に参加させていただきます」
「それは……私の一存では決められぬことですが……依頼者に掛け合い、承諾をいただけるよう全力を尽くすことをお約束いたします」
「よろしくお願いします!」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします。では……貴重な情報をありがとうございました。これにて失礼させていただきます」
「一週間後か……」
重い沈黙が圧し掛かっていた。
「どうしてアルゴグの胆嚢がすぐにでも必要なの?」ニケが尋ねる。
「俺たちの仲間が重い病気に罹っちゃってね……」
「ああ、特効薬を作るのにアルゴグの胆嚢が必要なんだ……」
「もう一週間も高熱が下がらなくて……一刻も早く薬を飲ませてやらなきゃならないのに――」
無力感にさいなまれ、こぶしをテーブルに思いきり叩きつけた。手の痛みなんて、ちっとも気にならなかった。
その手が、誰かの手のひらに包まれた。顔を上げると、ニケがやさしく微笑んでいた。
「ノア……僕はまあまあ腕の立つ治癒師だよ。もっと僕を頼って……ね?」
「ニケ……」
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