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第7章 命の代償
1. 船上で
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夜の海を走る黒壇の船――
船の欄干に凭れて揺蕩う海面を眺めていてた。王国で起こった事の衝撃が大きすぎて、今夜は眠れそうにない。
この船は大陸より北にある島へと航路を取っている。
ジンの故郷である魔族の隠れ里を目指して……
静かな海に目を向けながら、目的地が決まった経緯を思い返していた――
船室の寝台へラウルスが横たわるのを手伝った。治癒師のニケが傷の具合を診て治療を行っている。
「ダメだ……回復魔法を何度かけても、傷が塞がらない……」
「これは、対象者を苦しめながら死に至らせる古代魔法だ。扱える人間が限られているため滅多にないが、罪人の処刑にも使われている類いの魔法なのだ」
「そんな……」
「まあ…腕に受けただけマシだ……」
「解呪方法はあるのですか?」
「……聞いたことはない」
「そんな……」
それじゃ、ラウルスは――……
「ごめんなさい。僕を庇ったせいで……」
ニケはラウルスと目を合わせることができず、沈痛な面持ちで俯いた。
「きみが気に病むことはない。私が自分の意志でそうしたのだから」
「なにか方法はないの?……いやだよ、ラウルスが死んでしまうなんて……」
「皇子……」
「ごめんなさい……ノア……」
「古代魔法か……」
船室の扉に凭れて話をきいていたジンが、ボソリと呟いた。
「ジン?」
「長寿の魔族たちなら、人間たちよりも古代魔法に詳しいかもしれない……」
「魔族の里……連れて行ってくれるの?」
「里は大陸より北の諸島にあるから、ここから海路で五日はかかるよ。海岸から里までは歩いて半日くらいかなぁ……」
「……なんだか、希望の光が見えてきたみたいだ」
「あんまり期待しないでよ。もしかしたら……ってくらいだから」
わずかでも可能性があるのなら、それに賭けるしかない。
まだ見ぬ大陸に想いを馳せる俺たちを乗せて、黒い船は波を割って北へと進んでいく――
「ノア……何見てるの?」
「ニケ……」
「……海っていいよね。眺めてると心が落ち着く」
「うん……」
そういえば、この世界に転生してから船に乗るのも、近くで揺れる波を見るのも初めてだった。
いろんなことがありすぎて、そんなことに気付く余裕さえなかったのか……
「腕、出してくれる?」
「あ……腕輪か」
「ほんとうに、ごめんなさい……何度謝っても足りないよね」
ニケが手をかざし、魔力を込めて呪文を唱えると、腕輪は砕け散った。
「もしも俺がニケの立場だったら……大切な人を守るためなら――同じようにしたと思う」
「ノアは、やさしいね……」
ニケの手を取った。俺より年下なのに、その手は荒れていた。
「ノア?」
ニケは、俺の知らない苦しみを、今までたくさん背負ってきたんだろうなあ……
船の欄干に凭れて揺蕩う海面を眺めていてた。王国で起こった事の衝撃が大きすぎて、今夜は眠れそうにない。
この船は大陸より北にある島へと航路を取っている。
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船室の寝台へラウルスが横たわるのを手伝った。治癒師のニケが傷の具合を診て治療を行っている。
「ダメだ……回復魔法を何度かけても、傷が塞がらない……」
「これは、対象者を苦しめながら死に至らせる古代魔法だ。扱える人間が限られているため滅多にないが、罪人の処刑にも使われている類いの魔法なのだ」
「そんな……」
「まあ…腕に受けただけマシだ……」
「解呪方法はあるのですか?」
「……聞いたことはない」
「そんな……」
それじゃ、ラウルスは――……
「ごめんなさい。僕を庇ったせいで……」
ニケはラウルスと目を合わせることができず、沈痛な面持ちで俯いた。
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「なにか方法はないの?……いやだよ、ラウルスが死んでしまうなんて……」
「皇子……」
「ごめんなさい……ノア……」
「古代魔法か……」
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「ジン?」
「長寿の魔族たちなら、人間たちよりも古代魔法に詳しいかもしれない……」
「魔族の里……連れて行ってくれるの?」
「里は大陸より北の諸島にあるから、ここから海路で五日はかかるよ。海岸から里までは歩いて半日くらいかなぁ……」
「……なんだか、希望の光が見えてきたみたいだ」
「あんまり期待しないでよ。もしかしたら……ってくらいだから」
わずかでも可能性があるのなら、それに賭けるしかない。
まだ見ぬ大陸に想いを馳せる俺たちを乗せて、黒い船は波を割って北へと進んでいく――
「ノア……何見てるの?」
「ニケ……」
「……海っていいよね。眺めてると心が落ち着く」
「うん……」
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いろんなことがありすぎて、そんなことに気付く余裕さえなかったのか……
「腕、出してくれる?」
「あ……腕輪か」
「ほんとうに、ごめんなさい……何度謝っても足りないよね」
ニケが手をかざし、魔力を込めて呪文を唱えると、腕輪は砕け散った。
「もしも俺がニケの立場だったら……大切な人を守るためなら――同じようにしたと思う」
「ノアは、やさしいね……」
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ニケは、俺の知らない苦しみを、今までたくさん背負ってきたんだろうなあ……
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