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第二巻
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ー(前回までのあらすじ)ー
大阪・船場の老舗問屋「喜多郎商店」の代表取締役社長蔵屋鬼太郎が心筋梗塞で治療の甲斐なく大阪市立大学医学部附属病院の8階VIP特別室で亡くなった。
鬼太郎の死により、遺産相続をめぐる骨肉の争いが始まった。蔵屋家は代々続く女系家族であった。
喜多郎商店は、代々家付き娘が婿養子をとる女系の格式高い家柄の一族である。社長・蔵屋鬼太郎が死去し、遺言によって鬼太郎の娘である三姉妹(蔵屋史花、結衣、雅美)、更に彼女たちの叔母艶子、喜多郎商店大番頭の島倉潔、史花のお茶の師匠である文也、さらに鬼太郎の死後に発覚した身重の愛人•長澤亜紀の思惑も絡まりあい、彼女たちの間で繰り広げられる莫大な遺産の相続を巡る凄絶なバトルが展開する。しかし、最後に笑うのは彼女らが予想もしなかった人物であったのだ。
ある夜、長澤亜紀は不思議な夢を見た。その夢は鬼太郎と一緒に静岡県富士宮市を観光旅行した時の思い出深い二人だけの一夜であった。
二人はその時、初めて唇を重ね、愛し合ったのである。鬼太郎38歳。亜紀26歳であった。
「亜紀、丈夫な男の子を産んでくれよ。私が亜紀を守護するからなぁ。安心しなさい。どんなに大変なことがあったとしても、決して負けてはダメだよ。人の世は山坂多い旅の道だからね。亜紀には、これからいろんなことが起きるからね。ひとりぼっちで淋しいだろう。相談出来る人もいなくて辛いだろう。しかし、亜紀、決して諦めないで頑張るんだよ。人の進む先が暗い闇だとしても開けぬ闇はないからね。また、尽きぬ冬はないからね。歯を食いしばってでも、土にかじりついててもどうなりこうなり、この困難な辛い峠を越えなさい。「嗚呼、もうダメだ」などとは決して言わぬことだよ。東に行きゆきつまったら西へ回りなさい。南が塞がったら北へ逃げなさい。東西南北みなダメなら暫くそこで臥ていなさい。天地は毎日変わる。晴れ曇り寒く暖かく、日が出たり月が出たり夜になったり朝が来たり。
行き詰まったままの状態が永久に続くかのように思うんじゃあ、ないんだよ。淋しい時はこの富士山を私だと思って見てくれ。また、亜紀が辛くなったらお願いしなさい。神より外に真の杖も柱もないんだよ。亜紀が祈れば私も祈るからね。そして富士山に向かってこう言ってくれ。
「嗚呼!主よ。我が心の闇を開かしめたまえ」
負えるめぐりをいと小さき型に於いてすまさせたまえ。私の身も心もあなた様のものでございます。知恵浅く、心弱きわたしたちに光と力を与えたまえ、清めたまえ。カムナガラタマチハエマセ、カムナガラタマチハエマセ。亜紀この言葉を唱えるだけで亜紀の霊魂は水晶のように透き通り亜紀の心は綺麗になり、亜紀はいつも今を自由気儘に生き、笑顔を絶やさず善き心 善き言葉、善き行いを励んでくれ。幸せになってくれ」
鬼太郎は亜紀にそう夢の中で言ったのであった。
大阪・船場の老舗問屋「喜多郎商店」の代表取締役社長蔵屋鬼太郎が心筋梗塞で治療の甲斐なく大阪市立大学医学部附属病院の8階VIP特別室で亡くなった。
鬼太郎の死により、遺産相続をめぐる骨肉の争いが始まった。蔵屋家は代々続く女系家族であった。
喜多郎商店は、代々家付き娘が婿養子をとる女系の格式高い家柄の一族である。社長・蔵屋鬼太郎が死去し、遺言によって鬼太郎の娘である三姉妹(蔵屋史花、結衣、雅美)、更に彼女たちの叔母艶子、喜多郎商店大番頭の島倉潔、史花のお茶の師匠である文也、さらに鬼太郎の死後に発覚した身重の愛人•長澤亜紀の思惑も絡まりあい、彼女たちの間で繰り広げられる莫大な遺産の相続を巡る凄絶なバトルが展開する。しかし、最後に笑うのは彼女らが予想もしなかった人物であったのだ。
ある夜、長澤亜紀は不思議な夢を見た。その夢は鬼太郎と一緒に静岡県富士宮市を観光旅行した時の思い出深い二人だけの一夜であった。
二人はその時、初めて唇を重ね、愛し合ったのである。鬼太郎38歳。亜紀26歳であった。
「亜紀、丈夫な男の子を産んでくれよ。私が亜紀を守護するからなぁ。安心しなさい。どんなに大変なことがあったとしても、決して負けてはダメだよ。人の世は山坂多い旅の道だからね。亜紀には、これからいろんなことが起きるからね。ひとりぼっちで淋しいだろう。相談出来る人もいなくて辛いだろう。しかし、亜紀、決して諦めないで頑張るんだよ。人の進む先が暗い闇だとしても開けぬ闇はないからね。また、尽きぬ冬はないからね。歯を食いしばってでも、土にかじりついててもどうなりこうなり、この困難な辛い峠を越えなさい。「嗚呼、もうダメだ」などとは決して言わぬことだよ。東に行きゆきつまったら西へ回りなさい。南が塞がったら北へ逃げなさい。東西南北みなダメなら暫くそこで臥ていなさい。天地は毎日変わる。晴れ曇り寒く暖かく、日が出たり月が出たり夜になったり朝が来たり。
行き詰まったままの状態が永久に続くかのように思うんじゃあ、ないんだよ。淋しい時はこの富士山を私だと思って見てくれ。また、亜紀が辛くなったらお願いしなさい。神より外に真の杖も柱もないんだよ。亜紀が祈れば私も祈るからね。そして富士山に向かってこう言ってくれ。
「嗚呼!主よ。我が心の闇を開かしめたまえ」
負えるめぐりをいと小さき型に於いてすまさせたまえ。私の身も心もあなた様のものでございます。知恵浅く、心弱きわたしたちに光と力を与えたまえ、清めたまえ。カムナガラタマチハエマセ、カムナガラタマチハエマセ。亜紀この言葉を唱えるだけで亜紀の霊魂は水晶のように透き通り亜紀の心は綺麗になり、亜紀はいつも今を自由気儘に生き、笑顔を絶やさず善き心 善き言葉、善き行いを励んでくれ。幸せになってくれ」
鬼太郎は亜紀にそう夢の中で言ったのであった。
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