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部活勧誘編
部活紹介③
サッカーをやれないのに何故部活を見に行くのかと言われれば、一つは桜川に怪我の事を隠して勧誘を断るのに有効な言い訳が思いつかないからというもの。
そしてもう一つが、サッカー自体まだ好きなんだ、俺は。
例えやれないのだとしてもプレイを見るのは今でも好きだし、海外のサッカー情報も追っている。
だからここのサッカー部がどれほどまでに強豪なのか知りたいという気持ちもあるし、自分の頭の中であそこの場面はこう動く、あそこにパスを出すなどシミュレーションしたりするのも楽しい。
見ていることでやりたくなったりして、辛くはならないのかと問われればもちろん答えはイエスになるが、プロになる道を閉ざされたとしても、将来再びサッカーをすることができる可能性は充分にある。
だから俺は簡単にサッカーを捨てたりはしたくないんだ。
俺と桜川は運動場へと着いた。
運動場自体は校舎の正面玄関から出れば目の前に広がっているため、帰る際の通り道として見て行くことができる。
段差が少しあり、周囲は高いネットによって囲まれている。
主に野球部対策のためのネットだと思う。
部室があるとされる部室棟は校舎から運動場を挟んだ向かい側に位置している。
各運動部はあそこで着替えたりしているのだろう。
「まだどこの部活も始まってないねー」
「授業終わってすぐ来たからそりゃな。桜川は小さい頃からやってたのか?」
俺と桜川は運動場に入る手前にあるベンチに腰掛け、部活動が始まるまで少しの間、待つことにした。
「そうだよー。小学校の頃から始めて中学まで」
「何てところ?」
「FC鴨川ドルフィン」
「聞いた事ないな……」
「あはは、弱小だったからね。女子プロにもないし、J1常連の東京Vに比べたら全然」
「高校ではやらないのか?」
「う~ん……私もそんなに上手な方ではなかったし、高校まで続けようとは思わなかったな。でもサッカーは好きだから、どうせなら身近で見ることができるマネージャーやろうと思って。瑞都高校が強いってのもポイント高いよね」
辞めても好きだという気持ちは分かる。
こればっかりはどうしようもないよな。
「そんな私でも高坂っちのことは中学一年の頃から知ってたよ。一方的にだけどね」
「……まぁ、監督には一年の頃から試合に出してもらって、周りのメンバーに恵まれたこともあってか大会で優勝できたから知名度が上がったのかもな」
ジュニアユースの監督はとてもいい人だった。
選手の得意分野を伸ばすやり方で、戦術に関してもティーチングではなくコーチングを主に行い、モチベーターとして優秀だと言われている人だった。
近々ユースの監督になると言われていたみたいだが、詳しくは分からない。
「Uー15日本代表の選手もほとんどが東京Vの人だったよね。高坂っちを筆頭に神上、城ヶ崎、荒井、台徳丸。近々、高坂世代なんて呼ばれるんじゃないか、なんて言われてたしね」
「それは呼ばれなくなって良かったよ。俺だけの力で大会を優勝できたわけではないからね」
「またまた~。本人の目の前で言うのもなんだけど、私は高坂っちの大ファンだったからね。高坂っちの凄さは誰よりも知ってるつもりだよ!」
「ハッキリ言うなぁ。でもありがとう。そんな風に言ってもらえて嬉しいよ」
「だからサッカー部に入って! お願い!」
「結局そこに繋がるんかい」
「ユースに上げない人達は見る目がないんだよ! 高坂っちなら絶対すぐにレギュラーになってエースになれるよ! 私も応援するから!」
一人の女の子からここまで高い評価を受けるのは素直に光栄なことだな。
それにしても見る目がない、か…………。
───────────────
─────────
─────
『彼なら必ずリハビリを終えて戻ってくるはずです! 彼のプレイの素晴らしさは誰もが知っているでしょう!? だからユースの籍だけでも彼のために置いておくべきだ!!』
『しかし彼は今後走ることすらできないと医者に言われているのだろう? 高坂が才能溢れる選手であることは私達も知っているよ。だが、彼が万が一走れるようになり、再びサッカーができるようになったとしても選手にとって大事な成長の時期をリハビリで過ごした彼に以前のようなプレーができるとは思えない』
『しかし彼が生み出す創造性は唯一のもので……!』
『何も彼だけに固執することはない。我々にとって運が良かったのは、あの世代は高坂以外にも優秀なプレーヤーが多くいるということだ。それに、神童と言われた子が早熟であったケースなどいくらでもあるだろう? 彼もまた、その可能性があったかもしれない』
『その言い方は…………あまりにも彼に失礼だ』
『とにかく、高坂修斗をユースに昇格させることはできない。残念だが、君も理解したまえ』
─────
─────────
───────────────
怪我の現状報告をしようとクラブへ行った時に、部屋の外で偶然聞いてしまった内容だ。
監督は最後まで俺の面倒を見てくれていたが、クラブの将来的な利益を考える幹部の目線では、俺は終わった選手らしい。
俺の心はそこで一度折れたんだ。
「何度も言うようだけど、俺は部活はやらないよ」
「ちぇー。こーんな可愛い子が熱烈にアピールしてるのにつれないんだー」
「自分で可愛いとか言うかね」
「えへへ。あ、部室棟の方から何人か出てきたよ。そろそろ始まるのかな」
見ると練習着を着た人達がボールを出したり準備を始めた。
そしてもう一つが、サッカー自体まだ好きなんだ、俺は。
例えやれないのだとしてもプレイを見るのは今でも好きだし、海外のサッカー情報も追っている。
だからここのサッカー部がどれほどまでに強豪なのか知りたいという気持ちもあるし、自分の頭の中であそこの場面はこう動く、あそこにパスを出すなどシミュレーションしたりするのも楽しい。
見ていることでやりたくなったりして、辛くはならないのかと問われればもちろん答えはイエスになるが、プロになる道を閉ざされたとしても、将来再びサッカーをすることができる可能性は充分にある。
だから俺は簡単にサッカーを捨てたりはしたくないんだ。
俺と桜川は運動場へと着いた。
運動場自体は校舎の正面玄関から出れば目の前に広がっているため、帰る際の通り道として見て行くことができる。
段差が少しあり、周囲は高いネットによって囲まれている。
主に野球部対策のためのネットだと思う。
部室があるとされる部室棟は校舎から運動場を挟んだ向かい側に位置している。
各運動部はあそこで着替えたりしているのだろう。
「まだどこの部活も始まってないねー」
「授業終わってすぐ来たからそりゃな。桜川は小さい頃からやってたのか?」
俺と桜川は運動場に入る手前にあるベンチに腰掛け、部活動が始まるまで少しの間、待つことにした。
「そうだよー。小学校の頃から始めて中学まで」
「何てところ?」
「FC鴨川ドルフィン」
「聞いた事ないな……」
「あはは、弱小だったからね。女子プロにもないし、J1常連の東京Vに比べたら全然」
「高校ではやらないのか?」
「う~ん……私もそんなに上手な方ではなかったし、高校まで続けようとは思わなかったな。でもサッカーは好きだから、どうせなら身近で見ることができるマネージャーやろうと思って。瑞都高校が強いってのもポイント高いよね」
辞めても好きだという気持ちは分かる。
こればっかりはどうしようもないよな。
「そんな私でも高坂っちのことは中学一年の頃から知ってたよ。一方的にだけどね」
「……まぁ、監督には一年の頃から試合に出してもらって、周りのメンバーに恵まれたこともあってか大会で優勝できたから知名度が上がったのかもな」
ジュニアユースの監督はとてもいい人だった。
選手の得意分野を伸ばすやり方で、戦術に関してもティーチングではなくコーチングを主に行い、モチベーターとして優秀だと言われている人だった。
近々ユースの監督になると言われていたみたいだが、詳しくは分からない。
「Uー15日本代表の選手もほとんどが東京Vの人だったよね。高坂っちを筆頭に神上、城ヶ崎、荒井、台徳丸。近々、高坂世代なんて呼ばれるんじゃないか、なんて言われてたしね」
「それは呼ばれなくなって良かったよ。俺だけの力で大会を優勝できたわけではないからね」
「またまた~。本人の目の前で言うのもなんだけど、私は高坂っちの大ファンだったからね。高坂っちの凄さは誰よりも知ってるつもりだよ!」
「ハッキリ言うなぁ。でもありがとう。そんな風に言ってもらえて嬉しいよ」
「だからサッカー部に入って! お願い!」
「結局そこに繋がるんかい」
「ユースに上げない人達は見る目がないんだよ! 高坂っちなら絶対すぐにレギュラーになってエースになれるよ! 私も応援するから!」
一人の女の子からここまで高い評価を受けるのは素直に光栄なことだな。
それにしても見る目がない、か…………。
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『彼なら必ずリハビリを終えて戻ってくるはずです! 彼のプレイの素晴らしさは誰もが知っているでしょう!? だからユースの籍だけでも彼のために置いておくべきだ!!』
『しかし彼は今後走ることすらできないと医者に言われているのだろう? 高坂が才能溢れる選手であることは私達も知っているよ。だが、彼が万が一走れるようになり、再びサッカーができるようになったとしても選手にとって大事な成長の時期をリハビリで過ごした彼に以前のようなプレーができるとは思えない』
『しかし彼が生み出す創造性は唯一のもので……!』
『何も彼だけに固執することはない。我々にとって運が良かったのは、あの世代は高坂以外にも優秀なプレーヤーが多くいるということだ。それに、神童と言われた子が早熟であったケースなどいくらでもあるだろう? 彼もまた、その可能性があったかもしれない』
『その言い方は…………あまりにも彼に失礼だ』
『とにかく、高坂修斗をユースに昇格させることはできない。残念だが、君も理解したまえ』
─────
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怪我の現状報告をしようとクラブへ行った時に、部屋の外で偶然聞いてしまった内容だ。
監督は最後まで俺の面倒を見てくれていたが、クラブの将来的な利益を考える幹部の目線では、俺は終わった選手らしい。
俺の心はそこで一度折れたんだ。
「何度も言うようだけど、俺は部活はやらないよ」
「ちぇー。こーんな可愛い子が熱烈にアピールしてるのにつれないんだー」
「自分で可愛いとか言うかね」
「えへへ。あ、部室棟の方から何人か出てきたよ。そろそろ始まるのかな」
見ると練習着を着た人達がボールを出したり準備を始めた。
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