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第7章 命の代償
5. 扉
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「アイシクルファング!」
杖の先から放たれた氷の牙が、モンスターの頭部を噛み砕いた。
パチパチパチパチ――
拍手の主はラウルスだった。
「お見事です、ノア」
「えへへへ」
帝国随一の騎士に魔法の腕を褒められて、嬉しくないわけがない。
「以前、遺跡探索に同行した際には、パーティを分断されてしまってノアの実力を見る機会がなかったのを、残念に思っていたのですよ。成長しましたね」
「へへへ……いい師匠に巡り会えたおかげかな」
「ほんとうに……いくら練習しても魔法が使えず、泣いていたあの頃が嘘のようですね……」
「へえ~」
ジンがもの言いたげにこちらを見ながら笑っている。
「なんだよ……泣いてたのは昔の話だよ」
「べつに~?あの頃のノアって可愛かったんだろうな♪って思っただけ!」
「そういえば、何かとよく泣いてたっけなぁ……」
「ウィル!余計なこと言うなっ!」
「今度ぜひ、ノアの小さい頃について語る会を開いていただきたいものですね」
「それいい!」
「ちょっと!エトワールまで!」
「ノアったら、みんなに愛されてるね~♪」
愛されてる……?からかわれてるだけなんじゃ……
ていうか小さい頃のみっともないエピソードを、みんなに共有されるとか……絶対にイヤだ!断固阻止してやるからな……
それからも何度かモンスターと遭遇したものの、それほど苦戦せずに倒すことができた。
そしてついに――
「たしかこの辺り……」
目の前には10メートルはあろうかという岩壁が聳え立っている。
ジンが呪文を唱えると、何もなかったはずの岩肌に重厚な鋼の扉が現れた。
「おお~!」
「隠れ里と言うだけのことはありますね……」
「……あれ?」
「どうしたの?ジン」
「扉を開けるための呪文を唱えても、反応がないんだ。もう二百年も前だから、変えられちゃったのかな……」
「えぇ……どうするの?」
「おーい!誰かいるー?」
………
呼びかけに応える声はなかった。五人の視線がジンに集まる。
「えーっと……扉から里の中心地まではけっこう距離があるからなあ……でも、扉を顕現させる魔法が使われたことは感知されてるはず。しばらく待ってたら誰かが様子を見に来てくれるよ」
十分後――
扉の向こう側から、数人の足音が聞こえてきた。
杖の先から放たれた氷の牙が、モンスターの頭部を噛み砕いた。
パチパチパチパチ――
拍手の主はラウルスだった。
「お見事です、ノア」
「えへへへ」
帝国随一の騎士に魔法の腕を褒められて、嬉しくないわけがない。
「以前、遺跡探索に同行した際には、パーティを分断されてしまってノアの実力を見る機会がなかったのを、残念に思っていたのですよ。成長しましたね」
「へへへ……いい師匠に巡り会えたおかげかな」
「ほんとうに……いくら練習しても魔法が使えず、泣いていたあの頃が嘘のようですね……」
「へえ~」
ジンがもの言いたげにこちらを見ながら笑っている。
「なんだよ……泣いてたのは昔の話だよ」
「べつに~?あの頃のノアって可愛かったんだろうな♪って思っただけ!」
「そういえば、何かとよく泣いてたっけなぁ……」
「ウィル!余計なこと言うなっ!」
「今度ぜひ、ノアの小さい頃について語る会を開いていただきたいものですね」
「それいい!」
「ちょっと!エトワールまで!」
「ノアったら、みんなに愛されてるね~♪」
愛されてる……?からかわれてるだけなんじゃ……
ていうか小さい頃のみっともないエピソードを、みんなに共有されるとか……絶対にイヤだ!断固阻止してやるからな……
それからも何度かモンスターと遭遇したものの、それほど苦戦せずに倒すことができた。
そしてついに――
「たしかこの辺り……」
目の前には10メートルはあろうかという岩壁が聳え立っている。
ジンが呪文を唱えると、何もなかったはずの岩肌に重厚な鋼の扉が現れた。
「おお~!」
「隠れ里と言うだけのことはありますね……」
「……あれ?」
「どうしたの?ジン」
「扉を開けるための呪文を唱えても、反応がないんだ。もう二百年も前だから、変えられちゃったのかな……」
「えぇ……どうするの?」
「おーい!誰かいるー?」
………
呼びかけに応える声はなかった。五人の視線がジンに集まる。
「えーっと……扉から里の中心地まではけっこう距離があるからなあ……でも、扉を顕現させる魔法が使われたことは感知されてるはず。しばらく待ってたら誰かが様子を見に来てくれるよ」
十分後――
扉の向こう側から、数人の足音が聞こえてきた。
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