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第5章 砂漠の国の錬金術師
5. 砂漠の国へ
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翌日、ウィルは帝都ガルネートゥスへ、俺たちは隣国ザハブルハームへ向かった。
移動方法は、おなじみ転移魔法だ。
俺がウィルを魔法で転移させた後、ニケが俺たち四人をザハブルハームの王都ミーナーマディーナの城門の手前まで転移させた。
ミーナーマディーナは海に面していている。潮の香りが風に乗って門まで届いていた。
門の前には町へ入ることを希望する人々が列を成していた。
「列が長すぎて、最後尾が見えないんですけど~。炎天下だし、干からびちゃうよ……」
「僕、列に並ぶとか大っ嫌い。こっちだよ、ノア」
「ニケ……ちょっと……」
ニケは最後尾と逆の方向、門に向かって歩いていった。
「む…なんだ貴様は。横入りせず、列に並べ」
「おまえ……誰に向かってそんな口きいてるのか、わかってる?」
「なんだと…っ!」
「ちょっと待て!この方は…」
「……あぁっ!し、失礼しました!」
「どうぞ、お通りください!」
「……ちっ」
「ノア、早くこっちに来なよ」
「あの……そちらの方々は?」
「僕の友達に決まってんだろ。あんまりつべこべうるさいと――」
「ひぃっ!申し訳ありません!お連れの方々も、どうぞお通りください!」
……ニケって、いったい何者なんだ?
門を通り抜け、市街に入ると、通りの左右に出店がひしめき、市場が開かれていた。多くの人々が行き交い、活気にがあふれている。
「い~いにおいだね~」
この匂いは…カレー!?
「たくさんの香辛料の香りが組み合わさって、絶妙なハーモニーを奏でていますね」
「これはあとで絶対に食べにこないとね」
「この通りは門に面しててスリやひったくりとか多いから危ないよ。早く通り抜けよう。中心街にもいい店がたくさんあるから、今度連れて行ってあげる」
「それは楽しみだなぁ」
街の中心部に向かって進んでいくと、高い塀に囲まれた一画に行き当たった。
門の周辺には幾人かの衛兵が辺りを警戒している。なにやら重要な場所のようだった。
「ちょっとここで待ってて」
ニケはそう言って、ひとりで門を守る衛兵に近づいていった。言われたとおりに門から少し離れた場所から、ニケの動向を見守ることにした。
ニケが衛兵に話しかけ何かを見せると、彼らはニケに敬礼した。
ニケに手招かれたので俺たちも歩みを進めた。そして、厳重に警備された門の中へと入った。
門の中には、美しい庭が広がっていた。色とりどりの花々が咲き乱れ、いくつもの噴水や整備された大きな池がある。
そして、白い石で造られた建物の屋根は丸い。ここはまるで――
「ここって、宮殿?」
「ニケは……何者なのですか?」
「ごめんごめん、みんなのびっくりしてる顔が見たくってさ。言ってなかった」
ニケは優雅にお辞儀をした。
「僕の名前はハディール・ニケ・ザハブルハーム。これでも一応、この国の王族のはしくれなんだ」
移動方法は、おなじみ転移魔法だ。
俺がウィルを魔法で転移させた後、ニケが俺たち四人をザハブルハームの王都ミーナーマディーナの城門の手前まで転移させた。
ミーナーマディーナは海に面していている。潮の香りが風に乗って門まで届いていた。
門の前には町へ入ることを希望する人々が列を成していた。
「列が長すぎて、最後尾が見えないんですけど~。炎天下だし、干からびちゃうよ……」
「僕、列に並ぶとか大っ嫌い。こっちだよ、ノア」
「ニケ……ちょっと……」
ニケは最後尾と逆の方向、門に向かって歩いていった。
「む…なんだ貴様は。横入りせず、列に並べ」
「おまえ……誰に向かってそんな口きいてるのか、わかってる?」
「なんだと…っ!」
「ちょっと待て!この方は…」
「……あぁっ!し、失礼しました!」
「どうぞ、お通りください!」
「……ちっ」
「ノア、早くこっちに来なよ」
「あの……そちらの方々は?」
「僕の友達に決まってんだろ。あんまりつべこべうるさいと――」
「ひぃっ!申し訳ありません!お連れの方々も、どうぞお通りください!」
……ニケって、いったい何者なんだ?
門を通り抜け、市街に入ると、通りの左右に出店がひしめき、市場が開かれていた。多くの人々が行き交い、活気にがあふれている。
「い~いにおいだね~」
この匂いは…カレー!?
「たくさんの香辛料の香りが組み合わさって、絶妙なハーモニーを奏でていますね」
「これはあとで絶対に食べにこないとね」
「この通りは門に面しててスリやひったくりとか多いから危ないよ。早く通り抜けよう。中心街にもいい店がたくさんあるから、今度連れて行ってあげる」
「それは楽しみだなぁ」
街の中心部に向かって進んでいくと、高い塀に囲まれた一画に行き当たった。
門の周辺には幾人かの衛兵が辺りを警戒している。なにやら重要な場所のようだった。
「ちょっとここで待ってて」
ニケはそう言って、ひとりで門を守る衛兵に近づいていった。言われたとおりに門から少し離れた場所から、ニケの動向を見守ることにした。
ニケが衛兵に話しかけ何かを見せると、彼らはニケに敬礼した。
ニケに手招かれたので俺たちも歩みを進めた。そして、厳重に警備された門の中へと入った。
門の中には、美しい庭が広がっていた。色とりどりの花々が咲き乱れ、いくつもの噴水や整備された大きな池がある。
そして、白い石で造られた建物の屋根は丸い。ここはまるで――
「ここって、宮殿?」
「ニケは……何者なのですか?」
「ごめんごめん、みんなのびっくりしてる顔が見たくってさ。言ってなかった」
ニケは優雅にお辞儀をした。
「僕の名前はハディール・ニケ・ザハブルハーム。これでも一応、この国の王族のはしくれなんだ」
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