某国の皇子、冒険者となる

くー

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第5章 砂漠の国の錬金術師

6. 王子

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「え~~~~~っ!!ニケって王子様だったの!?どおりでおいしそうな血のにおいがすると思った!」
「おっさん……僕のそばに寄らないでくれる。ううん、もっと離れて。視界に入らないで?」
「ジン……思ったことをすべて口に出すのは、あなたの悪い癖ですよ……」
「最初の門を顔パスで通れたときから、もしやとは思ってたけど……うわ~~~~…全然気づかなかったよ!」
「冒険者になってから三年くらい経つけど、正体を明かすのはきみたちが初めてさ」

あらためてニケを見ると、高貴さのようなものが感じられてくるから不思議だ。

ニケに案内され、宮殿の中に足を踏み入れた。前世では確かビザンチン建築と呼ばれていただろうか――そういった風情の内装も、外装に劣らず壮麗だった。

長い回廊を抜け、俺たちは応接室と思われる部屋に通された。
「暑い中、ミーナマディーナの西門からここまでけっこう歩いたから疲れたろ。冷たい飲み物持ってくるから、少し待ってて」


「ニケがまさか王子とはね…」
「王子で冒険者とは……ノアと同じですね」
「そうなんだよ……俺も打ち明けたほうがいいよね…」
こんなとき、ウィルならなんて言うんだろうか……

凝った細工の調度品を鑑賞していると、ニケが戻ってきた。

「お待たせ~。氷菓子も持ってきたよ」

ゼリーのなかに凍った果実を混ぜたものやアイスクリーム、レモンと砂糖を炭酸水に溶かした飲み物レモネードや、ミントの葉を浮かべた冷たいお茶……どれもこれも一級品ばかり。宮殿の王子のおもてなしはさすがだった。

「ぷは~~~~~~。生き返る~~~!!」
「このお菓子むちゃくちゃ美味い!」
「うちの菓子職人は国一番の腕前だからね」


一段落したところで、切り出すことに決めた。

「ニケ、話があるんだけど……」
「なに?」
「俺もじつは、皇子なんだ……帝国の。本名はルクス・ベルムデウス。今まで黙ってて、ごめん」
「……じつは気づいてたよ」
「ええっ!?そうなのか!」
「最初から、どこかで会ったことあるなって思ってたんだよね。気がついたのはアラゴグを倒して別れたあとだけど……」

「会ってるって?冒険者ギルドで会ったのが初対面じゃないのか?」
「うん。もう十二年前になるかな。当時ザハブルハームとベルムデウスは同盟を組んで戦争をしてたでしょ。そのときの戦勝祝賀会がベルムデウスの帝都ガルネートゥスで開かれて、僕も連れていってもらえた。そのとき、ノア――というか、ルクス皇子を当時のベルムデウス皇帝から紹介されて、挨拶したよ」

「……ごめん、覚えてないや」
「ひどーい」
「ごめんってば~」
「俺の初恋だったのに……」
「はぃっ!?」
「なんてね☆びっくりした?」
「も~。驚かせないでよ……」
「ノアに自分で気づいてほしいと思って、気づいてたけど黙ってたんだ。ごめんね」
「そっか……。にしても、すっきりしたよ。秘密があると話をしづらいから。これからもよろしく、ニケ」
「こちらこそ、ノア」


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